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黒剣の魔王  作者: ニムル
第2章 大罪戦争東大陸編
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第36話/黄衣の王2

( 厂˙ω˙ )厂無事に毎日更新ができてるのが奇跡なの

「優、すまない。あとから必ず追いつくから先にやつのところに行っていてくれないか? やつが名乗った名前、『ハスター』に少し思うところがある」


「なんだい急に。まぁ必ず追いつくというのなら心配入らないのだろうけど、なるべく急いでくれよ?」


 一宮君のことだから何かいいあんを思いついたんじゃないかとは思うけれど、それでもやはり一時的には戦力を失うわけだから、そこは厳しいところだ。


「わかった」


 そう一言言うと、一宮君は洞窟の中に戻りどんどん下層へと潜って行った。


 一体何をするつもりなのだろうか。下層に何かあっただろうか?


 俺の中に浮かんだそんな疑問は、1時間後にすぐに解消されることとなる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さぁ、こっちが啖呵切ってやったわけだが。向こうは全く動く気配がないな」


 魔王の洞窟からかなり離れたところで一時的に休憩をしていたハスターは、自分のところに向かってきている存在に気づくことが出来なかった。


 その原因は彼自体が鈍感であることだけでなく、優がハデスの潜伏スキルを使って近づいていることもあるだろうが、それ以上にこの国に漂う召喚された神々の気が彼本来の察知能力を大きく鈍らせていた。


 膨大な魔力や溢れんばかりの瘴気を浴びた時と同じように、自身に敵対する者達に対して大きくデバフを与えるこの神の気が、この気の中心源である優を知覚させなかったのだ。


「さぁ、やられてばかりも癪だからな。一発かましてやろう」


 そう言うと、彼は右手に膨大な魔力を溜め込み静かに呟いた。


「『邪悪の皇太子』」


 瞬間町中が暴風に包まれた。更に建物が壊れない性質も相まって強力なビル風が発生。



 周辺にあった神の気が一瞬乱された。



「見つけた」


 ハスターがそう呟いたと同時に、その場にやってきた人物は彼の後頭部にに思い切り飛び膝蹴りを食らわせていた。


「さぁ、お望み通り相手してやるよ。だが、俺の街を壊そうとした代償は大きいぞ」


 低い声で唸るように返事をし、小鳥遊優はハスターの喧嘩を買った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さぁ、お望み通り相手してやるよ。だが、俺の街を壊そうとした代償は大きいぞ」


 いくら壊れない街だからと言っても自分の所有地だ。自身の所有意識がある土地を荒らされるのはいい気はしない。


 怒り心頭とまでは行かないが、頭に軽口が登ってくる。


 ……いけない、ここは戦いの場だ。まだ相手の力量が読めていない以上、考えなしに行動することは出来ない。


 自分よりも弱いとわかったら瞬殺するし、自分よりも強いとわかったらバフと数の力で撲滅する。


 あまり賢い策だとは言えないけれど、準備自体が整っていない現状、貴重な戦力だった魔弾とレーザーも頻繁には打てなくなっている。


 せいぜい街の外側に誘導するように方向を調整して射出するくらいが限度だ。


 いくら魔力が無限に湧き出ていて疲れることもないといっても、あくまで俺たちは人であり、魔力が抜かれる感覚はまるで血が抜かれるような感覚なのだからそれに長時間耐えなければいけないのはきつい。かなり大きな精神的苦痛が伴うだろう。


 俺だけならそれを続けてもよかったのだが、いざとなった時に兵器に供給している魔力を即座に神たちを現界させるのに回すのにはかなり辛いのだ。


 それ故に、守る守ると言っておきながらみんなに負担をかけることになってしまった。


 そんな自分が情けないと思いつつも、現状仕方ないと彼切っている自分がいることが悔しい。


 ……どうして俺は、力を手に入れてなお、なにかに負けることを怖がっているのだろう……


 ……どうして、どうして俺は、経験したことの無いはずの記憶が脳裏を何度もよぎっていくのだろう……


「おい、何も仕掛けてこないのか? だったらこっちから行くぞ」


 何も仕掛けてこないで黙り込む俺に業を煮やしたのか、明らかに目では負えないような速度でこちらに飛んで殴りかかってきた。


 なんの対処も思いつかず、瞬時に反射のように両手が体の前に動き重なり、殴りかかってきたその右手を防ぐ。


 その恐ろしいスピードから繰り出された蹴りは、一瞬で体力がほぼ全回復してしまう俺でも痛みが消えるまで少し時間がかかるほどだった。


「ちっ、致命傷にならないなんて、どんな防御力してんだこのバケモノが。こちとら貫通属性技についてんだぞ?」


 彼の右手は俺の鎧兼衣服によって大きく傷つき、彼自身も相当なダメージを追っているようだ。これはしばらく動かないでいてもらえるだろう。回復するまで。


 その間に一宮君がここに来る時間を何とかして稼ごう。


「少なくともお前よりは格が上だからだと言っておこうか。下っ端くん」


 適度な煽りは大切です。先程から頭を使った行動をとっている彼なら、急に頭に血が上っても、考えなしに暴れ出すだなんてことはしないだろう。


 あくまで予想の範疇を出ないのが俺の予想の悲しいところであり、いつまで経っても人の輪に入ることの出来ない恐怖心に拍車をかけているものでもあるのだが。


 物事は最悪の想定から最高の想定までした上で、最悪の想定を基本とるべきだと俺は思っている。が、人間としての性質上、俺は最高の想定、つまり希望を簡単には捨てることが出来ない。


 人間が生命維持のために死を恐れる感覚を自身にインプットしているのと同じようなことだろう。


 ただ、数度同じことが起こるだけで人間という生き物は簡単に最悪も最高も考えられるようになってしまう。


 ここから先は限りなく自論になってしまうけれど、元がネガティブな基質の人間は常に最悪を考えるようになり、元がポジティブな基質の人間は常に最高を考えるようになる。


 生きていく上では常に最悪を想定できる能力ら必要だけれど、縋るものが無いと心のある人間は腐ってしまうのだから悲しい話だ。


「わざわざこっちの回復を待ってくれるとは律儀なことだな。少しお前を舐めていたよ」


 額に青筋を浮かべながら、全快したハスターがこちらへゆっくりと向かってくる。


「さぁ見せてあげよう。俺の真の姿を」


 そう言うと、彼は自身の両手を胸に当て、ゆっくりと両手を下に滑らせていく。


 するとゆっくりと服も下に伸び、足元まであるローブへと変化した。


 背後にいたイタカがゆっくりとその姿を消した後、彼は語り出した。


「俺の別名くらい知ってるよな? 『黄衣の王』。これが俺の真の姿だ」

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