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魔剣戦士イクス  作者: クレナイハルハ
1/3

第1話ヒーローに憧れた少年










───貴方は今


運命の選択を強いられている


貴方はかつて世界を旅し


その最後に世界を破壊した


今度こそ、貴方は世界を救ってね


私の事は助けなくて良い


だから、どうか思い出して


貴方の運命を、貴方の…………………力を









◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇









「何だろう、このメッセージ」


そう呟きならスマホの画面に写るメッセージアプリに来た不思議なメッセージを流して読む


えっと、送り主は『第08転生女神 エイティス』?


今って、こんなのが流行ってるのかな?


最近の流行りってあんまり分からないな。


そう思いながら僕は携帯をポケットに締まって何時もの帰り道を歩く


僕の名前は大空 優助(おおぞら ゆうすけ)


カレーと特撮が大好きな高校二年生!


特に好きな特撮は作品は『魔剣戦士イクス』!


この作品のストーリーは


『とある町で花屋で働く心優しい青年、花咲はなさき 優騎ゆうきが突然と家の前に置かれていた魔剣イクスカリバーを手にし、かつて悪魔から人を守るために戦ったとされた魔剣戦士イクスへと変身。悪魔との戦いに身を投じる事になる』


といった感じ。


この作品の主人公、優騎はその優しさから悪魔である敵を剣で斬り、傷付けてしまう事に悲しみながらも地球を守るために地底から甦った悪魔と戦うのは、子供向けとは思えないほどにリアルで悲しいかった


最後には皆の笑顔を守るために、最後の敵に挑み、相討ちで敵を倒す


泣きながらも幼い心を持つ子供のようなラスボスと泣きながらも斬り結ぶ姿はとても心を揺すぶられた


この作品が僕に本当の強さと、優しさを与えてくれた


強いだけの力が強さじゃない


その事を教えてくれた


幼い僕はこの作品をみた時、イクスみたいに成りたいと本気で思った


憧れてた


強くて、優しくて


沢山の人を助けられる程の力を持った


そんなヒーローの姿に僕は憧れた


でも、そんな幼い頃の思いは成長するに連れてだんだんと薄れていた


高校生になって、この作品を見ていると


何時も思ってしまう


『本当に僕は、この人みたいに優しくて強い人になれているのだろか………』って。


僕は憧れただけで


行動を起こすことはなかった


体を鍛えることも、格闘技術を学ぶことも剣道を学ぶこともなく


ただ、口にしているだけ


『皆の笑顔を守りたい』そう言って戦うイクスのように僕は慣れないのだと


そう感じてしまう


せめて強くはなくても優しい人に成ろうとしたけど、結果としてはクラスで面倒事を押し付けられることになった


それでも面倒事を片付けて他の人を少しでも助けられるようにと


結果としては、優しい人ではなく雑用を押し付けられる都合の良い奴


そんな風になってしまった


そう考えると何だか、悲しくなってくる


「ハハッ……僕、何やってるんだろう」


思わず、そんな事を呟いてしまう


きっと、僕はヒーローになれない


僕は強くない


それに臆病だ、もしイクスのように戦うことを強いられたら逃げてしまうだろう


そんなことを考えながら家の玄関の扉を開けて中に入る


「ただいま」


「あ、お帰り優助。荷物届いてたから部屋に運んどいたわよ」


すると、母さんが台所からピョコッと顔を出してそう言った


「うん、ありがと」


僕宛に荷物?何か頼んだっけ?


そう思いながら手洗いうがいをしてから部屋に入る


部屋には所々に様々な特撮やアニメのDVDや本が置いてある棚


魔剣戦士イクスのポスターが張られ、沢山の特撮のおもちゃが飾られていて


ベッドと机のある何時も通りの自分の部屋


「あれが母さんの言ってた荷物か」


母さんの言っていた荷物は恐らく机の上に置かれた小さな段ボールの事だろう


とは言え、まず開ける前に制服から普段着に着替えてから


カッターでダンボールの縁に張られているテープを切ってダンボール開けるとそこには西洋の鎧のような体に、淡く光るツインアイ。


胸にひし形の宝石が付いており、両腕にもひし形の宝石が付いており剣を持った戦士イクスが描かれた箱が入っていた


少し前に当時発売された『魔剣戦士イクス』の変身アイテムであるブレスレット


『イクスブレス』を作り直しセリフや劇中に使われたBGMが収録され、よりリアルになった


プレミアムの『イクスブレス』が入っていた


花咲優騎はこのブレスレットを使って魔剣イクスカリバーを召還して変身していた


「そっか、そう言えば注文してたんだ………すっかり忘れてた」


そう思いながら早速水色と白の装飾が付いたブレスレット、『イクスブレス』を左手腕につける


「くぅ、やっぱり格好いいなぁ……」


そう思いながら早速イクスブレスのボタンを押す


『皆の笑顔を守りたい、だから!!』


「第1話の初変身の時のボイスだ、すごい!BGMとかどうなってるのかな?」


他のボタンを押すと当時の戦闘BGMが流れる


早速BGMを流しながらボイスを流して原作を再現したり、変身ポーズを決めたりした


「はぁ、満足!」


いつの間にか、僕はイクスブレスを眺めながら笑っていた


さっきまでの暗くて、悲しくなる気持ちはいつの間にか太陽のように明るくて晴々としたものに変わっていた


ふと左手に付けたイクスブレスに触れる


まるでイクスブレスを通して、魔剣戦士イクスが僕の心の闇を切り払ってくれたように思えた


………そう言えば、イクスブレスは予約だったし早めにお金払った方が良いな


僕、時々忘れっぽいからもう行ってこよ


そう思いながら、ボクは財布と携帯を持って部屋を出て玄関に向かう


「母さん、少しコンビニに行ってくるよ。ついでにアイス買ってくるけど何が良い?」


「あら?良いの?それなら、バニラのカップアイスをお願い」


「分かったよ、行ってきます!」


そう言って玄関を出てからふと自分の左手を見る


「あ」


左手には先程まで付けて遊んでいたイクスブレスが装着されたままだった


イクスブレス、付けたまま出ちゃった………


まぁ電源をオフにすればファッションみたいな物だし、誰も何も言って来ないよね?


