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第40話

第40話



「うぅっ、ぐすっ、ご、ごめんなじゃい.......も、もうやらないから許してぐだざい......ひっく」



「「..............」」



レインが俺の影に向かって突っ込んだと思った数秒後、まばたきしたその間に何があったのか、レインが見知らぬ少女に馬乗りになっていた。


未だレインに馬乗りにされている少女は、うつ伏せのまま顔だけ上げて、俺たちに向かって許しを乞うていた。


いたいけな少女は保護欲をかられるような表情で俺とレインを交互に見つめてくる。



「さ、さすがにもう降りてやれよ。なんだか反省してるようだし、しかも言葉まで喋ってるぞ。アンデットじゃなかったのかよ」



「あたしはアンデットなんて一言も言ってないわよ。魔物とアンデットの気配がするって言っただけ。詳しく正体がさぐれなかったのはきっとコイツがサキュバスだったからね。サキュバスは知性のある魔物と人の形をしたアンデットの良いとこ取りしたみたいな存在だから、2つの気配が混じったような雰囲気だったのよ」



レインはそう言うと馬乗りになったままサキュバスの子を拘束魔法で腕と足を縛り、いたいけな少女をあられもない姿へとしてしまう。



「お、お前、ヒナと同じくらいの年齢に見える子にこんな格好させるなよ......」



「ち、違うの! サキュバスたちは何をしてもえろい感じになるような存在なの! 一体このラッキースケベられでどれほどの男性冒険者たちが犠牲になったか......今思い出しても震えが止まらないわ。そう、あれは歴史に残る第2次サキュバス大戦の真っ只中......」



「............」



震えが止まらないといいつつも、なんだか意味不明な大戦の名前を口にしながらぼそぼそと語っているレインを他所に、縛り上げられた少女の近くまで行く。


懐中電灯で照らして見てみると、涙目になりながらも こちらを色っぽい視線で見つめてくる彼女に思わず見惚れてしまう。


異世界の住民は全員美形なのか、よくみて見るとレインやアリスにも引けを取らないほどの美少女で、体には隠すとこを隠すだけの必要最低限の装飾しか付けていない。


腰からは小さな翼のようなものまで生えていて、頭にはマオほどまでは行かないが、小さな1本角が生えている。


そして腹部には、サキュバスと言えば定番とも言える淫紋が刻まれている。


サキュバスの子と会話ができるだろう距離まで近づき、目線を合わせて話しかける。




「キミ、サキュバスなんだってね。普通ならこっちの世界には来れないはずなんだけど、どうやって来れたか覚えてたりする?」



ピクシーなどには聞けなかった魔物たちがこちらの世界に干渉できる理由を問いかける。


この根本的な問題を解決しないと、いくら魔物退治をしたところで焼け石に水だ。


原因を追求するためにも、当事者たちからの情報はなるべく聞いておきたい。


サキュバスの子は少し困ったような顔をしたあとあ と、未だ目の端に涙を浮かべ、艶っぽい表情を見せると調子を戻すように語り出す。



「ぐすっ......え、えっと、私がこの世界に来れた方法は、ご、ごめんなさい、分からない、です。何かに吸い込まれるように連れてこられて、目が覚めたらこの世界にいました。ご、ごめんなさい、あなたが知りたがってることを教えてあげられなくて......」



「何かに吸い込まれる、ねえ......分かったよ、ありがとう。そんなに謝る必要も無いからさ、もう気にすんなって」



「で、でも、私はあなたに呪いをかけました。あなただけじゃなく、男女2でこの場所に来た人達全員に、この中でだけ一時的に呪いをかけたんです......いくら精気が必要だったからって少しやり過ぎちゃいました......」



「まぁサキュバスは生きるために精気が必要だって言うし、その様子だと必要な分しか吸い取ってなかったんだろ? だったら大丈夫だから」



「あ、あと......い、いえ、やっぱりなんでもありません......」



「........?」



ひたすら謝り続け、最後にもう一度何か言いたげな表情を見せたサキュバスの子をなだめつつ、未だ歴史を語り続けているレインの肩を叩く。



「だからね、第5次サキュバス大戦が勃発しようとしてた所に、突如として現れたおじさんがなんとか平和条約の締結を促して......ん? 何かしら、今いい所なのだけれど」



