第30話
第30話
チナツちゃんの依頼も無事成功し、ひとしき感謝された俺は今日、休みの日に近くの駅まで来ていた。
俺の今日の格好はヒナにコーディネートされ買った気合いの入った洋服だ。
今の俺の格好は正に勝負服。
万年ジャージの俺がなぜこんなにも気合を入れて外出しているのかと言うと......
「あっ、お兄ちゃん〜っ! ごめんなさい、待ちましたか?」
「いいや、今来たところだから大丈夫。それよりヒナ、その服むっちゃ似合ってるよ。可愛い」
「えへへ、お兄ちゃんとのデートなので今日は気合を入れてきました! まさに勝負服ってヤツですっ!」
そう、今日が約束していたヒナとデートをする日だからだ!
ーーー
「えへへっ、ヒナが選んだ服を着て来てくれたんですね! 嬉しいです」
「あぁ、せっかくのヒナとのデートの日にジャージで行くのも野暮ってもんだ。まぁあんまり服のストックもなかったし、せっかくヒナが選んでくれたんだからな、着ないと損だ」
「それでも、お兄ちゃんがヒナのプレゼントしたものを着てくれてるのは嬉しいですっ」
「そうなのか? じゃあ、あんまり服のストックもないし、今からヒナが俺をコーディネートしてくれないか?」
「え? いいんですか? それじゃあ、今からお洋服屋さんに出発ですっ!」
そう言うとヒナは俺の手を取り歩き出す。
手を繋いで歩くヒナの顔はとても良い笑顔で、見ているとこっちも自然と笑顔になれる。
今日のヒナは白いワンピースに上にはトレンドのメッシュ加工の入った黒のトップスを羽織っている。
女の子らしい白のワンピースが、清純なヒナのイメージにピッタリで、上から羽織ったメッシュ加工の入ったトップスはどことなく大人びた雰囲気も感じさせる。
とても中学生とは思えない美貌に見惚れながらも、服屋に着いた俺たちはお互いにたくさんコーディネートをし合い、その内の気に入った何着かを購入した。
2人分の荷物を俺が持ったまま、元々の目的であったカフェへと入る。
ヒナが頼んだのは期間限定のスペシャルパンケーキセットで値段はなんと2500円。
最近のカフェはむちゃくちゃ攻めてるなと思いつつも、運ばれてきたモノを見るとその金額にも納得のいく量とデコレーションがしてあった。
対する俺はカフェラテしか頼んでいないので、机の上はほとんどスペシャルパンケーキセットで埋め尽くされていた。
「......ヒナ、本当にこの量食べ切れるのか?」
「流石にこの量は予想してませんでした......。コレが俗に言う逆写真詐欺というヤツなのですね!」
確かに注文段階でのメニュー表に載っている写真とは明らかに多いいという意味で量が違う。
予想してなかったという反面、こんなに巨大なパンケーキは初めてなのかヒナは目を輝かせながら写真を撮り、パクパクと食べ始めた。
俺もヒナの美味しそうに頬張る姿を見ながら、注文したカフェラテを飲むのだった。
「ほんとに食べきれたんだな......このちっちゃ体のどこにそんなスペースがあるんだ......?」
「お兄ちゃん、女の子はパンケーキくらいならペロリと平らげてしまうものです!......でも、流石にあの量はけっこうキましたね......」
他愛もない会話をしながらもなんとかヒナは期間限定スペシャルパンケーキセットを食べ終えた。
パンケーキは無限に食えると言うほどパンケーキ大好き少女のヒナだが流石に中学三年生の胃袋にはあの
量は応えたらしい。
ヒナはお腹をさすりながら満足そうな顔をしている。
その後は少し話した後、ヒナの注文したカップル限定メロンソーダを2人でストローを差して飲み、ラブラブっぷりを周りに見せつけた。
周りの視線の中にいくつか殺意のようなものを感じたが、気のせいだろう。
「お兄ちゃんっ、次は水族館に行きましょう!」
2人分の水族館のチケットを見せてきたヒナに連れられて、この街の名物である水族館へと足を運ぶ。
ここには一度だけ小学生の時の遠足できたことがあるが、その時からなんら内装は変わっていなかった。
休日の夕方に水族館にいるのはカップルや家族連れなどがほとんどで一人で来ているような人はそうそういない。
「あっ、お兄ちゃん見てくださいペンギンさんですよ! よちよち歩いていてとってもカワイイです!あ、こっちにはアザラシさんがいますよ! とっても大きいですね!」
ヒナは年相応の子供のようにはしゃいでいる。
こんなにはしゃいでいるヒナを見るのは何年ぶりだな。確か、昨日も一緒に寝る時にはしゃいでいたな.......
......
いや割といつでもはしゃいでるな、ヒナは。
ヒナに連れられ様々な魚を見て回る。
ネコザメをの名前見つけた時は興奮していたが、実物を見てがっかしたような表情のヒナが
「全然ネコチャンじゃないです.......」
と言っていたが、ネコという名前がついているだけで水中で生活する猫がいるとでも思っているのだろうか、我が妹は。
その後はイルカショーをみたり、カワウソに餌を上げたり、ヒトデを触るコーナーで楽しんだり......
もう高校二年生になるのに俺はヒナにつられて年甲斐もなくはしゃぎすぎてしまった。
でも、帰り道に隣を歩くヒナがとても満足そうだったのでこんな日があっても良いなとも思えた。
「なぁ、そう言えばなんで今日は待ち合わせにしたんだ? 同じ家なんだから一緒に出発したら良かったのに」
「はぁ、お兄ちゃんは何も分かっていないですね! いいですか、待ち合わせをする事に意味があるんですっ!向かっている時のワクワク感や待っている時の高揚感、お兄ちゃんは感じませんでしたか?」
分かってないなぁとばかに俺を見て説明してくるヒナ。
確かに待ち合わせ場所に向かっている時はとてもワクワクしたし、ヒナを待っている間はこれからデートなのかと胸の高鳴りが抑えきれなかった。
「なるほど、確かにヒナを待ってる間は凄くドキドキした。コレが待ち合わせ意味......」
「も、もうお兄ちゃん、迂闊にドキドキしたとか言わないでください! お兄ちゃんはほんとにそういうところですよ、ほんとに......」
「ん? よく聞こえなかった、何か言ったか?」
「な、なんでもありませんっ!」
「そ、そう?」
ヒナの一言一句を聞きま逃すまいとヒナの言葉を再度聞こうとするが強めに断られてしまう。
帰り道はしばらく他愛もない会話をしながら歩いていた。
そんなこんなで楽しい一日も終わり、いつの間にか自宅の前まで帰ってきていた。
「じゃあ、入るか」
ヒナと繋いだまま家の中へ入ろうと扉に手をかけたところで
「お兄ちゃん、少し、お話ししませんか?」
穏やかに笑ったヒナに手を引かれた俺は、そのまま夜の公園へと連れて行かれた。
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