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第18話

第18話



「起きなさい、この2人はいつまで寝てるのかしら.....いつもは起こしに来るヒナちゃんもやっぱりレンと寝ると起きられない、のね.....?」



朝っぱらからやかましいレインの声でもう少しで寝れそうだった意識が覚醒させられる。



「レン、一体どうしたの、目の下が真っ黒よ!?」



「いや、ちょっと眠れなくてな.....」



昨晩あんなことが起こったのに呑気に眠れるはずも無い。


そう、事件は昨晩起こったのだ。






ーーー


「ーーーーもしお兄ちゃんと私の血が繋がってないって言ったら、お兄ちゃんはどうしますか?」



「は? 急に何言ってるんだ?」



毛布の間から顔をひょこっと出したヒナがそんなことを聞いてくる。


その表情は今までに見たことないくらい真剣で、そして頬は暗闇越しで分かりそうなくらいに紅潮していた。


しばらくの間無言の時間が続き、ただ2人で互いの顔を見つめ合う。


俺の心臓は途端に高鳴りだし、ヒナに対して何邪な感情を抱いているのかと胸を抑える。


ヒナは質問に対する俺の答えを待っているのか、何も喋ろうとはしない。


落ち着け、よく考えろ。相手はヒナだぞ。


可愛くていつも俺の世話を焼いてくれて、しっかり者で、かと思ったら意外と甘えんぼうなで子供の頃から同じ家で育って.....


あれ? いつからヒナと一緒に暮らし始めたんだっけ.....


生まれた時から一緒だったけ


それとも物心ついた時からだっけ...?


......



意を決した俺はごくりと唾を飲み込み、ヒナの質問に答えようとーーー



「なーんて、冗談ですよお兄ちゃん!ふふ、真剣に考えてくれたんですね、ヒナは嬉しいです、さあもう寝ないと本当に明日に応えますよ、おやすみなさい!」



「な、なんだ、冗談かよ本気でびっくりしたぞ.....」



したところで冗談だと言ってぷいっと反対側を向いて寝始めるヒナの後ろ姿を見、俺も寝ようと再びヒナの背の方を向いて目を閉じようとする。





目を閉じる瞬間、ヒナの耳が赤くなっていたのをヒナ大好き人間の俺が見逃すはずもなかった。





ーーー


という世紀の大事件が起こってしまい、色々と考え込んでしまって昨夜は一睡も出来なかったのだ。


顔を洗ってさっぱりしようとまだ眠るヒナを起こさないように部屋を出る。


制服の上からエプロンを着ているのレインはそんな俺を心配するような素振りを見せながらもヒナを叩き起すほうを優先するらしく、ヒナの肩を激しく揺らしていた。


顔を洗おうと洗面所へ行くと同じくレインに叩き起されたのかあくびをしながら魔王が同じタイミングで洗面所へと入ってきた。


魔王の寝起き姿はツインテールもほどけていて腰の辺りまで寝癖のつきまくっている銀髪が伸びていた。


互いに朝の挨拶をし交代で顔を洗い終わり、俺が朝イチの歯磨きをしていると



「のう、なんでヌシはブラシで歯をシゴいているのじゃ?」



歯磨きを初めて見るのか、魔王が俺の口元を凝視してくる。


そうか、こいつらの世界の文明は全然進展してないから歯磨きという概念を知らないんだった。


レインも最初は魔法で生成した水を口に含んでうがいして終わりだったため、嫌がるレインの口の中に無理やり歯ブラシを突っ込んで歯を磨いてやったっけ.....


虫歯という病気の存在を知らせると、泣きそうになっていたレインの顔を思い出しながら俺は魔王用に予備の歯ブラシを戸棚から取り出す。


今はもうすっかりレインも朝は歯磨きをするようになったため、歯ブラシ立てには三本の歯ブラシが立っている。


魔王に歯磨き粉を付けた歯ブラシを渡し、レインと同じように虫歯という恐ろしい病気の症状を伝え、その対策方法が歯磨きだと伝えると、魔王もレインと同じく泣きそうになりながら俺の見様見真似で歯を磨き出す。


