第15話
第15話
レインが部活を見学したいとのことだったので、放課後に部活動見学に行くことを約束した。
よほど楽しみなのか、今日のレインは授業中も昼休み中もずっと浮き足立っていた気がする。
城西高校は部活動がでたらめに強いことで有名だ。
ほとんどの部活は全国常連だし、大学へ行くやつも部活動の推薦がほとんどなので一般入試で大学に行くやつはほとんどいない。
帰宅部のやつは他にやりたいことがあるやつが殆どで、そいつらの進路は大体就職か専門学校なのでどんな進路先でも全力で支援してくれることでも有名である。
だが稀に俺のような何もやる気がない帰宅部生徒がいるため、その救済処置として作り出されたのがこれだった。
「は、恥ずかしい.....」
俺とレインは首から<部活動見学中>と書かれた大きな看板をぶら下げさせられていた。
俺とレインの会話をどこから聞いたのか、放課後になると担任がこの看板を持たせてきたのだ。
この看板はさっきも言ったようにこの学校なりの救済処置で、この看板を見かけると何も言わずとも部活動を見学させてくれるというものだ。
気持ちはありがたいがもう少し目立たないようにできなかったのか.....
あまりに目立つ看板に恥ずかしい思いをしている俺と同様、レインもむちゃくちゃ恥ずかしそうだ。
「あたし、珍しい魔物として見世物小屋に展示される希少モンスターの気分だわ.....」
.....
いつまで突っ立っていても何も始まらないのでレインの手を取り色々な部活を見て回ることにした。
サッカー部、それは高校での部活動といえばとして真っ先に名前が挙がる部活動だ。
野球部には件のマッチョがいるらしくあまりかかわり合いになりたくないので今回はパスした。
城西のサッカー部は男女どちらも全国常連という、とてつもない強豪だ。
そんな部活に俺が入れるわけもないので今日はレインがメインの俺は付き添いという形だ。
レインとともに女子サッカー部へと見学に行くと
「うん? その看板、君たち女子サッカー部の見学にきたの?」
と、腰あたりまで届くような長い髪を一つにまとめ、ポニーテールにしてるクールで美人なお姉さんから話しかけられた。
「はい、俺は付き添いなんですけど、こいつが見てみたいって.....」
「あら? その金髪、話題の転校生ちゃんね! いいよ、2人とも是非見て行って!!」
転校して2日目なのにもう3年生にも認知されてるとか、目立つ外見もやっぱりいいことだらけな訳じゃないらしい。
「あの、レインって3年生の間で有名なんですか?」
俺がポニーテールのお姉さんにそう聞くと
「そうだよ、なんでもあの熊田のナンパをきっかり断った上に痛い目に合わせてくれたみたいじゃん? あいつは3年生の恥部だからね、話を聞いた時は思わずスカッとしたよ!」
話を聞くに、先日レインに手を出そうとしたあのマッチョは熊田という名前らしく、強引に女子をナンパすることから3年生間では相当嫌われていたらしい。
だがあの屈強な体の前には誰も口を出すことができず、ストレスは募る一方だったがレインがぼこぼこにしてくれたお陰で3年生の間でレインは人気沸騰中ということだった。
「あ、キミも勇敢に立ち向かったそうじゃん? 見た目は弱っちそうなのに、3年の男どもと違って中身は本物の男の子って事ね! 私、キミみたいなカワイイ男の子結構タイプ! よかったらイソスタ交換しない??」
と先日のマッチョ改めて熊田との俺たちのやりとりは一部始終が見られており、瞬く間に拡散されていたらしい。
ポニテ先輩はそう言うと俺にぐいっと近づき手をとって連絡先を交換しようとする。
俺好みのすらっとしたクールビューティな年上の人に迫られるとレインが隣にいるのにも関わらず心臓の高鳴りが抑えられない。
というか距離近いためかとられた手がレインよりも若干主張の強い胸に当たっている気がする。
やっぱり朝トイレで格闘しとくべきだったと思いながらも、俺はポニテ先輩にされるがままイソスタを交換させられ.....
「ちょっと! あんたレンと近すぎるわ、離れなさいよ!」
そうになったところでレインが俺とポニテ先輩の間に割って入る。
嗚呼、マイポニーテールヴィーナス.....
離された手にわずかに残る感触をしっかりと噛み締め、俺とレインは本格的にサッカー部の見学をすることにした。
フォロリクの欄にポニテ先輩らしいアイコンを見つけると速攻で相互フォローになったのはレインには黙っていよう。
見学の内容だが、結果としていえばめちゃくちゃだった。
レインは蹴る力が強すぎてボールを蹴った瞬間何個か爆発させてしまっていた。
力をコントロールして蹴ってみるとデタラメな軌道を描いてゴールネットを揺らし、なんなら貫通してた。
途中行われたミニゲームでは持ち前の運動神経を活かして様々なポジションをしていたが、一番凄かったのはGKだった。
PK対決になるとレインは予測や駆け引きなど一切使わず反射のみでシュートをセーブしていた。
俺はもちろんポニテ先輩もドン引きしていたが、部長らしいボーイッシュな先輩にはぜひうちの部にと勧誘されていた。
レインはあまり乗り気じゃ内容だったのでその手をとってほかの部活動の見学にも行くことにした。
結果としてはサッカー部同様、全部でたらめに終わった。
テニス部ではスマッシュが強力すぎてコートに穴を開け、水泳ではバタ足だけで100m30秒という異常な記録を叩き出し、ボードゲーム部では1番強いらしい部長にすべてのゲームで勝ち、泣かせてしまった。
他にもいくつか部活を回ったがすべて同じようにな結果になったので省略する。
そして決まって最後にはレインは勧誘されまくり、微妙な反応をして断る。
見てるだけでも疲れる光景だったので早く帰って寝たい。
体操服姿から着替え終えたレインと一生に下校する道を歩いていると
「この学校は精鋭の集まりだと聞いていたのに、そんなに強くなくてがっかりだわ。あんなステータスで魔王なんか倒せるわけないじゃない」
レインはそう呟きながら途中コンビニで買ったアイスを頬張っていた。
別に魔王を倒すために鍛える組織として部活動がある訳じゃないんだが......
そんな帰り道の途中で見えた黒い影に思わず目を止める。
その影は河川敷の坂になっている場所に腰をかけ、体操座りをしながら川をぼけーっと眺めている。
俺はなんだかその姿が無性に気になり、近づいてみようとするとそれを見ていたレインに手を掴まれ、思いっきり引き止められる。
思わず転びそうになった俺はいつもより強くてを握ってくるレインの方を見ながら
「急にどうしたんだよ、ていうか痛い、痛いから手緩めて」
と言うと、レインはわなわな口を震わせながらいつもとは異なる鬼気迫るような表情でポツリと
「あれ、魔王よ」
.....
まじですか
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