第1話 welcome to シェアハウス!
目覚めると通太はベッドの上に寝かされていた。窓の外は晴れていた。
「あ、おはよう。貴方は4日も寝ていたんだよ。」
先程『美和』と呼ばれていた女性がベットの傍の椅子に腰かけていた。
「ここは?」
通太は一番に頭に浮かんだ疑問を口に出した。
「ここは私が住んでるシェアハウスの空き部屋だよ。」
美和が答えた。
「シェアハウスってことは、他に住人がいるのか…?」
「えぇ、住んでるのは私と、さっきの二人と、管理人さんと、光希くんと、雪那ちゃんと、充華ちゃんと、端恵ちゃんだから、合計8人が住んでるんだよ!」
「じゃあ広いんだな!」
「うん。後で案内するよ!」
二人が会話に花を咲かせていると扉をノックする音がした。
「……お茶……」
ぼそっとした声が聞こえたかと思うと前髪で目を隠した少女がお茶を運んできた。美和が
「雪那ちゃん、ありがと♪」
と言いながらお茶を受けとると雪那と呼ばれていた少女は立ち去っていった。
「このお茶はね、柚くんが淹れてくれたんだよ!」
「柚?8人の中にそんなやつ居た?」
「あ、白い髪の毛の男の子が、柚くん。一緒に居た女の子が子白ちゃん。」
「え?あいつら異性同士!?髪の毛の色以外一緒にしかみえなかった。」
「あの二人はずっと一緒にいるからね~。必然的に似ちゃうんでしょ。」
「え、そういう問題か!?」
通太が質問すると
「美和さ~ん。何処ですか~?」
という声が聞こえた。きっと子白の声だろう。
「空き部屋にいるよ~」
そう言った美和に通太は質問する。
「そういえばここにいる人たちの関係がよくわからないんだけど…」
「家族だよ。本当のじゃないけど。」
哀しそうな顔をしながら美和が言った。
すると扉が無造作に開けられて子白が入ってきた。よく見ると子白の後ろで柚が怯えながらこちらを見ていた。
「下心さん。美和さんに変なことしてませんよね?」
「子白、安心して。なにもされてないよ。」
美和が宥めるように言った。
「っつうか、俺は下心さんなんかじゃなくて、普山 通太っていうんだけど!」
「あら、そうなのね。私初めて聞いた。」
「とにかく、美和さんに何かしたら命もらいますよ」
そういって通太をにらむと子白は柚の手をひいて部屋を出ていった。
(どんだけ怪しまれてるんだよ俺は......)
通太は閉じられた扉を見つめて心のなかでそう叫んだ。