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第46話

第46話



「誰も赤点をとらなかったクラスはこのクラスが初めてで先生は非常に感動しています。この調子で残りの二学期と三学期もそれぞれ頑張るように。そしてこれから夏休みだけどくれぐれも怪我のないように。以上。解散!」


「「「「夏休みだーー!!」」」」



 口調は堅いままだが若干の感動が見える担任の先生の話が終わると、夏休みの開始の合図にクラス中が湧き上がる。


 かくいう俺も夏休みを満喫する気満々なわけで、柄にもなくクラスメイトと共に喜びあってしまった。



「なつやすみ???? ってなんなのかしら??」



 一人、夏休みという聞きなれない単語に疑問を覚えているレインを除いて。



 ――私立城西高校の夏季休暇は長い。理由はいくつか挙げられるが、一番主要なものとしてはやはり部活動だろう。


 夏季休暇中は特に運動部、そして文化部も含む全ての部活動が遠征等でをたくさん合宿を行うからだ。運動部はほとんどが強豪。運動部というのは強豪という肩書きがあればそれだけで他校の同じ運動部から合同練習や練習試合、親善試合等の声がたくさんかかる。もちろん肩書きに相応しいほどの実績も必要だが。その逆も然り。城西高校の強豪の部活動の面々が一声かけるだけで、その申し出に他校は即座にOKをする。


 さすれば自ずとたくさんの予定が組まれ、部活に所属している生徒の不満が溜まる暇もないくらいにギッチギッチのスケジュールになり、結果としてその分の休暇期間が長くなるのは当然のことだ。


 まぁ夏休みは一日中家に引き篭って、一学期はレインたちのこともあり、全然進めることが出来なかった新たなゲーム開発を本格的開始する気の俺からしたら単に時間が増えただけでラッキーなだけだが。



「よーし。だいぶ貯金も減ってきたしな。そろそろ新しく何かゲーム作るか! どんなゲームを作ってやろうか……。貧乳美少女はマストで出すとして……攻城戦は出したしな。ロボット対戦も、ギャルゲもホラゲもカジノゲーも作ったし……うーん。やっぱりここは夏らしくホラゲの新作でも作るか……? 」



 何のゲームを作るか、アイデアを出すのはゲーム開発においての最初の一歩だ。買ってくれる人達のニーズに合わせて作るか、それとも流行りに乗ったものを作るか、はたまた俺自身の気の向くままに作るか……等々。まぁ俺のゲームを買ってくれている人達の層的には、三つ目に挙げたように俺の気の向くままに作った方が買ってくれるだろうし、何より俺自身が作っていて楽しい方がより良いゲームを作ることが出来るってもんだ。



「……ん? あ、そういえばレインたちのドタバタがあって忘れてけどRPG出せてないじゃん! やっべ、もう宣伝してた期間から大分過ぎてんじゃん! あ、これやっべ!」



 今まで色んなことがあり過ぎて忘れていたが、俺のゲームは俺の懐がそこそこ潤う程度には売れている。売れているということは待ってくれているファンたちも居るわけで……


 ここ二ヶ月ほどはそれらを全てすっぽかして居たことに今更気づいた俺は、急いで宣伝用のアカウントを立ち上げる。宣伝用アカウントが存在しているのはトゥイッターという世界有数の大規模なSNSで、その中でも俺をフォローしてくれている人の数は約13,000人ほど。端数は端折っているが、だいぶ多いい方だと俺でも思う。


 その宣伝用のアカウント含め、俺は他にもアカウントを三個ほど持っていて、最近は学校用のアカウントに切り替えててそのままアプリ開いてすら無かったのでたくさんの通知に気づかなかったのも無理ない……と言い訳するのはよそう。


学校用の初期アイコンアカウントから、一番売り上げがあった、メイドたちによる攻城戦のゲーム、そしてアプリの顔ともいえるウィンクをしたアリスの顔のアイコンにしているアカウントに切り替える。



「うっ……通知が99+になってる……」



 ここ二ヶ月間で溜まりに溜まりまくった通知欄が表示できる数の限界を突破し、青色に輝いている。おそらくほとんどは宣伝していた分のRPGを世に出せていないことに対する批判だろう。まだ内容を見ていないのに既に頭が痛い。



「すぅーー、はぁーー……。よし。頑張れ、俺」


 

