表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

婚約破棄・おぶ・ざ・でっど(1000文字版)

掲載日:2019/07/10

 王宮の広間は、美しく装う男女の騒めきに満ちていた。


「悪役令嬢!お前を婚約破棄させてもらう!」


 だが突然の王子の宣言に広間は静まり返る。

 悪役令嬢は跪き尋ねた。


「理由をお聞かせ願いますか、殿下」


「だって、お前死んでるじゃないか!」


 ばっと顔を上げる悪役令嬢!その顔は青黒く、死相が浮かぶ!


 彼女はやおら立ち上がると羽ばたくように手を広げ、鷲の如く爪を立てて吼える。


グルァー!


 右手の取り巻き令嬢に迫る!


「キャー!」


 絹を裂くような悲鳴!


 かと思いきや振り返り、左手の取り巻き令嬢に迫る!


「やめろ悪役令嬢!」


 悪役令嬢は王子に向かって進みながら叫ぶ!


グルァー!


「キャー!」


 ヒロインは王子にしがみつき、悲鳴をあげる!

 だが、


「何だ?悪役令嬢が襲い掛かっているのに体が後ろに進んでいく!」


「あれは……」


 王子の取り巻きが呟く。


「知っているのか、宰相の息子!」


「あれは、ムーンウォーク!?」


 悪役令嬢は王子に向いたまま後退、その後ろに取り巻きの令嬢たち。さらに後ろに令嬢が3人!


 きれいな正三角形を描き、一糸乱れず手を広げ腰を落とした構えを取る。


 同時に頭上で手を叩き、爪を立てて左右の令嬢が場所を入れ替える!しゃがんだ体勢で体を回転させながら前進!後退!


 なんというスリラー・ナイト!


 広間の中央には悪役令嬢のみが残り、右の人差し指で天を突くポーズをとった。

 すると足元がせり上がりステージに!

 ミラーボールが彼女を照らす!


「な、なにが始まるのだ……」


 王子が呟く。


フー!


 それをかき消す歓声!観客はステージへの期待で爆発しそうだ!


 まさか今晩、伝説のリリックまで聴けるとは!


「悪役令嬢、素敵な美貌!

 身体に異常、死の症状!」


 悪役令嬢はヒロインに顎をくいっとしゃくり、ステージへ上ることを要求した。


 MCバトルだ!


「お、おいヒロイン」


 彼女は王子の手を振り払いステージに駆け上がる。


フー!


 今度は下町生まれのヒップホップ育ち、ヒロインのラップだ!


「おやめになって、目つきキツい!

 ゾンビは這って、威厳失墜!」


 キャップを斜めに被った宰相の息子がターンテーブルを軽快に回す!


 王子の理性はスパーク寸前だ!


 悪役令嬢が観客を煽る。


「セイ、ホー!(ホー!)」


 ヒロインも負けじと煽る!


「ホーホーホー!(ホーホーホー!)」


 二人の声が自然と重なった。


「エブリバディ!(ヤー!)」


 揺れる会場、熱狂は留まるところを知らず怖いくらい。

 婚約破棄を超越した死者の夜明けがここにあるのだ。




ξ゜⊿゜)ξ <ポゥッ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ξ゜⊿゜)ξ <筆者のメイン小説をよろしくですの!
i521206
― 新着の感想 ―
[一言] 死者の宴?面白かったです。 コミカルで楽しい( ゜∀゜)ポゥ!!
[良い点] やめろ!悪役令嬢!って笑
[良い点] 再びお邪魔致します。 磨きがかかりましたね!素晴らしいです! 王子はやっぱり、置いてけぼり(笑)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