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第25話

第25話



「ぜー、ぜー、」



つ、疲れた。疲れすぎた。



日もすっかり沈み、辺りが暗くなってきた頃に俺はむちゃくちゃ息を切らしながらもなんとかレインと2人分の荷物を背負って家に帰ってきていた。



「た、ただいま」



「あ、お兄ちゃんおかえりなさいっ。ご飯できてますよ〜......って、どうしたんですか?レインさん」



「色々あって泡吹いて気絶しちまった」



「大変じゃないですか!? 待ってください、ヒナもリビングまで運ぶの手伝いますから!」



そう言うとヒナは俺と一緒にリビングのソファーへとレインを運ぶのを手伝う。


途中リビングにいたマオに呆れられながらも手伝ってもらい、なんとかレインをソファーに寝かせることができた。



「一体なにがあったのじゃ? 仮にも勇者であるレインが気絶するなんて、よっぽどのことがあったのじゃないか?」



マオはレインを丁寧に介抱するヒナの姿を見ながら俺に問う。



「実はかくかくしかじかで......」



俺は今日あった出来事を簡単に2人に説明する。



「それは怖かったですね......今日は私は我慢するのでお兄ちゃんはレインさんと一緒に寝てあげてください、きっとお兄ちゃんと一緒じゃないと寝られないと思うので」



ヒナはレインの介抱を終えると、俺に向かってそう言う。



「いいのか?ヌシ、今日1日レンと一緒に寝ることを楽しみにしていたのではないか?学校でも周りの友人たちに自慢して、むぐっ」



「ちょっと黙ってましょうマオちゃん!? それ以上言っちゃダメです! 絶対! お、お兄ちゃんもニマニマしないで下さい!」



そっかそっかヒナは学校の友達に自慢しちゃうほど俺と一緒に寝るのを楽しみししてくれてたのか。


......ん? そんなこと話してヒナはブラコンだとかいじめられないのだろうか?


まあマオもいるし大丈夫か、ヒナは可愛すぎていじめられないだろうし。


ヒナがすごく楽しみにしてくれていたことが素直に嬉しくヒナの頭を撫でる。



「悪いな、今度なにかしらで埋め合わせするから」



「じゃあ、今度の休みの日私とデートしませんか?お兄ちゃん」



そう提案してくるヒナに俺はもちろん



「デートのお誘いありがとうございます、謹んでお受けします」



正座して頭の中で正式な文章に落とし込んで約束した。




ーーー


レインは目が覚めると、旧校舎での出来事が余程怖かったのか、ひしっと俺の腕にしがみついたまま離れようとしない。


そんな様子を不服そうに見つめながらもヒナは



「今日は特別ですよ?」



と言うと夕飯の時にいつも座っている俺の隣の席をレインに譲り、マオと隣合って食事をしていた。


レインは食事もとる気力がないのか俺の左手に捕まったたた離れようとしないため、そのままレインにあーんしながら交代で自分でも食事をとっていたので、食べ終わる頃にはヒナとマオは食事どころか風呂まで済ませてしまっていた。



「レイン、先に風呂入っていいぞ」



台所へと食器を片付けに行きながら未だ腕にしがみついたままのレインに言うとレインは目も合わせないまま無気力に答える。



「今日はお風呂入らないでいい......」



「そうか? じゃあ俺は入るから離してくれ、汗かいたからはやくさっぱりしたい」



散々走り回ったせいで全身汗だくで気持ちが悪い。


俺は脱衣所へ向かうが、レインは腕に抱きついているままだった。



「あのー、レインさん? 離してくれないとお風呂入れないんですけど......」



「一緒にはいる」



何を言ってんだこいつは。



レインはそんな事を口走ったあと脱衣所で俺の手を離したかと思うとおもむろに制服を脱ぎ始める。



「ちょ、ちょ待っーー! 風呂入りたいならそう言えよ、俺は後でもいいからさ!」



そう言ってレインから解放された隙に脱衣所を出ようとするが、あと少しのところでレインに手を掴まれる。



「レンが入らないなら、あたしも入らないわ......」



「......はい?」



「だから、怖いから一緒にお風呂に入りましょうって言ってるの」



上は制服に身を包み、足元には脱いだスカートが落ちてしまい、下着が丸見えとなっているレインがそう言ってきたーー






ーーー



「一緒に風呂なんか入れるわけないだろ」



「〜〜~ッ!!」



俺が真顔でツッコむとレインが途端に泣き出してしまった。



......



