表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/139

97話

初めて聞いた………タクトの荒げた声を。初めて見た………タクトが激昂した顔を。正直、驚いた。タクトがこんなに感情任せに怒るなんて………。けど、驚き以上に嬉しかった。タクトが怒ってくれたことが……。カグヤは怒りに震えるタクトの拳を握った。何かを考えていた訳じゃない。自分のことのように、自分達のために怒ってくれたことがとても嬉しく、とても愛おしく感じられ無意識に握ってしまっていた。


―――参ったな~~………。この後どうしよ………。


カグヤは内心焦っていた。無意識にタクトの手を握ってしまったことに。何も考えてなかった分、この後のことも考えてない。いきなり手を握って変な人と思われてないだろうか?取り敢えず、宥めることを言ってみたが誤魔化せただろうか………?




――『忌み子』が危険な存在だと言いふらせ―――



言い方は違うがゲンジはそう言った。それがどんな意味かを分かって言っているのだろうか?

「『忌み子』が危険だと言い廻るとどうなるか分かってるのか?」

初めは信じて貰えないかもしれない。全員が信じないかもしれない。けど、数人でも信じたら?その数人から噂が拡散し訴える人が増え信じる人が増えていく。そして最後には危険を排除しようとする動きが出てくる。

「勿論だ。分かっているからこそ頼んでいるんだ。」

「そう……ですか。その考えを改めて貰えないですか?」

タクトにはゲンジに考えを改めて貰う必要がどうしてもある。ゲンジが『忌み子』を危険な存在だと拡めた時、カグヤの身に危険が及ぶ。それだけじゃない!noccsを創り『忌み子』の居場所を創ろうとしているナオキの夢を潰すことになってしまう。

「どうしてだ?『忌み子』がいなくなったことで君達に不都合があるわけじゃないだろ?」

ゲンジが怪訝な顔をしているが当然だろう……。頼みを断るだけじゃく考えを変えろ!とまで言っているのだ。

「えっ!?いや、それ……は………」

不都合ならあるに決まっている!!けど、ゲンジに説明するためにはカグヤが『忌み子』であることを伝えなくてはならない。『忌み子』を危険な存在だと思っているゲンジに伝えるのは躊躇われた。

「まさか…君達もD・Aのプレイヤーなのか!?」

躊躇ったのが結果としてゲンジにこの考えを抱かせた。半分は正解で半分は間違い……。

「ううん、それは違う。タクトがプレイヤーで私がキャラクター。」

間違いを指摘したのはカグヤだった。靴下を脱ぎ、足の裏に刻まれた薔薇の刻印をゲンジに見せた。


「軽率な発言をしてすまなかった……。そうか、D・Aのキャラが『忌み子』だということまで知っていたのだな………。」

カグヤが『忌み子』だという事実が予想外だったのかゲンジの開いた口が閉じたのは幾分か経ってからだった。

「そうか、君も『忌み子』だったのか………。人間の『忌み子』とは可哀想に。他種族より遥かに辛かっただろうな…。」

カグヤを見る目に憐れみが混じりだした。人間は他種族より仲間意識が強く、感情もずば抜けて豊かな種族である。故に他人に向ける感情が大きく複雑で、太陽のように温かくて凍えるほど残酷で………。タクト達の倍は生きてきて色んな人間を見てきた。………良い面も悪い面も。だから、不幸を齎す『忌み子』のカグヤに向けられた感情も想像がつく。それでもこうして生きているカグヤが眩しく直視出来ず床に視線を落とし呟いた。




「…………申し訳ない、謝って許されないのは分かっているが、このままじゃダメなんだ!この世界の為に……この世界に生きる命の為に死んでくれ!」



ゲンジが困窮の中から選び吐き出した言葉は大きく深く突き刺さった………。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