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第33話

第33話


マオが城西祭に来ていた。


どうやらヒナと一緒に来ていたらしいが、ヒナは猫カフェという野良猫の寄せ集めカフェに囚われてしまったらしい。


野良猫と言っても無駄に多い予算で全匹動物病院で検査したあと、きちんと人に慣れるように特訓したらしく、全匹安全が確保されているそうだ。


俺も聞いた時は驚いたが、2週間ほどの準備期間でよくやるなとその出来栄えに感心した。


猫カフェは城西祭開催前に調査と称して突撃してみたが、天国すぎた。


だが猫を愛でる俺に嫉妬したレインに帰らせられたので思う存分堪能できなかった。



「俺も後で猫カフェ行くか......」



「全く、ヌシら兄妹は本当にあのネコという生物が好きなのじゃな......あれなら家で我とレインがなれるであろう?」



「違うんだよ、確かにアレも猫だけど、お前たちみたいなイレギュラーじゃない普通の猫を愛でたいんだ」



「本当に理解し難い......」



猫好きなのが理解できないのか、マオが頭を抱えはあとため息をつく。


家では猫化したレインとマオをヒナとともに愛でているが、愛ですぎると恥ずかしのかすぐに人間に戻ってしまうので満足するほど猫吸いができないのだ。







その後は取っ組み合いをしているレインとサヤ先輩を置いて、マオと文化祭デートを楽しんだ。


まぁ、デートというより......



「の、のうレンよ! アレはなんじゃ、あの鉄の棒から発射したモノで落としたモノが貰えるのか? 我はあのデカいきゃんでぃとやらを所望するぞ!」



「はいはい、射的ね、小遣いやるから。コレでやってきな」



「うむ、ありがとうなのじゃレンよ!では、行ってくる!」



「人に向けちゃダメだぞー」



俺に渡された五百円玉を握りしめ、射的の屋台へと駆け出していくマオ。


その愛嬌もあってか、1回100円の射的の屋台では3年生のお姉さんたちからむちゃくちゃ可愛がられていた。



......



うん。コレはデートじゃくてアレだ。


休日に娘を連れてお祭りや遊園地に行くパパさんの気持ちだ。


マオの無知っぷりと可愛らしさには恋愛感情とかの前に母性本能的なモノが介入してくる。


俺が後方彼氏ヅラならぬ後方保護者ヅラをカマしていると、500円じゃお目当てのキャンディをとりきれず、マオが泣きそうになっていると、見かねたお姉さんたちが頑張ったで賞としてお目当てのデカキャンディをマオに手渡し、受け取ったマオが嬉しそうにこちらに戻ってくる。



「レン、見てみよ! 我の力にかかればこのきゃんでぃとやらもすぐにとることが出来たぞ!」



「良かったねー。ちゃんとお姉さんたちにお礼言ったか?」



「あ! 言ってない! 今から言ってくるのじゃ」



マオは俺にデカキャンディを預け、お姉さんたちにお礼を言いに戻る。


お礼を言われたお姉さんたちはきゃーっと言いながら景品であったお菓子たちを全てマオに渡していた。



マオ、恐ろしい子・・・!