朝イチの口の中は寝ている間に増殖した菌がたくさんいるので、朝イチで歯を磨かないと落ち着かないのだ。


いつものルーティンを終え、すっかりと目が覚めた俺は朝食を作ろうとキッチンへ行こうとすると、何故かもう四人分の朝食がテーブルの上に並べてあった。


俺と魔王が座ってレインとヒナが来るのを待っていると、今起きたのか、パジャマ姿でぽやぽやとしているヒナの手をとってレインがリビングへ入ってきた。


今のレインの姿は制服の上にエプロンを着ているため、学生妻らしさが感じられ非常に良い。


ヒナを洗面所へ促すとレインはどやっとした顔で胸に手を当て



「今日の朝食は私が作ってみたわ、前にレンに食べさせてもらったようにトーストとサラダを作ってみたの、どうかしら?」



と自信満々気に言ってくる。


ステータスの高さは料理にも影響されるのか、異世界人が初めて作る料理にしてはトーストも焦げてないし本当にきちんとした朝食って感じだ。


ヒナが洗顔と歯磨きを終え、席に着くと四人揃って朝食をとった。


レインの作った朝食は味も悪くなく、特にパンに塗ってあるバターか蜂蜜のような液体がとても美味かった。


レインに何を塗ったのか聞くと



「あぁ、それはね『アイテムボックス』にしまってあったあっちの世界で狩ったマンドレイクの生き血よ、魔力たっぷりだし味も甘くてとっても美味しいの!気に入ってくれたかしら?」



「なんてもん食わせんだ!!」



信じられないことを言い出したレインに思わず俺は飲んでいた牛乳をレインの顔面に吹き出し、ヒナは喉に詰まらせたのか咳き込み、魔王はそんなこと気にしないとばかりにバクバクと食べていた。


顔面に牛乳を浴びて泣いていたレインに謝り、顔を洗ってあげ直した。


レインに料理させるときは俺がヒナどちらかが監督するようにすることを心の中で誓いながら、ヒナにいつものようにネクタイを結んでもらい、レインともに学校へと出発した。







ーーー



「魔王さん......ですよね?」



「あぁ、そうなのじゃ。魔王なのじゃ」



お兄ちゃんとレインさんを見送ったあと、家には私と先日お兄ちゃんが連れてきた魔王さんの2人きりの状況になっていました。


今日は祝日なので、私は学校に行く必要がなかったのですが、お兄ちゃんは休んでいた分の補習ということでしばらくの間祝日はその時間に当てられるそうです。


レインさんは行く必要がないのですが、お兄ちゃんについて行くと聞かないのでお兄ちゃんも同行を許してしまいました。


私もお兄ちゃんと学校に行きたいのに、レインさんだけずるいです。


早く私も高校生になりたいなあと思っていると魔王さんがちょいちょいと私の腕を突っつき



「のう、ヌシはレンたちと一緒にガッコウとやらに行かなくてもよいのか?」



ヌシって多分私の事だよね......



「あ、はい。私はお兄ちゃんたちと歳が離れているので別々の学校に通っているんです。そして今日はお休みの日なので、色々と家事をしようと思っています」



私が今日の予定を魔王さんに伝えると



「そうなのか?のう、ガッコウというところは何をする場所なのじゃ?」



......



そういえばレインさんにも同じ説明をしたなと思いながらも再び魔王さんにも同じ説明をする。



「学校はですね、簡単に言えば子供たちの学び舎です。子供の頃から色々なことを学んで、自分の将来やりたいことを探す場所なのです」



「なるほどなのじゃ.....すごいのじゃ、我もその学校に行くことを所望する!」



「え!?」



確かに魔王さんは見た目は小学生ぽいし、今の日本なら普通教育を受けさせる義務が憲法によって定められていますが.....


ワガママ言ってレインさんの学費までお父さんに出してもらっているのにこれ以上出費がかさむのは.....


私がうーんと顎に手を当て悩んでいると、色々と難しいことを察したのか、魔王さんは物憂げな表情で



「いや、今のは忘れていいのじゃ。ただ、歳の近い友人と呼べる者が居なくて少し勇者が羨ましくなっただけなのじゃ.....」



「ーーっ、分かりました。魔王さん、ヒナとお友達になってくれませんか?」



「えっ?」



あまに寂しそうな表情をする魔王さんにそう提案しない訳にはいかなかったです。

最後まで見て頂いてありがとうございます!(´▽`)

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