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黒剣の魔王  作者: ニムル
第1章 センシタリア王国編
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第9話/勇者の帰還1

なんとか投稿できたんご

 ステラ達勇者パーティは、流石に不審がられるといけないので風の魔法『ウィンドアイ』で常に監視下に置いた状態のまま、一時的に王都に帰ってもらった。


 そのおかげかは知らないが、魔王が倒されたと勘違いした国王は、勇者パーティの話を聞く前に武器の投棄を発令した。


 馬鹿だね、この国王。


 するとそこに現れたのは、いかにも私魔導師です。と言わんばかりの灰色のローブをかぶった男だった。


「どうした? オルドワン戦略級国家魔導師」


と、国王が聞いたところ、オルドウェルと呼ばれた男は


「まだ魔王は死んでいませんよ。と言うか、死んで、次の魔王が現界しました」


と答えた。


「何? 勇者ステラが魔王になっていないのはおかしいと思ったが、別のものが召喚されたというのか?」


「え? 私が魔王に?」


「ええ。魔王を倒したものは魔王になるはずなのですよ。ですが、現に貴方は魔王になっていないし、しかし4代目魔王の魔力は消失している。この二つから考えられる結果は、貴方がたが魔王のところにたどり着く前、またはそのタイミングで現れた別の存在が魔王を殺した、という感じでしょうか」


 こいつ頭良すぎかよ、全部言い当てられてるじゃねぇかおい


「勇者よ、その魔王のことは知っているか?」


『知らないと答えろ』


 眷属にしか聴こえない声、『主の声』で勇者パーティ全員に命令を下す。


 やはり王国軍を潰すには、戦力として勇者パーティが必要不可欠。こんなところで死なせるわけには行かないのだ。


『了解致しました』『りょうかいです!』『はぁ、仕方ないですわね』『わかった』


と、それぞれ独特な返答が帰ってくる。


 あちらからも返答できるということがこれで確認できたので、質問をしてみる。


『その男は誰だ?』


 それにすかさずステラが返す。


『戦略級国家魔導師、クトゥルフ・ルルイエ・オルドワン7世様です』


 ルルイエ? どこかで聞いたことがあるような......



『千五百年前に現界したクトゥルフ神の子孫です』


 納得。あ〜はいはい、そういう事ね。理解した。


 え? なに? わかってるって言ってるだろ?


 まぁいいや。取り敢えず、王国側との接触をすべて切らなければならない。だから勇者パーティ立ちには王国と交渉してこちら側についてもらわなくてはな、くっくっく。


「これが世にいう『クズの高笑い』だよ、恭花(きょうか)


「ぶち殺すぞ? それかブタ箱に詰めてやろうか? 妹よ」


「いや、お兄さん落ち着いてっ!」


 黒剣を取り出した俺に慌てふためく恭花(きょうか)


 一方、(ゆい)も俺のものとは違うデザインだが黒剣を取り出して応戦準備。


 熱くなった俺達の代わりに恭花(きょうか)が勇者パーティに指示を出し始めた。


 よし、舞台は整った。妹よ、今こそ家庭内カーストの頂点が誰かを決める戦いを使用じゃないか!


「ふふふ、(ゆい)、今こそ決着をつけようじゃないか」


「いいよ、クズアニキ! 2度とお日様浴びられなくしてあげるんだから!」


 気色の悪い笑を互いに浮かべながら、自分達の命がかかっている帰還計画のことを忘れて、本気の兄妹げんかを始める。


 さぁ、俺は真の男女平等主義者だからな! 容赦はしないぜ、ふへへへへ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ふ、全ては私の計画通りに行っている! このまま行けば、私も幹部クラス入りだ。魔王はまだなったばかりでロクに力も使いこなせないだらう。


 さてさてさて、どうしたものか。


 このまま勇者を献上しても良いし、魔王をまた殺しに行かせてもいい。


 今や国王は私の傀儡。


 ふふ、馬鹿め。貴様らは滅びる運命なのだよ、魔族。


 この世から永久追放してやろう。


 今回でとは言わずとも、あと数年で絶対に滅ぼしてやる。


 国の大切なものを奪った貴様らを私が生かしておくわけがないだろう?


 馬鹿め、貴様らは大罪様方の餌となるのだ。


 王城の片隅にて、貴族の儀礼服を着た男がその顔で汚く笑った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 スカコンティー、貴様だけは許さない。


 私の妻と娘を屠った貴様だけは!




 愛する家族のかたきを討つ、その一つの使命のために命をかける男の姿がそこにはあった。


 だが、彼らはまだ知らない。今回現界した魔王は4人、しかも皆が『災害級』とまで言われた初代魔王と同等か、それ以上のステータスを誇っている事を。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 戦略級国家魔導師。それは過去に現界した、クトゥルフ神話の旧支配者、クトゥルフが人間と子を成して生まれた一族、『オルドワン』家の子孫に代々与えられる称号である。


 過去に侵略をしようとしてきた法国をたったひとりで追い返した旧支配者クトゥルフ、初代魔王を倒すのに尽力した2代目クトゥルフ、魔物が一定の場所でしか発生しないような巨大魔法陣を国に設置した3代目、4代目。


 この4人の活躍によって、今の王国は鎖国の中で他国からの侵略もなくのうのうと暮らせていたのだ。


 5代目、6代目は帝国との境界線に大きな山脈を作ることで国内の名声を高め、戦略級国家魔導師の称号が与えられたのはこの5代目からである。


「〜と、ここまでは分かりましたか? 我が主」


「お前なんでそんな詳しいんだよ、スカコンティー」


「かつて人間とともに暮らしていた時期がありましたので」


「お、おう」


 なんかものすごく悲しそうな顔して言われても困るんだけど……


 てか、お前いくつだよ。かつてとか語れるぐらい生きてるようには見えないんだけど。てか、ゴブリンって短命じゃなかったっけ?


 現在は俺にあっさり倒された(ゆい)を家の中に運び入れ、王国の詳しい話が分かるというスカコンティーを連れて家の中で話していた。


 ソファの上で意気消沈している(ゆい)の方を見る。


 (ゆい)の上に馬乗りになっている人物が1人。


 恭花(きょうか)か。


「はぁはぁ、(ゆい)ちゃん♡、んんっ! くっ、ふぁっ、ああぁっん!」


恭花(きょうか)様は何をしておられるので?」


「スカコンティー、気にしなくていいぞ。こいつのやってる事いちいち気にしてても意味無いから」


 恭花(きょうか)はガチレズである。(ゆい)の事を愛しすぎているが故によくこうなる。行動パターンが全て(ゆい)に合わせてなのは案外ここに原因があるのかもしれない。


 (ゆい)は全くもって気づいていないが、両親公認の仲である。


「んっ、く、ふう、切るなら私を切って欲しかったなぁ♡ ああっ! そうぞうするだけで……」


 頭のおかしい妹の友人を見ながら、俺はスカコンティーから王国の詳しい話を一晩の間に叩き込まれたのだった。

予告はどうしたかって?

今は忙しいんで。てか復活するかもわからんです(気まぐれ作者)


読んでくださりありがとうございました!

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