 深呼吸をし意を決して通知欄を見てみると、案の定と言うべきか、ほとんどがRPGの発売を催促するものだった。だいぶ昔からお世話になっている人達からも、俺の身を心配しているような内容のDMが来ていてとても心苦しかった。

 

 ほとんどが催促のメッセージだったが、苦い顔をしながらも我慢して見ていくと途中から俺が死んでいる説が流れ始め、最新のものに関しては本当に死んでいると思われていたため、急いで生きている旨とこれまでの謝罪をトゥイートし、心配する旨のDMをくれていた人達にも、目にも止まらないフリック入力で謝罪の文を一斉送信した。


 

「えー、<皆さんご心配を掛けて申し訳ないです。僕は生きているので大丈夫です。少々折行った事情がございまして、勝手ですが先に宣伝していたRPGの発売を延期させて頂きます。この二ヶ月間何があったのかは話すと長くなるので、後日また改めて説明しようと思います。この度はご迷惑とご心配をおかけしてしまったこと、本当に申し訳ないです。>……っと一旦はこれで良いか……」



 炎上しないコツは長文の最初と最後に謝罪の言葉を入れることだ。二回ほど謝罪を繰り返せば、誠心誠意謝っているんだなと相手も感じ取ってくれるはずだ。多分......。



「ん? あ、やっべ。 アカリさんだ。も、もしもし?」


「も、ももも、もしもしレン君?! だ、大丈夫だったの?!」



 俺が生存確認トゥイートをした数分後、とある女性から電話がかかってくる。

 

 電話の主は 古賀 アカリさん。プロのイラストレーターで、俺のゲーム作品で昔から数々のキャラクターを手がけてきてくれた方だ。レインやマオそしてアリス……。その他にもたくさんの魅力的なキャラ達を全て描いてくれた、レインたちにとっては正に母親的存在に当たる。少しおっちょこちょいな所もあるが、基本的には俺に凄く良くしてくれる優しい人だ。



「連絡取れてなくてすみません。僕の方は全然大丈夫です。心配かけてすみませんでした」


「……そっかぁ。良かった。毎日のように連絡とってたのに急に音信不通になるんだもん!」



 電話越しにスマホに向かって頭を下げて謝罪する俺に対し、アカリさんはぷんすかと頬をふくらませながら怒ってくる。……何故俺がアカリさんの表情まで分かるかと言うと



「ところでアカリさん。……何故にビデオ通話なんすか」


「へ……? あ、あ、あーーっ!! ほ、ホントだ?! レンくんの生存確認トゥイートみた途端に飛んで焦って掛けたからビデオ通話になってるじゃん!……れ、レン君って意外と若いんだね……」


「まぁ高二ですからね」


「こ、こここ高二?!」



 今まで互いに声しか聞いたことがなかったのになんの前触れもなくいきなりビデオ通話とか。アカリさんどんだけ焦ってたんだ。


 俺の年齢を聞くなり驚き、目を見開くアカリさんはおそらく俺より歳上だろう。俺の年齢聞いて引いてたし。そんな彼女の見た目は、髪型はゆるくパーマのかかった茶髪のショートヘアーで、ふわふわとした髪はアカリさんらしい穏やかな印象が与えられる。


服装は……なんだ? このTシャツ。 <俺の娘が世界一かわいい>……? マジでなんなんだよコレ。


 初めてバディ的存在のアカリさんの顔を見る俺がマジマジと画面を見つめていると、ようやく自分の格好が客観的に見て面白おかしいと気づいたのか、アカリさんは顔を覆って顔を赤らめ出す。



「その、コレは違うから! 普段は家から出ないからあまり見た目には気を遣う必要がないからで......! おしゃれしてないだけで本当は違うから!」



 何故、遥か年下の俺に対して恋する少女みたく言い訳するのかは理由が分からないが、レディーのダル着姿を見てしまったのは男として一応フォローするべきだろう。


 俺はビデオ通話をさっさと切れば良いのに、画面外へと逃げてしまったアカリさんに向かって一言。



「そ、そのTシャツ……僕は可愛いと思いますよ!」


「……? ーーッ!! こ、コレも違うから! 普段はもっとちゃんとした可愛いパジャマ着てるから〜っ!!」



一瞬何のことを言っているのか検討がつかない様子だったアカリさんは、下を見下ろすと自分のヘンテコなTシャツに気づいたのか、そのままの勢いで通話を切るのだった。


最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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