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第24話 さすが勇者

*若干ホラー描写あります

第24話 さすが勇者



「やばーーい! なんだアレむちゃくちゃやべーー!!」



俺は耳に息を吹きかけたことと、倉庫の扉が空いてしまったダブルショッキングで白目を剥いてしまったレインをおぶりながら、3mはあるだろうガーゴイルから必死に逃げていた。


大きな爪で引っかいてこようとするガーゴイルの攻撃をギリギリのところで避けつづける。


俺がレインを背負いながらこんなにも動けているのは、レインと秘密の魔力増量特訓中に覚えた初級程度の身体強化魔法を使っているからだ。


初級といっても元々のステータスを2倍してくれるので、俺でも熊田くらいなら余裕で倒せるほど身体能力が強化されている。


階段を登ったことでなんとかガーゴイルを撒き、旧体育館全体を見渡せることのできる2階に身を潜める。


旧体育館の中で唯一の出口でさっきのガーゴイルは陣取っていた。


どうやら探すのは諦めてこっちから出ていくのを待っているらしい。


俺はおぶっていたレインを降ろし、肩を揺らす。



「おい、レイン起きろ。気絶してる場合じゃな

いだろ」



「うーん、あと1時間......むにゃむにゃ......」



コイツ!!



俺は流石にキレ、肩を揺らしても起きないので仕方なくレインの慎ましい胸を激しく揉んだ。



「んっ、ちょっとくすぐったいわよ......んっ、うん? えっ? ちょ、な、なんで胸揉んでるのよエッチ!」



飛び出してくるレインの拳を魔法で強化された身体能力を存分に活かし余裕で躱す。



「!?」



いつもなら当たっていたであろう拳が躱されたのにレインが驚いているが今はそれどころじゃない。



「すまんがレイン緊急事態だ。あそこのガーゴイルみたいなやつ見えるか? あれが幽霊の正体だったんだよ!」



レインは不服そうながらも俺の指さす方向を見る。


ガーゴイルを見つけるとレインは驚いたように目を見開き



「なんでピクシーがいるの!?」



......?



「ピクシー?? ガーゴイルじゃなくて?」



「何言ってるの? ガーゴイルはもっと小さいしあんなグロっちい見た目じゃないわよ」



まじか。


俺のイメージしていたピクシーとガーゴイルの真逆じゃねえか。



「きっとあたしかマオの魔力の影響でこっちの世界に流れてきちゃったのね。これで怪談話の件も辻褄があったわ! 幽霊なんているわけないもの、きっと悪戯好きのピクシーたちが人間に構ってほしくてやったのね!」



「いやお前さっきまで白目剥いて気絶してたじゃねえか」



「待っててねレン、すぐに倒してくるから」



俺のツッコミを無視してレインは何事も無かったかのように2階から飛び降り、ピクシーと戦い始める。


流石は魔法生物だ、魔法をむちゃくちゃ連発している。


対するレインは結界魔法を使っているのか魔法を放ってくるピクシーに全力ダッシュで無傷のまま凸っていく。


ピクシーは最初こそは余裕の表情だったが、魔法が効かないことに焦り始め、最後は至近距離で魔法を連発していた。



「よくもおどかしてくれたわね......この代償は死を持って償うとするがいいわ! 『ジャッジメント・オブ・フレイム』!!!」



レインがピクシーの顔の目前まで飛び上がり、そう唱えるとあんなに巨大だったピクシーの体は一瞬にして炎につつまれ、まばたきをするとそこにはレインと無惨にも空中に散ってる灰があるだけだった。



レ、レインさんさすゆう......



その灰をかき集めるとレインは何かの袋に詰めていた。


2階から降り、何をしているのかとレインに尋ねると



「ピクシーの灰はね、お料理にちょこっとだけかけるとすっごく美味しくなるの!」



俺は無言でその袋を取り上げ、校庭に中身を埋めた。




ーーー



その後も同じような展開だった。


旧音楽室で聴こえる楽器の音はピクシーが爪を立て床に絵を描いていた音で、旧科学準備室では何故かピクシーが踊っているというシュールな状況があるだけだった。


2匹ともレインの業火に見るも無惨に焼き尽くされ、灰を持って帰ろうとするレインを止めるのに一悶着。


事件は全て解決した。


最後にレインがトイレに行きたいと聞かなかったので旧校舎の中で唯一電気が通っていたトイレに連れていった。



「『ジャッジメント・オブ・フレイム』!!」



何故かトイレからレインの魔法が聞こえてきたが、すっきりとした顔のレインによるとトイレ中に変な気配を感じたので放ってしまったらしい。



「お、お前人間相手だったらどうすんだ......」



「大丈夫よ、明らかに人間の気配じゃなかったから。きっとピクシーがもう一体いたに違いないわ」



自信満々なレインに疑いの目を向けることを止めることが出来ない。


とはいえまあ今日はレインも中々頑張ってくれたことは事実だ。


俺はいつものようにレインの頭を撫でたり顎の下を撫でてゴロゴロとレインを鳴かせながら、片手で天宿先輩に解決したと報告をしていた。


メッセージを送った瞬間、スマホから電話がなり、驚いてでると天宿先輩だった。


俺はスピーカーにして「どうしたの?」と駆け寄ってくるレインにも話を聞かせてやる。



「いやー、早いね! 本当に解決してくれたんだ? もうちょっと時間かかるかと思ってたけど、やっぱり君たちに頼んで正解だったねー! これなら城西祭までに準備余裕で間に合っちゃうよ! ホントありがとね!!」



電話越しにでも天宿先輩のテンションが高いことが分かる。


そんなに喜んで貰えるとは思っていなかったので、雑用を押し付けられたこともすっかり忘れ、俺とレインは少し誇らしげな気持ちになる。



「いやー、大変でしたけど喜んでもらえて何よりですよ。あ、ちなみに城西高校三不思議じゃなくて四不思議でしたよ。ここのトイレさっきまでレインが使ってたんですけど物音がしたらしいです」



俺はビデオ通話に切り替え、さっきまでレインが入っていた女子トイレの前を見せる。



「え、?今旧校舎に電気は通してないはずだし、水も止まってるはずだよ。それにそんな場所のトイレ3年生の私でも見たことない......」



スマホに映った天宿先輩の表情は見る見るうちに青ざめていく。


俺とレインが目を見合わせると、それが合図だったかのようにさっきまで灯いていた電気は不気味な程に点滅し始め、女子トイレの奥からはガタガタとここまで聞こえてくるような大きな音が響きはじめる。


足が震えだし、目の端に涙を浮かべ始めたレインは......



「あーそーぼー」



という女子トイレから聞こえてくる不気味な声を聞いた途端、再び白目を剥き、泡を吹き出しながらぶっ倒れた。



「ちくしょーー! やってらんねー!!!」



気絶したレインを再びおぶりながら旧校舎から逃げるために駆け出した!

最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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