「その話はあとで家でゆっくり聞くとするからさ。あのサキュバスの子どうにかできない?」



俺は拘束されて身動きが取れないサキュバスの子を指さし、レインに頼む。



「......わかったわよ、なんとかするわね。少し可哀想だけれど、サキュバスは魔物と同列の存在だし、ちゃちゃっと仕留めてくるわ」



「え?」



レインはそう言うと袖をまくりながら未だ拘束され身動きができない状態にあるサキュバスの元へと歩み出す。



「ちょ、ちょっと待ってくれ! 仕留めるって、もしかしてピクシーの時みたいに消し炭にしちゃうのか?」



「ーーッ!?」



驚いた俺がレインに問いかけると、サキュバスの子は驚愕した表情を見せ、拘束を解こうとじたばたと動き出す。


レインはサキュバスの動きを再度封じるように上から押さえつけると、サキュバスから視線を離さずに俺からの問いに答える。



「いや、ピクシーの時使った魔法はこの距離だとレンも巻き込んじゃうかもしれないから使わないわ。代わりに浄化魔法を使うの。サキュバスは少し悪魔の血が流れているから、大体はこの魔法でワンパンね」



「いや、俺が言いたいのはそうじゃなくって......」



「.......? レンは一体何が言いたいのかしら」



サキュバスの子と目が合うと、命乞いのように涙目のまま首をフルフルとされる。


レインの抑える力が強いのか、言葉を発することができないようだ。


いくら魔物などと同列の存在であろうと、人の形をし人の言葉を話す以上、その命が目の前でなくなろうとしているのを黙って見ていられない。


俺はレインに向き直り、無茶とわかっていてもお願いしてみる。



「この子、悪い子じゃないみたいだし見逃してあげれないか?」



「はぁ? レン何言ってるの? まさか、まだこのサキュバスに操られてるんじゃないでしょうね? ちょっとこっち来てもう1回顔見せなさい」



「操られてないって、これは普通に俺の意見。それに、そのすっごく怯えた表情を見てると何かほかに事情があるんじゃないかって思えるんだ」



レインに両頬を掴まれ、むぎゅっとなりながらもサキュバスの子の顔を見る。


その表情は、まるで何かを訴えるようなもので......



......何かが引っかかる。



サキュバスの子の怯えた表情は、自分を消そうとしてくるレインには向けられていない。


目は横に泳ぎまくり、先程から縛られているのに、挙動不審な動きが絶えない。


レインに向けられるはずの視線は、四方八方へと向けられ、焦点があっていない。


何かおかしい、さっきサキュバスの子が言いかけたことと何か関係があるのか......?



「ほかに事情がある? 何言ってるの、感じた気配の正体はコイツなんだからコイツが全ての元凶なんでしょ。他に何か居るわけでもあるまいし」



「他に何かが居る......? ......! おい、レインその子のお腹見せてみろ!」



「急に大きい声出してどうしたのよ? サキュバスのお腹なんて見てもただの淫紋しかないわよ、ほら」



レインはうつ伏せになっていたサキュバスの子の状態を起こし、腹の紋章を見せてくる。


確かに俺も最初見た時はサキュバスだから淫紋だと決めつけ、注視することはしなかったが、今見てよく分かった。


これは違う。



マオと全く一緒の紋章だ。



「おい、レインこれ淫紋じゃないぞ! マオと同じ奴隷紋だ!」



「え? 何言って......」



急いでレインに知らせるも時すでに遅く



「あ"ぁ"〜、バレちマッタカ。今マデこんなニンゲンイナかっタンダけどナァ〜? オマエら一体ナニモンだ?」



「「ーーッ!?」」



暗闇のその向こうから近づいてくる足音とともに、変声期を通したような音の濁った声が聞こえてくる。


暗くてよく見えないが、おそらく2m弱はあるだろうシルエットがだんだんと歩み寄って来、その全容が浮かび上がる。


ソレは人間の体に山羊のような頭を持ち、とてもお化け屋敷の仕掛けの類とは思えないほどの強烈なプレッシャーを放ちながら、俺とレインの真正面で歩みを止めると.......



「珍しいニンゲンもいたモンだナ。トりあエズ、殺スカ」



かつてのマオのような禍々しいオーラを解放し、俺とレインに向け、全力で突進してきた!


最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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