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020 エルフの王

 シャナルの案内で森を進んでいく。

 テイムした魔物たちは割とうまく作業を進めている様子だった。


「やはり数が多いと作業は早いですね」

「魔法が使えるのも結構いたんだな」


 見ていると作業が効率よく進んでいるのは土魔法を中心とした魔物たちの魔法によるところが大きい。


「この分だと兄さんもかなり魔法が使えるようになっていそうですね」

「そうか……意識してなかったけどそうかもしれないな」

「私もかなり体力が変わりました。テイマーの醍醐味ですねえ」


 上機嫌でシャナルがそう言う。

 確かにこれは他のスキルにはないメリットだろう。

 とはいえうちの家がおかしいだけで普通はこの恩恵ってそんなに大きなものにならないって、ミリア様が言ってた気がするな……。


「さて、そろそろですが……心の準備は良いですか?」

「心の準備?」

「はい。さすがの兄さんでも驚くんじゃないかと思いますので」

「そんな相手なのか……」


 いやまあシャナルには申し訳ないが大方想像はついているんだ。

 俺の肩に乗って付いてきたこの精霊のおかげで。


「王。近い」

「やっぱりなぁ……」

「え、兄さん気付いていたんですか?」


 そんなやり取りを交わしながら進んでいくと、視界に白馬と数名の家臣団と思われる集団を引き連れたエルフの貴公子が現れた。

 伝承で聞いていた通り、先頭の王と呼ばれたエルフを始め全員がとてつもなく整った顔立ちをしている。

 色素は人間のそれよりも薄く見えるが、それが神秘的に透き通っているようにも見えてなんというか……おそらく同性であろう目の前のエルフに美しいという感想が漏れるような、そんな相手だった。


「ここの主、で良いのだな?」

「そういうことになるのかな? 聞いていた話より随分はやかったけど」

「ああ、どうやら私はせっかちなようでな……エルフの中では特にだ」


 口ぶり、態度、立ち姿、その全てに威厳のようなものを感じ取れる。

 後ろに控える数名のエルフからは若干ピリピリした雰囲気を感じ取れるが、まあ心中は察する……。

 それにしてもほとんど幻獣と同じ扱いだったエルフとまさかこうして対面することになるとは……。国外追放もされてみるものだな。いやそれは違うか。


「悪いけど、もてなす用意が出来てない」

「構わないさ。私はもてなされるために来たんじゃあない」

「──⁉」


 その瞬間、相手の気配が一変する。


「シャナル、下がれ!」


 さっきまで優雅に立っていただけだというのに、何の詠唱も準備もなかったというのに、そのエルフの周囲に強烈な魔力波が吹き荒れたのだ。



王国側視点まであと9話です

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