91話
「置いていくなんて……酷いんじゃない!?」
「ご、ごめ~ん……でも指がすり抜けたのなら剣も通じないし………。私の出番はないかな?って」
置いていかれたことには怒りを感じるがカグヤの言っていることが重要だ……というか大問題だ。斬ることも殴ることも出来ない幽霊をどう退治しろというのだろう?
「どうする?冗談抜きで神父さんの未練を晴らすの?」
マコの言葉が頭を悩ませる。幽霊なんていないと思っていたから冗談で言ったが冗談で済まなくなった。現状、他の案が見つからない……。
「神父様の未練ってなんだろ……?」
開けっ放しになった扉から中を覗くが神父の姿は既になくなっていた。
「………中、調べてくる?」
「そうだね、今のうちに調べに行こう?」
が、誰も動こうとしない。
「調べに……行こう?」
皆、顔を背け行かないと主張している。カグヤに至っては¨いってらっしゃい¨と言わんばかりに手を振っている。タクトはカグヤの後ろに立つと脇に手を入れ羽交い締めにし教会まで無理矢理引っ張っていく。
「いーや~だー!行かない!!行きたくない!離してヘンタイ!!」
「そんな事言わずに一緒に来てよ!!」
腕の中でカグヤが暴れるが本気になれば振り払うことは容易だ。だが行きたくない気持ちと一人で行かせてはいけないという気持ちがせめぎあい、そのまま教会の中まで連れていかれた。幽霊相手に効果があるのか分からないが息を潜め椅子に身を隠し気配を殺して手がかりのありそうな最奥の扉を目指す。
¨ブゥン¨という聞き覚えのある小さな音が聞こえた。
――――出ていけ……出ていけ……
聞きたくない声が教会の中に響く。見たくない……見たくない……。けど、これがカリギュラ効果なのだろうか?その姿を探してしまう。…………あぁやっぱりいた。聖母の像の前。さっきと全く同じ位置でフワフワと浮いてらっしゃる。




