023 首脳会談②
「兄様……その……自己紹介を……」
顔を隠すようにうつむきながらなんとかそう言葉を紡いだ。
俺はその様子を見て少し目を奪われていた。その容姿に。
他のエルフ同様かなり整った顔立ちであることはそうなんだが、髪色が周りの輝くような金髪ではなく、どこか幻想的な白に近い紫のような色をしているのだ。
そのせいか全体的に儚い印象を覚える。おそらくその態度や口調も相まって、だが。
「ああ、悪かったエリン。そうだな。我々はお互いの名前すらろくに知らなかった」
今の流れからすると隣の子がエリン、妹ということか……。
「私はレイリック、こちらは妹のエリン。一応王と王妹という立場になる。後ろに控えるのは家臣団だ。また改めて紹介させてくれ」
なるほど。
後ろに控える家臣団は五名。一人はさっきの執事。全員が容姿が整っているし若々しいせいで年齢の予想ができないが……。
それより気になる単語があったな。
「一応といったか……?」
「ああ。我々の国は王はいるが、王が全てを決めるわけではない。ほとんどのことは選ばれた長老たちが主導して決めていく。長老会と名はついているが若いのも含めて色んな意見が集まる場所だ。私もまだ三百歳の若手だが……」
三百歳が若手……。
まあその辺りはもう突っ込みだすと切りがないだろう……。
まずはこちらも自己紹介をしよう。
「俺はユキア=レインフォース。こっちが妹のシャナル、母のシャーラだ」
「なるほど。君が王でいいのかな? ユキア」
「いいのか?」
「どう見てもそうでしょう……」
「私も異論ありませんよ」
「と、いうわけだ」
シャナルと母さんが同意してくれて一応王ということになったらしい。
そんな大それたことをしているつもりはなかったんだが便宜上そう名乗るしかないか……。
「ではこのレインフォース領の王、ユキアに、ユグドルの王、レイリックより提案だ」
「提案……?」
「ああ。我が国、ユグドルとの間に、同盟を結ばないか?」
「同盟……」
思いがけない提案だった。
意図が見えないが……。
「警戒するのも無理はない……。だが簡単な話だ。双方が不可侵を誓う。そしてこれは私の個人的な興味の話だが……君との間になにか繋がりを持っていたいと感じた。リーレンが人に懐くことなどあり得なかったからな」
「なるほど……」
どうやらいつの間にか精霊に好かれたのが功を奏したようだ。
ほんとにそんな素振りなど殆ど見えなかったけどな……。
「どうだい?」
「相互不可侵は助かる。エルフとの同盟なんて光栄な限りだ」
こちらに不利益もないのだ。迷うことはないだろう。
答えた途端、卓上に突如魔法で生み出された書面のようなものが空中に浮いた形で表示された。
タイトルをすっきりさせてみましたが様子見て戻したりするかもです
書籍になるならこのくらいでも良いかもとは思ってます、まだ書籍決まってないですけどね!!!




