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黒剣の魔王  作者: ニムル
第1章 センシタリア王国編
30/45

第25話/魔王国誕生

( 厂˙ω˙ )厂ふくせんをね


( 厂˙ω˙ )厂はりまくってみかいしゅうにしてたらね


( 厂˙ω˙ )厂「そろそろウザいんだけど」ってね


( 厂˙ω˙ )厂いわれたけどね


( 厂˙ω˙ )厂またふくせんをはるの

 なんかよくわからないオチで魔王国建国の許可が降りたので、今は空いた土地を回って建物を立てまくってます。


 なんか物凄くしょぼいことやってるけど魔王です。はい。


 やってる事の内容はしょぼいけどやり方はすごいんだぜ?


『ほぉれ! よっと、『一夜城』!』


 建ててほしい建築物のイメージを見せるだけで、すぐに建築を始めてくれる便利なお猿のおっさんをたまたま読んでたんだなぁ。


『太閤閣下と呼べと言っておるのに……』


「良いでしょ? べつに。むしろあんた俺に呼ばれなきゃ無職だった可能性高いよ? 俺が説明見た時、あんたの所には『瞬時に建物を建てられる能力』しか書いてなかったけど、レベリングのために召喚してみてあげたんだから」


『くっ、それを言われると何も言えないのぉ……』


 この人の唯一使えそうだった頭脳も俺との意識共有でどれほどまで落ちているのでしょうね、見ものです。草生えるわ。


 ちなみにスカコンティー達には別方面の街づくりを進めてもらっている。


 ポンポン異世界文化を移植して、この国を魔法と科学の某都市みたいにそちゃうぞぉぉぉ。


「んで、そこに住んでるさえない少年のところに修道女(シスター)が迷い込むわけだー」


 姉ちゃん、あってるけどそれ以上話すとボロが出そうだ、やめておこう。


 俺の体はあの最強の電撃を無傷で躱す心と体を持ってない。


「ほほーん、よく分からないけどお兄ちゃんがまた馬鹿なことしてるってのはわかったよ?」


 ん? ん? ん? なんか酷くね?


「姉様は大まかにあたりでございます。が、(ゆい)、いや妹よ、それは酷くはないかい?」


「ん? いつも通りって言っただけなんだけど」


「『また馬鹿なことしてる』とはなんだ、『また馬鹿なことしてる』とは。失礼極まりないな! お兄ちゃん、あなたをそんな子に育てた覚えはありませんよ?」


 半分ネタに混ぜて優しく諭すこの俺。なんて優しい兄なんでしょう! 世界一優しい兄コンテストに出場してほかと大差をつけて一位を取れるね、絶対。


「いや、たかだか数分早く生まれただけで育てたとか色々語られてもね……しかもお兄ちゃん、こっちの世界に来てからいつもテンション高くない?」


 ……妹の切り返しが厳しい……この妹は世界一兄に優しくない妹コンテストで、他に一切のポイントを許さずに優勝するだろうな……絶対。


「むしろ妹よ、なぜ今日はこんなにもテンションが低い?」


「……あ、ごめん普段呼ばれない呼び方だからつい。……そりゃ、もちろん」


 そう言って結は自分の足元を見る。


「足元が見えない足場だけだったらそりゃ、怖いでしょ? 私には見えないのにお兄ちゃんとお姉ちゃんには見えてるって、有り得ないんだけど? なんで? 力の解放って何? 意味わからいよ……」


 目尻に薄く涙を寄せながら震えるような声で(ゆい)が愚痴をこぼす。可愛いアピールかな?


 うーん、このシーンだけ切り取って、世界一萌える妹決定戦に応募したいね。このシーンだけなら、全国の同胞が両手をあげて一斉奮起しそう。ちなみに今までのコンテストや決定戦はフィクションだよ? もちろん。


 まぁでも、世界一可愛い妹コンテストとか、世界一美しい姉コンテストとか、そういうのはあってもいいと思うんだよね。


 うちの姉妹さんらに世の中の厳しさというものを教えてやるためにも。モテるやつは死すべし。


 雑念で頭をいっぱいにしていると、いつの間にかおっさんの作業が終わっていたので別の地区に移動することにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ある程度の住居区画の整備が済んだので、家に帰って昼飯をとることにした。


 え? もちろん秀吉のおっさんとスカコンティーはそのまま建築だよ? てか、スカコンティーは帰ってきていいって言ったのに「然しながらまだノルマを達成していない故」と言ってかたくなに帰ってこないし。


 何なのかな? ゴブリンさんは実は世界位優秀な種族だったりしちゃうのかな?


