表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/70

030 王宮の混乱②

「心配せずともこの程度の事故の鎮圧など造作もない。我が国の騎士団は優秀なのだ」

「は……はい! そう思います……!」


宮仕えの貴族である父を持つエレインだが、こうも身分の高い相手と対面して話す機会などなかった。

緊張で固まるエレインにビッデルはあくまで優しく微笑みかける。


「確かに復興に金はかかるが……何、心配はいらない。全てレインフォースが悪いのだ。金だけは持っているあの使えない男に全て責任を取らせれば良い」

「そっ! そうです! あいつは何の役にも立たないというのに偉そうで……!」

「ふふ……そこでだ。君に重要な役割を与えたいと思うのだが、どうかね?」

「もちろん! 何でもやらせていただきます!」


その返事を受けてニヤリとビッデルがその太った顔を歪ませる。


「良い返事だ……ここにレインフォースを、あの男を連れ戻せ」

「え?」


戸惑いを隠さない無能なエレインに苛つきながらもビッデルは言葉を続ける。


「なに。責任を取らせるだけだ。君の役割を奪うためじゃない、安心なさい」

「はい……なるほど、私があいつを呼んで、今度こそきっちり始末を……」

「そのとおり。わかったら行くと良い。君はドラゴンの飼育員だったのだろう? どうだい? 一頭くらい言うことを……」


そこまで言ったところでエレインの表情を見たビッデルは言葉を止める。

内心では悪態を吐きながらも笑顔を崩さずにこう言った。


「無理せずとも良い。あの男が裏で糸を引いているせいなのだから。だが馬くらいならなんとかなろう? それで向かうのだ。やつは北方へ進んだ森の中に身を隠している。手段は問わない。連れてきさえすれば私がなんとかしよう」

「はい……! 必ずや!」


飛び出すようにその場を離れたエレインを見送り、ビッデルの不満が爆発する。


「くそがっ……あの出来損ないめ……毎日竜の相手をするくらいしか仕事などないというのに一匹も操れないだと……? 無能にもほどがある……!」


そして改めて、目の前で起こる地獄のような光景を眺める。


「とんでもないことになりおった……あの馬鹿親子はあとでどうにかするとして……この問題はなんとしてもレインフォースになすりつけねばならん……」


国内で騎士団を総動員する事態。

内外で大きな被害が予想されるこの緊急事態において、財務卿だからこそこれがどのような被害をもたらすかはっきりとわかってしまうのだ。


「レインフォースを追い出すことを推し進めたのは私……降格は免れぬが、下手を打てば死罪……なんとしてもこれはレインフォースの反逆であることにせねば……」


ぶつぶつと呟きながら、その巨体を揺らして歩いていくビッデル。


「どうしたものか……」


もはやどうにもならぬこの惨劇を前に、ビッデルもまた現実逃避以上の行動は起こせないようだった。

広告の下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎からぜひ評価お願いします

一旦主人公視点に戻りますがざまぁシーン書ききりました、またカウントダウンする予定です


新作短編もよろしくお願いします

https://ncode.syosetu.com/n4379go/

世界の半分をやろうって個数のことかよ?!〜魔王から三つの世界を譲り受けた勇者がポンコツ女神たちと綴る異世界創世記〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ざまあ好きだなあ、先生(¯―¯٥)
[一言] ざまああ感がちょっと足りない気がするなー もうちょっと頑張れ
[気になる点] エレインとエイレンも表記ゆれが出てきているようです。 初出がエレインでしたのでそちらが正しいのだと思いますが、 父親の名前がアイレンなので、 親子の名前で韻を踏んでいたとしたら エイレ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