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白雪は姫をやめたい

作者: 聖 りんご

表現が微妙なので一応【R15】をつけています。



「お母様!このご本読んで!」


「あらあら、貴女はこのお話が好きね。」


庭にあるベンチに座り、娘は母親に本を読んで欲しいと強請った。


娘の可愛いらしい言葉に母親は微笑えみ頭を撫でると、本を開き読み始めた。


これは、ある国のお姫様の物語です。

お姫様は美しい女王様と優しい夫の間に産まれました。


産まれたお姫様は白い肌を持ち、頬は綺麗な薔薇色、唇はサクランボのようでとても可愛らしく二人はお姫様の誕生をとても喜びました。


「この子の名前は白雪です。この子は私の後継者、それに相応しい教育をしなければ。」


女王様は白雪を厳しく育てる決意をし、産まれたばかりの白雪に難しい論文や国の法律などを子守唄の代わりに読みきかせました。

しかし、白雪の将来を心配した夫は女王様に内緒で歌や絵本を読みきかせました。


その後も二人は正反対の教育を白雪にしました。

目が見えるようになれば、女王様は国の地図を夫は野の花を見せ、立てるようになれば、女王様は軍馬に共に乗り夫は森の動物たちと戯れさせる。


こうして白雪が5歳になる頃には女王様の与える課題に取り組む傍ら目を盗んで森に遊びに行くという両親の教育の賜物が出来上がり、両親は健やかな成長に満足しておりました。


しかし、当の白雪は悩んでいました。

5歳にしてこの生活がずっと続く事にすでに嫌気がさしていたのです。

そこで白雪は考えました。


「お父様!私、弟がほしいです~」


父に可愛らしい上目遣いでお願いをした結界「まかせなさい!!」と頼もしい言葉が聞けました。


次に母のところに向かい執務後に時間をもらい演説をしました。

その理にかなった内容に女王様は白雪を褒め頼みを受け入れました。


そうして1年半後、白雪に弟が誕生しました。

名前は白炎、白雪と同じ白い肌と燃えるように赤い髪が由来で白雪が名付けました。


「この子は白雪の補佐として育てねばならぬ」


「お母様、この子の教育は私に一任いただけないでしょうか。」


白炎を王にしたい白雪は教育係を名乗り出ました。

その要求は通り7歳に満たない教育係が誕生しました。


白雪は女王様の課題をし、合間に白炎に読み聞かせをし、余った時間で森に行き地形を把握しました。


忙しない毎日を送る白雪は10歳になるとその美しさは完成され幼さの中に色香が混じりより一層人々の眼を引くようになり、白雪が教育した白炎も白雪に及ばないながらも順調に利発を見せ始め白雪の計画は順調でした。


そんな中、女王様は白雪の婚約者を決める事にし、集められたのは周辺国の王子や上位貴族の子息で女王様は白雪にひと月で婚約者を決めるように命じました。


白雪は悩みました。

何れ森で暮らす自分に婚約者は必要なく、むしろ邪魔な存在です。

しかし逃げ道なんて考えつかないので白雪は女王様に言いました。


「婚約者ではなく七人の候補ではいけないでしょうか。」


「私の命に背くのか。」


「いいえ。私は常々周辺国を自分の目で見てみたいと思っておりました。

ここで婚約者を決めてしまえば訪れるのに不都合な国も出てきてしまいます。候補であればご納得いただけるのではないかと思っての言葉です。」


女王様は白雪の言葉に笑みを深め候補を七人決めることを了承しました。

自国、周辺国合わせて選ばれた七人は白雪と良好な関係を築きます。

一年様子をみて七人の性格をある程度理解した白雪は女王になる気がない事を話しました。


驚きながらも、一年で白雪の下僕とかした七人に迷いはありません。


「「「「「「「一生貴女について行きます!」」」」」」」


こうして白雪は七人の下僕を手に入れました。


どんどん美しくなる白雪は14歳になると旅に出ることにしました。

もちろん一人では行けないので七人の下僕も一緒です。

白炎も白雪の教育の賜物か7歳の誕生日に各国の法律の本を読みたいと言うくらいの利発さをもっていました。

しかし、白雪に懐きすぎ旅に出ることに反対した為こっそり白雪は旅立ちます。


それから半年かけて6つの国を廻りました。

下僕たちの完璧なエスコートにより、快適に旅を満喫した白雪はこっそり自国に帰り森に向かいました。

森には下僕たちが造ったログハウスが二棟あり、生活環境は整えられていました。


ある日、白雪は森に散歩に出ました。

するとそこに居るはずの無い人の姿をみて白雪は気付かれないようにログハウスに戻りました。

しかし、相手は白雪をしっかり追いかけログハウスまで来てしまいました。


「姉様。逃げるなんてひどいじゃないですか。」


「白炎、大きくなったわね。もう立派な男の子ね!」


「誤魔化されませんよ。」


白炎の笑顔は怒気に包まれていました。


白炎は白雪を連れて城に戻り、父親も連れて女王様の執務室に入りました。


「白雪。弁明があるなら申してみよ。」


白雪は観念して全てを話しました。

そして盛大に怒られました。

それは家族としての心配からくるもので、何だか嬉しくなって白雪は笑ってしまいました。

そんな白雪をみて女王様は反省し白雪を初めて抱きしめました。


それから月日は経ち、お城の隣に教会が一つ建ちました。

その主は白雪で、生涯独身を宣言し司教としてそこで暮らしました。

七人の下僕たちはログハウスに住みながら王になった白炎の補佐と白雪の世話を交代でし、女王様たちはそんな二人を見守りました。


「めでたし、めでたし。」


「貴女はこのお話の何処が好きなの?」


「お姫様が悠々自適に暮らしているところ!」


「5歳で出る言葉ではないわね。ホント、血筋かしら……」


母親は娘の赤い髪をみて少しため息をつきました。



お読み下さりありがとうございました。

白雪姫の原型がだいぶ無くなって降りましたので、もしかしたら納得できない方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。

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