 ちなみに今日の昼飯は


・魔王洞窟産デンジャーフィッシュのソテー

・魔王草原産ブラックボア肉使用の肉じゃが

・王国産魔草野菜の野菜炒め

・クトゥルフさんちのクトゥルフ米の炊き出し


という、この世界の食材を使った珍妙なメニューだ。だが、この料理たちは今まで食べてきた料理たちよりも圧倒的なうまさを誇る。


 なぜなら、王国に求人を出したら某帝〇ホテルの料理番の人が雇われてくれたからだ。


 いやー、ほんと奇跡だよねー……王様の差し金とかじゃないよね? あの人、最近やたらと関わってきてめんどくさいんだけど……


 わざわざ来てくれたからのために、彼の周辺施設はめちゃくちゃ整っていて、まるで彼一人だけがクラス待ちみたいになってるけど、飯を作る彼に対してのそれくらいの優遇は朝飯前である。


「いやー、今日もご飯がうまいっ!」


「おい恭花(きょうか)、意識してやってんのか? 無意識なのか? 意識してやってるんだったらまじで後で覚悟しとけよ?」


「ん? 何のことかさっぱりなんだけど……」


 こういうところが天然さんの怖いところである。ちなみに3次元が意識してあのセリフを吐くことは、一アニヲタとして絶対に許さない。


 無意識であのセリフが出てくる脳はどうやって作られたのか。ちょっと生産ラインに不備でもあったのではないか?


 きっと誰かが生産過程で、彼女にアニメのセリフを刻み込んでいったに違いない。


 なんて恐ろしい工場なんだ、俺もその工場で作られたかったぜ。


 なんせ、基本家の事などろくにせずに遊び呆けていた両親だ。誰が好き好んでそんな両親のように育ちたいですなどと思うのか。


 小学生ですらお世辞を言わないぞ、そんな人達には。強いていうなら育ててもらった恩、住居を与えてくれた恩、それくらいだろうか。


 なんかもっと昔は色々あったような気がするのだが一切思い出せない。まぁ、思い出す必要も無いと思うので問題は無いのだけれど。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 昼食も取り終えた後、おっさん達がすべての区域の建築を終わらせて帰ってきた。


 ……やっと出来た。元の世界に帰るための拠点。


 実を言うと元の世界に帰っても何かある訳では無い。それでも、この世界に来て、見知らぬ土地に来て、言葉にし難い不安感を抱いた。


 元の世界には友達もいた。家族がいた。それが帰る理由と言われればそうだろう。しかしそれが本当の理由なのかと問われると、自分に自信が持てなくなる。


 友達とは勉強で疎遠になっていたし、両親はろくでなし。元の世界に帰っても自分が特段なにかに秀でているわけではなくただただ普通。


 途中何度も帰らなくてもいいと思った。しかし、何故か過去の思い出がその考えを否定する。


 あったはずの悲しい出来事を忘れて、対して思い入れのあった訳では無い元の世界での、楽しかった思い出が脳裏に蘇る。


 ……それは彼女たちも同じようで、何回も夜にすすり泣く声が聞こえる。


 「友達に会いたい」「お母さんに会いたい」などと零す姿を毎日目にして、それでも「俺は帰る意義が見い出せない」などとほざくことが許されるわけがない。


 ……自分の為じゃない。(ゆい)、姉ちゃん、恭花(きょうか)達のために、俺はあの世界に帰る。


 どんなことをしようとも、どんな酷い目に会おうとも、絶対に4人であの世界に帰る。


 その日が来るまで、俺は







ーー自ら進んで魔王になるーー







 改めて決心したその内容は、あまりにも稚拙で、他人の為にという自己満足かもしれない。


 それでも彼女たちを助けるためならば、完遂するまでやり遂げる。


 それが、彼女たちに助けられた俺のせめてもの恩返しなのだから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 魔王国スパロウ。


 20年ほど前に新しく出来た魔王の国は、この世界の歴史をいとも容易く切り崩し、新たな世界の誕生の為の灯火となった。


 異界の少年が王を務めた異例の王国は、全てのことが終わった後に天に昇り、今も私たちのことを見守っている。


 銀翼の天使と共に過ごしたあの地が今はもう、私の手に届かぬ場所にあることを悲しむと同時に、王の寛大さに感謝する。


 あの時から時が止まったままの私。今の私に生は無いのだから。


 しかし時折思うのだ。あの時、彼女たちと共に闘えていたらどれほど良かっただろうかと。


 非力な私には、あの時、何も出来なかったというのに。


『運び屋トロイの日記』

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