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第21話

第21話


私立城西高校では年に2回城西祭という名の文化祭が開催される。


1つは春の城西祭、2つ目は秋の城西祭だ。


ちなみに四季全てに行事があり、夏には体育祭、そして冬には修学旅行がある。


しかも全ての行事のクオリティがとにかく高いのだ。


その財源はどこからくるのかというと、私立高校だから学費が高いというのもあるのだが、ほとんどの部活が全国常連で賞金などをたくさん稼いでくるため、その稼いだ分の賞金をふんだんに使っているのだ。


ちなみにその行事のクオリティが1年前に部活動などで稼いだ賞金が使われているので、成績が振るわないと来年以降の行事に影響すると知った生徒たちが死に物狂いで努力しているというのも城西の部活が強豪ばかりの理由の一つだ。


そんな中もう6月に差しかかろうとしていた日に、春の城西祭での実行委員的ポジションを決める日が今日だった。


実行委員を決めると言ってもほとんどの生徒が部活に所属している城西では、自ずと帰宅部や比較的忙しくない文化部へとヘイトがむくのが恒例なのだ。



「俺のクラスに帰宅部は俺とレインだけだし、確定で面倒事やらされるんだよな......」



「つまり、何か面白そうなことになるってことね!」



教室で自分の席についているとレインが俺の膝の上に座りながらそう行ってくる。



「面白くないよ、ただ面倒なだけだよ......ていうかなんでお前は当たり前みたいな感じで俺の上に座ってるの?降りて欲しいんだけど」



「だめ! レンはほっとくとすぐ女の子に言い寄られちゃうから、こうやって周りに見せつけとかないとまたあのサッカー部の時みたいになっちゃう!」



レインは俺がポニテ先輩と仲良くなったことをまだ根に持っているらしい。



「このクラスの中じゃ見せつけなくても俺に言い寄ってくる女子なんかいないと思うぞ、レインが転校初日に俺の事ダーリンだとか言い放ったからな」



「あら?嘘は言ってないじゃない」



確かに嘘ではないが......


あの日から明らかに俺に対する男子生徒の態度が敵意むき出しになったが、熊田とやりあった噂は学校中に広まってしまったらしく、一部の男子を覗いて、俺に敵意を向けてくるような男はいなくなった。


むしろ怯えられるようになってしまった。


反対に女子からはポニテ先輩のように好意を寄せてく れる人も少なくなくなったが、隣にレインがいることから勝手に諦めていってしまうのだ。


日本にも早く一夫多妻制度が導入されればいいのに......


などと考えていると担任が教室に入って来、いつものようにホームルームが始まった。


ホームルームが始まると俺が思っていた通りに、何も言っていないのに担任から名指しで俺とレインが文化祭におけるこのクラスの委員長と副委員長に決められ、誰も何も意見しないままホームルームが終わってしまった。


レインが委員長をやりたいとか言い出したが、まだこの世界に来て1ヶ月くらいしか経っていないレインをそのような役職にする訳にも行かず、俺が委員長になった。


レインはぶーっと文句を垂れていたが、秋には委員長をやらせてやると言ったらすんなり引き下がった。


そう、秋も俺たちが委員長と副委員長をやらなければならないのだ。


ちなみにその他の体育祭や修学旅行でも俺たちがその役職に着くことになった。


雑用係のように城西には1クラス最低2人は帰宅部が配属されている。


俺が不登校のままだったらどうするつもりだったのだろうか。




ーーー



そんなこんなで放課後、早速文化祭に向けての第1回会議が行われた。


会議と言っても第1回はオリエンテーションみたいなものでそれぞれのクラスと学年、名前を紹介して簡単な仕事内容やそれぞれの役割分担をする程度のものだった。


レインはやはり一際目立っており、そのお陰で俺の印象は大分薄くなったのでとてもあがたい。


そうして会議が終わり、レインとともに会議室からでようとすると



「川崎くんたち、ちょっといいかな?」



文化祭実行委員長に呼び止められた。








「聞いたよ、あの熊田をぼこぼこにしてやったんだってね! まさか川崎君達が実行委員の仲間になってくれるだなんて思ってもみなかったよ☆」



「あはは、ぼこぼこにはしてないですけどね......」



帰ろうとする俺たちを引き止めたのは城西祭の実行委員長の 長月 カエデ先輩だ。


彼女を一言でいい表すならばギャルだ。


テンションがとにかく高いし、さっきまでの会議も彼女が色んな人に話を振って場を盛り上げていた。


はっきり言ってこう言ったタイプの人間は苦手だ。


高いテンションに合わせようと無理するのも疲れるし、合わせなかったらこっちが空気読めていないみたいな感じになるあの雰囲気が万年ぼっちだった俺にとっては少しばかりキツイ。


最近はコミュ障気質もレインやマオのお陰で改善されていたと思っていたが、どうやらまだまだのようだ。爪は何か塗っているのかキラキラと輝いてるしバ

レない程度にメイクもしている。


明るい髪色に大きな瞳、そしてチークを塗っているのか頬が赤く可愛らしい。


制服の着こなし方も正にギャルと言った感じでワイシャツの第1ボタンを外しわずかに谷間が見えてしまっ

ている。


スカート丈も非常に短く、腰に黄色のカーディガンを巻いているが、組んでいる足を組み換えたとしたら絶対に中身が見えてしまうだろう。



「あはは、川崎っち視線いやらしいすぎー」



「す、すみません」



いかん、ジロジロと見すぎた。


隣でレインが俺の方をじっと見ているのが横目で分かる。


瞬きしてない、怖い!


ていうか川崎っちってなんだよ。


この距離感の詰め方がまさに苦手なんだよな......


レインの息がほっぺに当たるほどレインが俺に近づいてくると



「川崎っちたちを呼び止めたのはちょっとお願いしたいことがあってね」



と長月先輩が立ち上がり、右手の人差し指と親指で銃の形を作り、俺たちの方をバキュンと撃ちながら唐突なことを言い出す。



「文化祭期間中のトラブルや面倒事とかを2人に解決して欲しいんだよね☆」



「「...はい?」」



俺とレインの声がハモった。

最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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