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第32話 春の城西祭

第32話 春の城西祭



「皆さんお待たせしました! 春の城西祭、今ここに開催を宣言します!!」



校内アナウンスと共に、春の城西祭の開催が宣言される。


そのアナウンスと同時、学校中からおおっと歓声が響き、吹奏楽部の壮大な演奏がなされ始める。


そんな誰もがワクワクするような雰囲気を肌で感じながら



「俺、なにしてんだろ」



何故かメイド服を着せられた俺は一人、メイド喫茶で賑わう教室の隅っこで座り込み、頭を抱えていた。





ーーー


事態は城西祭開催2週間前に遡る。



「えー、ということでこのクラス2-Aの出し物はメイド喫茶に決定しました」



「しましたー」



ぱちぱちとなる拍手の中俺は、黒板に書かれた無数の企画案から多数決で決めたメイド喫茶という欄に丸をつける。


春の城西祭は、各クラスで1つ企画や出し物をしないといけない。


定番でいうと、お化け屋敷や演劇などといったモノだ。


そんな中俺たちの出し物はメイド喫茶、また定番なやつが選ばれていた。


様々な部活動が認められていることが幸いして、肝心の衣装はファッション研究部と裁縫部が担当してくれることとなり、会場設営は放課後少しづつ進めることになった。


まあレインもいることだし赤字経営にはならなそうだなと予算案を見ながらほっとしていると



「レンのメイド姿も見てみたいわ!」



などとみんなの前でレインが言い放ちやがった。



「何言ってるんだ? やるわけないだろ、そんなこと」



「だめ! あたしが接客してる間あの3年生のとこに行くつもりでしょ」



「い、行かねえよ.....ちゃんと後夜祭断ったメッセージ送ったところ見てたろ?」



俺は嫉妬に駆られたレインに泣く泣くサヤ先輩への断りのメッセージを送らせられた。


そのあとにサヤ先輩からじゃあ城西祭だけでも一緒に回らないかという誘いが来ていて、2回とも断るのはなんだか気まずくてOKしてしまったのだ。


こんなところでコミュ障の弊害が出てくるとは思ってなかった。


俺がデートの誘いを受けたこと知ったレインにまた激怒され、城西祭中は一日中俺を監視しておくと言われた。


だからか、俺が別行動をとろうとするとそれが意図的でなかったとしても間髪入れずに睨みつけてくる。


ステータス完スト人間に睨みつけられるととても怖い上に、攻撃力まで下がってしまう気がするのでやめて欲しい。


レインが大きな声で提案したせいか俺の意見を聞く間もなく何故か俺の分のメイド服まで作られてしまった。


せっかく作ってくれた上に刺繍部やファッション研究部に期待の満ちた目で見られている状況で、メイド服を着ないことなど、コミュ障の俺に出来るわけも無く......



「あら、似合ってるじゃない」



「ちくしょー、こんなはずじゃ......」



泣きながら絶賛男の尊厳が破壊されている最中の俺に、かわいいと連呼しながらレインはすごい勢いでスマホのシャッターをきるのだった。






と、まあ俺がメイド服を着ることになった経緯はこんなもんだ。


一日中着るのは流石にいやだとレインに泣きついたら



「しょうがないわね......」



と、どうにかレインの接客時間中にだけメイドの格好をする約束を取り付けることができた。


最初こそ嫌だったが、接客中に色んな人から可愛いと言われる状況に段々と悪くない気がして来、最後にはノリノリで接客してしまっていた。


目が合ったレインがにまにましていたのであとでセクハラしておこう。


レインの美少女っぷりもあってか1日目は大成功だった。






そのおかげで一日目だけで予定よりも大幅に黒字を出すことが出来たので、2日目はレインともに城西祭を見て回ることにした。



「......」



「いやー、昨日は繁盛したそうじゃん?ウチのクラスにもレインちゃんみたいな看板娘がいればなー」



「先輩のクラスには先輩がいるじゃないですか。それより先輩のクラスは何の出し物してるんですか?」



「......」



「レ、レン君はたまにとんでもないことを言ってくるよね......。そんなんだから女の子が勘違いしちゃうんだよ? わ、私のクラスはベタにお化け屋敷だけど、見てみる?」



「お化け屋敷ですか。俺はいいんですけどレインが怖いもの苦手で、レイン行きたいか?」



「......」



「......?おーい、聞いてるのか? レイン」



俺が立ち止まったまま反応のないレインの肩を揺らすと、レインは立ち止まったままわなわなと震え出し



「.....んで、....のよ」



「.......?」



「な、なんでコイツがいるのよー!!」



急に顔を上にあげたレインがサヤ先輩につかみかかった!






ーーー



「えへへ、いやーばれないと思ったんだけどなー」



「なんでばれないと思ってるのよ! 今日、レンはあたしとデートしてるの! 邪魔しないでくれる!?」



サヤ先輩につかみかかったレインは涙目になりながらそんなことを言う。


違和感なく俺たちのデートに溶け込むとは、レインがサヤ先輩につかみかかるまで俺も全く気づかなかった。


恐るべしサヤ先輩の親和性。


俺がサヤ先輩の親和性の高さに驚いていると、二人の取っ組み合いが、口論へと発展する。



「いいじゃん、レインちゃんはレン君と後夜祭で踊るんでしょ! だったら日中のレン君は貸してもらっても構わないじゃん!」



「構いませんよ」



「構うわよ! そもそもレンはあたしのモノなのよ、常識的に考えて他の女とデートするなんてありえないから!」



「ーーッ! ねえ聞いた、レン君? レインちゃんったら君のことモノ扱いしてるよ! 女の子にモノ扱いされるなんてレン君いやだよね? 今からでもいいから私に乗り換えない?」



「確かに腑に落ちませんね」



「なんてこと言い出すのかしらこの女は! いい? レンはちょっと雑に扱われる方が興奮するのよ、この前だって一緒に寝たとき......」



「ちょっと待って! 君たち一緒に寝てるの!?」



「残念でした! レンとあたしは一緒のベットで寝るし一緒にお風呂にも入ってるのでした!」



「痴女だ!? レン君、妄想がいきすぎた痴女がいるよ!」



「誰が痴女よ?! あと妄想でもないから!」



どんどんとエスカレートしている2人を見ていると今日はせっかくオフで色々と見て回れると思ったのに頭が痛くなってそれどころじゃない。


俺が2人を見ながらどうしようかと考えていると、ちょんちょんと背中をつつく感触があった。


後ろを振り向いてみるとそこには



「来てやったぞ。ヌシ、我にこの学び舎を案内するのじゃ」



以前までの禍々しい魔王らしい格好ではなく、年相応の可愛らしい私服姿に身を包んだマオの姿があった。

最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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