ここまで泣かれるとは思わなんだ。


おそらくレインは今日のことが本当にトラウマになってしまったのだろう。


さっき言っていた通り俺が風呂に入るなら一緒に入るし、入らないと言ったら本当に入らないつもりらしい。


かと言ってレインを背負って散々走り回ったせいで汗でベタつくし日本人にとって明日も学校があるのに風呂に入らないという選択肢はない。



「......はぁ、全く、しょうがねーなあ。今日だけだからな?」



「ーーっ! うん! ありがと、レン」



レインはひどく安堵した表情を浮かべ、いつもなら恥ずかしかるのに今はなんとも思っていないように裸になる。


日本男児としては女性にはもっと慎みをもって欲しいものだが、さっさと風呂に入ってしまうレインに続いて、はやくシャワーを浴びたい俺も風呂に入る。


シャワー中もレインは俺の左手にひしっとくっついてきていた。


裸の女の子に風呂場で密着されるのは当然童貞には刺激が強すぎるわけで。


風呂場で密着してくることによってベットとは違い、洗剤などでよりすべすべになった互いの肌が擦れ合い、なんのとも言えない気持ちになる。


というか、もうお構い無しに胸や他の箇所を押し当ててくるレインは立派な痴女ではないだろうか。


相変わらず自由に使えるのは右手のみでシャンプーもリンスもボディーシャンプーも全て右手でのみ行った。



「レイン、お前もシャンプーとかしなくていいのか?」



「......レンが洗って?」



......



どうやら今日のレインはホラー回によってツンの要素が排除され、完全にデレの要素しか持ち合わせていないらしい。


俺が言われるがままにシャンプーとリンスをし終えるとレインは何か言いたげな表情で俺を見つめてくる。



「......」



「いや、流石に体は自分で洗えよ?」



「やだ」



「即答すんな」



レインはどうやら体も俺に洗ってほしいらしい。


仕方なく握りしめたタオルにボディーシャンプーを垂らし泡立て、レインの体を洗い出す。


左手にしがみつかまれた状態なのでうまいこと全身は洗えないが、できる範囲はキレイに洗う。


こんな〇ープランドみたいなプレイをさせられると当然俺の聖剣も戦闘準備に入るわけで。


なんだかレインの視線が俺の聖剣に釘付けだったような気もするが、なんとか体を洗い終わり、シャワー

で洗い流して2人で湯船に浸かる。


湯船に浸かっている間さえもレインは俺の左手を解放したくはないらしい。


なんだかどっと疲れた体に湯船の気持ちよさが染み渡る。


はひゅーっと俺がくつろいでいると



「ねぇ、レン、男の人のソコってそうなったら苦しいんでしょ?あたしがなんとかしてあげよようか?」



突然そんなことを言ってくるレインに思わず俺は吹き出してしまう。



「な、何言ってるかわかってるの、お前? そんなコト気軽に言っちゃダメだぞ、ホントに。特にこんな状態になっている男にはな」



「べ、別にレン以外の男の人にそんなコトは言わなわよ。あたしはただ、今日色々と助けてくれたお礼をって思って......」



「助けてもらったのは俺の方だよ、レインがいなかったらあんなグロッキーな魔物に勝てるわけなかったしな......」



ピクシーは今思い出してもぞっとするような醜悪な見た目をしていた。


俺の中のピクシーのイメージはもっと妖精さんに近いものだったのだが、所詮魔物は魔物ということを身をもって実感させられた。



「それに、そういうことをするのは正式な結婚をしてからってヒナに言われたろ?」



そう、俺はどんなに過酷な状況下でも愛しの妹との約束は破ることはできないのだ。


それに、今の弱っているレインにそのようなコトをしてもらうのはなんだか弱みにつけこんでいるようでなんだか気が引ける。



「ほら、もうあがるぞ」



腕にしがみついたままなレインと共に立ち上がると顔を赤くしたまま一緒に風呂場から出た。





ーーー



「じゃあおやすみなさい、お兄ちゃん、レインさん」



「あぁ、おやすみ、ヒナ」



そう言うとヒナはそそくさと自分の部屋へと行ってしまう。


レインはよほど疲れたのか、もうベットの中に入ってすやすやと眠っている。



「俺も寝るか......」



レインの気持ちよさそうに眠る顔を見て思わずあくびが出、レインの隣へと体を滑らせる。



「明日は面倒なこと起きないと良いけどな......」



俺がベットに入るとまたひしっと抱きつてくるレインの顔を見たがらそんなことを呟き、目を瞑り、心地のいい夢の世界へと誘われた。


最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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