041 崩壊した王国③
「ぐっ……かはっ……」
「なっ……息が……」
「立っていられぬ」
貴族たちは身動きどころか呼吸ひとつもままならなくなる。
「望むなら俺はここにいる魔物や動物を全て連れ帰ってもいいが、それを望まない場合はここで彼らを自由にすることになるが、良いか?」
その言葉を受けて、王城からようやく国王が姿を現した。
「ふむ……すまぬな。出来れば連れ帰ってもらいたい。そやつらを置いていかれると国は滅ぶ」
「国王陛下!? 陛下が出ずともこのようなテイマーごとき私が!」
慌ててビッデルが前に出るが国王はもはや取り合う気もない様子だった。
「わしは……間違っておったようだな」
「そんな……」
その言葉が、ビッデルにとってとどめの一言になり、膝をつかせることになった。
王は続けて俺にこう問いかける。
「もう一度、わしに、いや国に仕えてくれる気はないか?」
随分やつれていた。
俺が前に見たときはふくよかな王だったと思う。
「残念ながらもう私も新たな役割が生まれたので……」
「そうか……ふむ。では話を変えよう。わしはユキア殿と、同盟を結びたい。いかがかね?」
「国王陛下! お考え直しを!」
「下がらせよ」
縋り付こうとしたビッテルやアイレンたちが兵士に連れて行かれる。
「終わりだ……」
ようやく状況を理解したアイレンが顔を青ざめさせながら兵士に縛られる。
その様子を見ていたエレインもまた、自分の立場をここに来てようやく理解したのか泡を吹いて倒れていた。
「貴様……許さぬ……許さぬぞ」
ビッデルだけはこちらを睨みつけてそんなことを言っていたが、兵士に乱暴に縛り上げられて怒りの矛先を変えているうちに目立たなくなった。
「同盟の内容は?」
「貴殿らを国として認め、我が国との間に友好の印を持って相互に協力し合う関係を築きたい。望むなら公爵の地位を与える」
どうやら国王はまだあまり立場を理解できていないようだった。
この状況でなお、俺を属国として従えようとしているのだから……。
その言葉を受けてレイリックが耐えきれず前に出た。
次話で一章完結