最近になって使い始めたブルートゥースのイヤホンを携帯で操作して魔剣戦士イクスのオープニングを聴きながすっかり暗くなった道を歩いて最近出来たコンビニに入る


「いらっしゃいませー」


コンビニに入りまず支払いを済ませる


会計をしながらチラリと後ろを見ると、クラスメイトの女子が大人の女の人と仲良さそうにお菓子を選んでいた


誰だろ?あんな人クラスには居なかったし、もしかしてお母さんと買い物に来てたのかな?


そう思いながら支払いを済ませて自分の分と母さんの分のアイスを買ってを外に出る


「ふぅ、あんまりイクスブレスに視線が来なくて良かった………」


そう呟き、イヤホンにイクスのオープニングを流して帰ろうと思った


ふと、少し先からコンビニへと走ってくる小学生位の女の子


そしてその後ろから、凄い勢いで大型トラックが走ってきていた


見ると、トラックの運転手は居眠りしており目の前に女の子が居ることに気付いていない


そして女の子もこっちに走るのに必死なのか後ろから来るトラックに気付いてない


頭の中であの女の子がトラックに跳ねられて大量の血を流して倒れる未来と事故死と言う言葉が脳裏に浮かび上がる


思わず辺りを見回すが、コンビニの回りには誰もいない


気付いてるのは、僕だけ!?


「助けないと……ッ!?」


そう思い走り出そうとしたが体が、足が震えて進めなかった


怖い


今、目の前であの女の子が死にそうになっているのに


僕は自分が怪我するのが、死ぬのが怖くて一歩を踏み出せない


ふと、左手に付いているイクスブレスが目に映る


僕は………


『僕は……助けたい。皆の笑顔を守りたい、みんなに笑顔でいて欲しい』


『ジーとしてても、ドーにもならない。変えるぜ、運命!』


『未来は変えることが出来る。良いようにも、悪いようにも、それを変えるのは君しだいだ』


『諦めるな!』


今まで見てきた特撮作品の主人公の言葉が浮かんでは消えていく


そうだ、僕が走り出して助けなかったら


絶対に後悔する!動け!動けボク!


気が付くと、体の震えが止まっていた


全力で地面を蹴って走る


そして女の子へと手を伸ばし道の端に突き飛ばしトラックの進路から退ける


女の子が急に突き飛ばされたことに驚いている


今からでも、トラックを避けようと横に飛ぼうとする


もし、トラックが小型ならギリギリ避けれたかもしれない


でも目の前に迫るのは大型トラックだ


避けられない


光を放つヘッドライトに思わず目を瞑る


次の瞬間、大きな衝撃と激しい痛みが身体中に走り


体の骨が折れる感覚と浮遊感を感じ何か叩きつけられ、地面を転がる


痛い、なぁ………それに何か、辺りが温かい


閉じていた目を開けると僕の周りは赤く染まっていた


もしかしてこれ、僕の血なのかな


ふと視線をずらすと、僕を引いたトラックが近くに止まっており


運転手が降りて何処かへ電話していた


さっき突き飛ばした女の子の方を見ると地面に座り込んでいて僕の方を見て泣いていた


そんな女の子の様子にコンビニから出たのか、クラスメイトの女子と女の人に心配されている


良かった、助けれた


こんな僕でも誰かを助けられたんだ


そんなことを考えていると、頭の中に今までの思い出が浮かび上がっては消えていく


もしかして、これが走馬灯なのかな


『母さん!僕ね、イクスみたいになる!』


『ふふ、優助ならきっとなれるわ』


『本当!?』


『えぇ、だって私の子だもの』


子供のときに母さんと話していた記憶が浮かび上がる


母さん、僕……最後くらいはヒーローに


イクスみたいになれたかな?


ふと左手に視線を向けると、さっきトラックに跳ねられたからなのか左手のイクスブレスが壊れて少しだけ部品が外れて壊れていた


あぁ、もっと遊んどけば良かったかな


せっかく高かったのに、壊れちゃったな


そう思っていると、さっき助けた女の子が泣きながら僕に近付いてきていた


「ごめんなさい、私のせいで………あなたが」


女の子が口を開いたり閉じたりしてるけど、何も聞こえない


でも、せっかく助けた人に泣いて欲しくない


「泣か、ないで……」


どうにか口を動かしてそう言うが、声が掠れて上手く喋れない


「君の、笑顔を……守れた、かな?」


そう言うと女の子が何度も頷く


良かった


だんだんと体から力が抜けていき、目蓋が重くなる


なんだろ、眠いな…………母さんごめん、おやす、み


こうして大空 優助と言う一人の少年が事故で亡くなった


そんな彼が左手に身に付けていたブレスレットから一人の人間を救ったヒーローとしてその町の新聞に掲載されたのだった。










どうも皆さんこんにちわ。

クレナイハルハと申します!

小説投稿サイト『ハーメルン』様で二次創作を書いておりましたが、長年の夢であった沢山の人を感動させ、笑顔に出来るような作品を作る小説家を目指すため本日より『小説家になろう』でも活動していきます。

この小説は『ハーメルン』においても投稿しているのでマルチ投稿となっています。

それでは今後ともどうか、この作品をよろしくお願いします


ご愛読ありがとうございます


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