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第27話

第27話



チナツちゃんに連れられ、俺とレインはチナツちゃんの想い人が教室で一人、書類作業をしている姿が見える位置まで来ていた。


チナツちゃんの想い人というのはカレではなくカノジョだった。


これはアレだ。百合というやつだ。


カノジョは聞いていた性格の通り絵に描いた委員長のような感じの見た目だった。


校則のまんまみたいなスカート丈に第一ボタンまで閉めたシャツの上からはボタンを全閉め、上からブレ

ザーを羽織っている。


三つ編みおさげに丸ぶち眼鏡をかける姿はまさしく定番の委員長で、ギャルギャルしい学校のチナツちゃんとは真反対の格好をしている。


俺は少し驚いたが、レインは予想していたのか、はたまた向こうの世界では同性婚が認められていたのか、カノジョの姿を見ても何も驚いていない様子だった。



「いいわね、手筈通りに行くわよ......」



「は、はいコレを渡してくればいいんですよね?」



「チナツちゃんが想いを込めて書いた手紙なんだ、きっと受け取ってくれるよ」



「あ、ありがとうございます.......少し恥ずかしいですけど、頑張ってきます!」



そう言って一通の手紙を携えた千夏ちゃんはカノジョの元へと歩いていった。






ーーー



「ーーーいい作戦、ですか?」



レインは突然立ち上がり、頭に! マークを浮かべながら提案してきた。


どうやら! マークは魔力のない人間には見えていないらしく、チナツちゃんは何も動揺していなかった。



「そう、いい作戦! いたってシンプルだけど、言葉もメッセージもダメなら手紙を書いたらいいと思うの」



「「なるほど......」」



名案を出てきたレインに俺とチナツちゃんは思わず感心する。


確かに、古来から日本は和歌などを想い人に贈り、そのやり取りで人と繋がり結ばれていた。


今こそロインやイソスタのメッセージでやり取りをしているが、その元となったのも文通だ。


手紙という手法は古より伝わる告白手段でもあるのだ。



「手紙.......書いてみます、なんだかスッキリしました! 相談に乗ってくれてありがとうございました!」



そう言うとチナツちゃんはぺこりと頭を下げ、会議室を後にする。


話を聞いているとすっかり放課後と呼べる時間も終わりに近づいていることが分かり、その日はレインとともに家に帰った。






ーーー



翌日、相も変わらず扉の前で土下座をカマしていると



「手紙、書いてきました! ......その、不安なのでレイン先輩に読んでもらえると嬉しいです......ってひゃあっ!?」



「やはり神は生きていた!」



昨日の今日で何も学習していないのか、扉を開けたチナツちゃんが身につける漆黒の布と再び目が合った。







「......ほっぺが痛い」



「全く、コレに懲りたら明日からあの珍妙なDOGEZAとかいうポーズを扉の前でするのはやめなさいよね......」



「センパイは本当にパンツの覗き部だったんですね!! なんでレイン先輩はこんな人を......」



不本意にパンツを覗いてしまったのに何故か2人から思いっきしビンタをされた。


レインにビンタされた時はほんとに頬骨にヒビが入るかと思った。



「手紙、書いてきたんだってね。少し読ませてもらうわ」



「あ、はい......どうぞ」



レインはそう言うと差し出された手紙を開きふむふむと言いながら目を動かす。


最後まで読み終わったのか手紙をたたみ、チナツちゃんに返すとレインは溜め込んだものを一気に放出するように感想を語る。



「すごくいいと思うわ! こう、なんだか一緒に今までたくさん色んなことをして来たんだなって、その時の感じた感情とかもとてもよく伝わるってくるわ。あたしが良いと思ったのは、中学生の時の修学旅行で同じ布団で寝ていたところとか特に......」



「わぁーっ! ちょ、ここにはレン先輩も居るんですから、あまり内容のわかるような感想はやめてください! ......レン先輩もあたしの手紙を読もうとしないで下さい!」



「いいから、布団の話を詳しく!」



「何も良くないですよ! ......全く、やっぱり読ませるんじゃなかったかも......」



手紙を強奪して内容を確認しようと思ったが、思った以上のチナツちゃんの抵抗に屈し、読むことは叶わなかった。


帰ってレインに詳しく聞こうと思う。


するとレインが手紙を大事に抱えるチナツちゃんの両手に手を添える。



「良い結果になるようにおまじないをするわ......『シェア・フィーリング』」



「......え?」



「あ、お前......」



レインがチナツちゃんの手をつつみこんだ手の手との隙間から僅かに淡い光が覗く。


一瞬の事だったが、やはり妙な違和感があるらしくチナツちゃんは戸惑っていた。


極力魔法は他の人には見られたくなかったが、まあチナツちゃんなら良いだろう。


レインもきっとそう判断したはずだ。


そう思いながらレインの顔を見ると......



「......」



思いっきし、やらかした時の顔をしていた。


コ、コイツ......


何が起こったのか戸惑うチナツちゃんにレインは慌てて取り繕う。



「今、何が光ったような気が......」



「え? ひ、光った......? な、何を言ってるのかしらこの子は! レン、な、何か起こっとたように見えた?」



典型的なテンパリ方をするレインに誤魔化し方が下手くそだとつくづく思う。


助けを求めて顔を見てくるレインとそれにつられて俺の方を見るチナツちゃんに向かって俺は



「さ、さぁ? な、な、な、な、なんのコトでショウ???」



典型的なテンパリ方で誤魔化すことしか出来なかった。






ーーー



「お二人とも、着いてきてくださってありがとうございます。ここからは、私一人で行きますので......」



「おう、頑張れよ」



「頑張ってね!」



「......! はいっ!」



親指を立てる俺たちに向かってチナツちゃんも親指を立て返し、教室の方へと向かっていく。


そんな背中を見守りながら俺はレインに



「......で、なんで魔法使ったんだ?」



「......ッ!!」



何故魔法を使ったのか問い詰めていた。



「ゆ、許してちょうだい! だってチナツちゃんあんなに良い子なんだもの、つい魔法が溢れちゃうなんてよくあることよ!」



「よくあってたまるか! おかげで色々とバレたらやばいだろ。もっと溢れちゃわないように神経張りめぐらせとけよ」



「ご、ごめんなさい......」



ついうっかり魔法が溢れちゃうってなんだよ、コイツにとって魔法は小便か何かなのかよ。


何とかチナツちゃんは誤魔化せたが、次目の前で使うようなことがあればいよいよ疑われてしまうだろう。


レインの魔法は定期的にガス抜き的なコトをしないといけないかもしれない。


思わぬハプニングに頭を悩ませながら俺は一言。



「なぁ、そういえば何の魔法を使ったんだ?」



「え? あぁ、『シェア・フィーリング』はその人の感情が込もっているモノに他の人が触れると、その感情が分かるっていう魔法よ。昔コレで古代兵器に感情を持たせようと実験していた国が機械兵の反逆によって滅んだコトがあったわね......」


ロボットに感情を持たせるという禁忌を犯した結果たどり着くオチはどこでも一緒だな......


ともかく媚薬みたいな魔法じゃなくて良かった。


感情を文字通りシェア出来るとするなら、想いを込めて書いたチナツちゃんの手紙を読めば、きっとチナツちゃんの想いはカノジョにも伝わるはずだし無下にはされないだろう。


教室に入り、カノジョに手紙を渡すチナツちゃんの姿を確認した俺たちは、見つからないよう移動し聞き耳を立てることにした。



最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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