0から1にする人
漫画家・芦原妃名子さんへの追悼とともに。
Ajuが感じていることです。
芦原妃名子さんがお亡くなりになった。残念でしかたがない。
心よりご冥福をお祈りします。
昔、「漫画家になる」ための手引き書みたいな本を読んだ時、そこに、とある有名な漫画家が「漫画家に必要なのは1にも2にも体力だ」と書いていたことを思い出す。
それ、違うだろ? と思ったが、実際に漫画制作の現場を見たら、漫画をお仕事にするには確かに相当強い体力とメンタルが要るかも・・・と思ったものだ。
クールジャパンとか、ジャパニメーションとか、囃し立てるけれど、それは0から1を創り出すクリエイターがいての話。
プロデューサーがいなければ、1から100にする者がいなければ売れないだろう? 売れなければ、世に出ることだってない。
そう言うかもしれない。
たしかに才能だけが転がっていても、何もできないだろう。往々にしてそういう「才能」の持ち主は、世と付き合うのが下手だったりする。
そういう繊細な神経だから、生み出せるものがある。
1から100にする人たちも、金を稼ぐことができる人たちも、0から1を創り出す人がいなければ、そんな仕事は存在すらしない——ということをもう一度思い出してほしい。
海外はどうだかよく知らないけれど、日本では0から1を創り出している人がちゃんと扱われていないような気がする。立場が弱い気がする。
「芸術家なんてものは誉めておけば安い金でやるから!」
これは昔、ある建築の現場でとある会社の社長が予算を示して、担当者に実際に言った言葉だ。
若かったAjuはそれを傍らで聞いていた。
しばらくのちに、Ajuは会社を辞めた。
芦原さんのことも、ジャニーズのことも、吉本のあの芸人のことも、きっとどこかで根がつながっているのだろう。
0から1を創る人をもっと大切にしてほしい。
人気商売には「旬」がある。
そこで立ち止まったら、100になるものが20にしかならない。それを100にも200にも持っていく仕事をする人がいなければ、その「才能」はただの石ころだ。
経済の論理からすれば、金を生み出すには「今ここ!」という瞬間がある。
社会人を長くやってきたAjuだから、それはわかる。
それでも、0から1を生み出す人を、経済の論理の下敷きにしないでほしい。
0から1の人は、どこか世の「常識」とはズレたところがあるだろうけれども、それも含めて「人間」として見守って、育ててやってほしい。働き方も含めて。
サラリーマンをちゃんとできているあなた方より、そういう才能の持ち主はもっと繊細で壊れやすい生き物なのだと知ってほしい。
環境や偏見のために潰えていった数多くの才能を、Ajuは見てきた。
改めてご冥福をお祈りいたします。
どうか、クリエイターを守ってください。