87話
久しぶりに拠点に戻ったタクト達を迎えてくれたマコ達は何も変わっておらず家に帰ってきたことを実感させてくれた。のんびりと寛ぎたいとこだがそうもいかない。どうしてもドロテアのことを伝えておく必要があったからだ。その姿やロウガやカグヤを圧倒した力もそうだが一番重要なのは『忌み子』の刻印に干渉し狂暴化させてしまうこと。抗いようのない狂気に支配されればパートナーを……仲間を殺してしまうかもしれない危険があることを。
「直接、触れられなければいいんだよね?全身を布でぐるぐる巻きにして隠しておけばいいじゃん?」
「私も靴と靴下を脱がされたから直接じゃないといけないのは確か。けど、刻印の場所を知っているようだったから全身をぐるぐる巻きにしても意味はない……と思う。」
ナナが発案した対策をカグヤは左脚を撫でながら否定した。あの時ドロテアは刻印を探す素振りを見せなかった。足の裏という分かりにくい場所にあるにも関わらず。
「結局、触られないってことが一番の対策って訳か……。」
ウィルの言葉にカグヤは頷いた。
「ここからは僕の推測なんだけど……いいかな?」
控え目に手を挙げ発言の許可を貰おうとするタクトに全員が先を続けるよう促した。
「ドロテアが『忌み子』を作り出したってのが大前提になるんだけど」
そう前置きをしこの場にいる四人の『忌み子』に改めて問うた。
「『忌み子』は心の力を身体能力に変換してるけど変換してるのは半分くらいで残りは別の場所に送られているんだよね?」
「ああ、そうだ。」
「ならドロテアの目的は心の力を集めることで手入れって心を動かして力を集めることだったんじゃないかな?って思ったんだけど……。」
「だから誰も殺さなかった……手加減したと?」
「うん……」
タクトはドロテアとの争いを思い出しながら自分の考えを述べた。ドロテアからは殺意どころか敵意すら感じられず、ただただあの場を荒し楽しんでいるように思え考え抜いた末これしかドロテアの目的の見当が思い付かなかった。
「そうだな、いつでも殺せたのにそうしなかった。それ以外が目的と考えるのが妥当だろうな……。」
ナオキが同意してくれたことで自分の考えに少しだけ自信が持てた。ナオキも魔術によって痕が癒えたとはいえドロテアによって傷を負わされた。どの傷も致命傷どころか低級の魔術で完治してしまうほどの傷ばかりだったが。それに対しタクトが負った傷は………。痛みを訴える右手を押さえた。ナオキみたい鎌で負わされた傷ではない。¨二人で一人¨ドロテアが言った言葉が頭の中を駆け巡った。
「私も………ドロテアについて気になることがあるんだけど……」
カグヤの言葉が頭の中をローテーションするドロテアの言葉を消した。
「気になること?」
「うん……。ドロテアの身体能力から『忌み子』だと思うんだけど、それって変なんだよね………」
「変?変ってなにが?」
一同が首を傾げカグヤに注目した。この世界には数こそ多くないがカグヤ達のように『忌み子』として生きること背負わされた命がいくつもある。珍しいことではあるが変ではない筈だ。カグヤが次の言葉を紡ぐのを待った。