俺がマオの恐ろしいほどに保護欲をかられる愛嬌に衝撃を受けていると



「なんだかたくさん貰ってしまったのじゃ! アイツら、良いヤツじゃな! もし魔王としての力が戻ってもアイツらは生かしてやるとしよう!」



物騒なことを言いながらも、可愛らしい八重歯を見せつけながら、笑顔のマオが俺の元へと戻って来た。







お菓子を大量にゲットしほくほくしたマオをお姉さんたちに預けて俺も猫カフェへと向かうことにした。



「すいません、少しの間コイツの面倒見ててもらってもいいですか?」



「「「もちろんっ!!♡♡♡」」」



3年生のお姉さん方になでなでされながらお菓子を頬張るマオは本当に満足そうな顔をしていた。


あとで代わってもらえないか真剣にマオに交渉してみよう。


猫カフェはうんざりじゃというマオを預け、スキップしながら猫カフェへと向かう。


扉を開けるとそこは



「......天国や」



見渡す限り猫、猫、猫! そこには20~30匹ほどの猫がいると思える空間が広がっていた。


その中でも一際目立つ人物が一人。



「わーん、また逃げられちゃいました......」



猫に膝から降りられ、涙を流すヒナの姿があった。







ーーー



「お兄ちゃんも来ると思ってました。あ、マオちゃん見ましたか?お兄ちゃんの所へ行くと言っていたのですが......」



「マオならさっき会ったよ、今は先輩たちに面倒見てもらってるから大丈夫。それよりヒナはなんで猫たちに避けられてんだ?」



「あはは、ネコちゃんたちのお腹を吸いすぎて嫌われちゃったみたいなんです......」



「ほ、ほどほどにしとけよ......」



「あ、またネコちゃんがヒナの膝に!」



俺の忠告を無視して」うおぉ猫吸いアタック」と言いながら猫の腹に顔をぐりぐりとさせているヒナを見ていると、俺の膝にも1匹猫が乗ってきた。


そいつは元野良とは思えないほどにもふもふの白くて美しく整った毛並みをしていて、俺の顔を見つめてくる。


猫とは思えないほど澄んだ瞳に吸い込まれそうだ。


そのまま腹に顔を埋め、ヒナと同じく猫吸いアタックをしていると



「あれ? その子が人に懐いてるとこ初めて見た! 君、一体何者??」



猫カフェを運営してるのであろう2年生が話しかけてきた。







「2年の川崎っす。懐いてるの初めて見たって言うのはどういうことすか?」



「その子、知っての通り元野良の子なんだけど、ご飯とかは食べてくれるのに私たちの誰にも懐いてくれなかったんだよね、もちろん君が来るまで他のお客さんの膝に乗ってるとことかも見たこと無かった。だから珍しくてね、つい」



話しかけてきたのは俺上靴の色を見るに俺と同じ2年生と思われる女子だった。


どうやら俺の膝に乗っかり満足そうな顔で撫でられているコイツは俺以外には懐いてなかったらしい。


猫好きの俺としては、自分だけに懐いてくれるような子がいるのはむちゃくちゃ嬉しい。


ヒナはもう逃げられたのか、羨ましそうな顔で俺の方を見つめている。


運営の子は俺と少し話したあと、魅力的な提案をしてくる。



「城西祭終わったらこの子達の里親募集をしようと思ってるんだけど、その子飼ってくれたりしない?」



「うーん、猫は好きだけど実際飼うってなるのは色々と大変だからな......。今より悪い思いさせちゃうかもしれないし、命をあずかれる責任とかもないと思うんだ。だからお前は飼ってやれないよ、ごめんな」



魅力的な提案だが、生憎もう我が家のペット枠はとある人物でいっぱいいっぱいなのだ。


俺の言葉の意味がわかるのか、胸元へと持ち上げられた白い毛玉はにゃーと鳴きながら暴れ出す。



「そうですか、せっかく懐いてくれたならと思ったのですが、仕方ないよね。気が変わったらいつでも声掛けてね! きみほど責任感のある子ならきっと大丈夫だから!」



ひとしきり猫を愛でて満足したので、学習せずに未だ猫吸いアタックを繰り出しているヒナを置いて、猫カフェから出る。





ーーー



「そろそろ来るかな......」



もう城西祭もフィニッシュを迎えようとしている夕暮れ時に、俺は猫カフェのある教室の前で人を待つ。


外の盛り上がりの様子を窓から眺めていると



「ちょっと、レン! 探したわよ、よくもあんな女と2人きりにしてくれたわね。おかげで色々と大変だったんだから!!」



息を切らしたレインが俺の元へ駆け寄ってきた。

最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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