表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/70

049 決意の結果【ミリア視点】

 テイマーとしての能力はレインフォース一族に遠く及ばない。

 そして王族としての風格も、実務レベルも、ユキア殿やレイリック殿にまるで敵わない。


「私の価値を、示さなくては……」


 人質として大人しくするつもりはない。

 私はここで、居場所を作るんだ……!


 ◇


「ミリアさん、ここなんですけど……」

「あう……ここは……」

「ミリア姐さん! こっちはどうすれば」

「……えっと……」


 レインフォース領に居場所を作る。

 私のこの目論見は想定外にもすぐに果たされることになった。


「良かったです。兄さんたちは好き勝手飛び回りますし……私たちは一応貴族王族の身内とはいえ実務に当たったことなどありませんでしたから……」


 シャナルさんがそう言いながらほっとしたような表情をしているが、私も実務などほとんどやってはいない。

 兄姉たちと歳が離れていた上、テイマーの道を選んだばかりに蔑まれてきた私はろくに仕事が回ってこなかったのだ。

 それでも王宮にいる王族として一応の書類仕事はこなしてきたおかげでなんとか食らいついている、という状況だった。


「……ミリアさん、すごい」

「いえ……これは別に大したことでは……というより……」


 私がすごいのではないのだ。


「この領地には私たちの他は魔物しかいないのかと思っていたのですが……どうしてこうもしっかりした書類がここに集まっているのですか?」


 驚いたのはこれだ。

 現場の作業はほとんどがオークやゴブリンなど。

 文字の読み書きはおろか会話すら怪しいはずの者たちを誰がまとめあげ、どのようにこの書類を集めているのか……。


「ああ。ロビンさんという兄さんの執事の方と、ムルトさんというレイリックさんの執事の方が……」

「執事……只者ではありませんね。ですがたった二人で回る量では……」

「それをやってしまうのです。あの二人は」

「この量を!?」

「ええ……規格外ですよね」


 ここにきて再びこの領地に身を置く方との差を思い知らされるとは……。


「でも……ムルトはずっとここにいられるわけじゃない、です」

「そうなのですか?」

「あう……」


 エリンさんは誰に対してもこんな感じと聞いて安心したけど最初は不安になったものだった。


「ロビンさんも若いわけではないですし、本来の業務とは違うので」

「ではこの書類を作れる方を雇い入れる必要がある、ということですね」


 フル稼働できないのであればこの領地専属の人間を用意しないといけない。

 と思ったのだが……。


「それについてですが……提案があります。聞いてくれますか?」


 改まってそんなことを言うシャナルさんに若干嫌な予感を覚えながらも、もはや断れる状況にはなかった。



広告の下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎からぜひ応援お願いしますー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