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81話

タクトは壁の上からカグヤが走っていくのを見送ると自身も降りるための階段を探し歩いていく。メーニャを見つけたのは警備の人間を貸して貰えるだろうか?と考えていた時だった。いつもボディガードの人間が一緒にいたのにこの時は一人で行動していた。街の中でもボディガードをつけていた人間が街の外に行く時だけ単独行動するのに違和感を覚えた。そう言えば前にカグヤと三人で話した時は以上に多かった。カグヤを挑発することばかり言っていたので報復をおそれていたんだと思っていたがよく考えればおかしい………。いくら挑発されたからっていきなり斬る人はそういないはず。では何故?一定の距離を保ちながら追いかけて行くと森の中へと入って行った。

「えぇ、大丈夫よ。予定通り進んでいるわ。」

背後からメーニャの声が聞こえ振り返ろうとしたタクトの首筋に衝撃がはしり意識を失った。





「タクトー!」

「安心して?気を失っているだけだから。」

メーニャが檻をガンガン叩く。

「メーニャ…どうして貴方がミノタウロスと一緒にいるの?」

元々オークとミノタウロスが組みラナミル街と戦争しておりトリューネ街に戦禍が及ぶ前に何とかしたいと言っていたのはメーニャだ。それがどうだろう……?今はオークと組んでいた筈のミノタウロスがメーニャと組んでいる。

「私がミノタウロスと一緒にいるのがそんな不思議?」

「だって貴方、ミノタウロスを止めたいって言っていたじゃない!!」

「ああ、アレ。嘘よ。タクト君とそのパートナーにキングオークを討伐して欲しかっただけよ。けど、まさかタクト君のパートナーが人間だったなんて。」

「メーニャ……アナタ何が目的なの!?何をしたいの!?」

「目的………ねぇ。まずはこの三つの街の統合。行く行くは世界の統合……といったところかしら?」

「そんな事のためにオークと戦争し沢山の人をまきこんだの!?」

「えぇ、そう。結構苦労したのよ?オークを焚き付け戦争を起こすの。唯一の誤算はキングオークがミノタウロスと同等の力を持っていたこと。あのままキングオークが暴れたらオークと街が共倒れにならなかったから貴方には感謝しているわ。」

ミノタウロスの影から痩せた気の弱そうな青年がキョロキョロしながら出てきた。

「き、き、君もぼ、ぼ、僕たちの仲間になりなよ?」

カグヤの前に立った青年はカグヤより十センチ以上背が高いが痩せ細っており同年代比べるとひ弱な印象を受けた。

「じ、じ、自己紹介がま、まだだっとね。ぼ、ぼ、僕はカズトシ。あのみ、み、ミノタウロスは僕のパートナーでアウレーって言うんだ。」

カズトシはカグヤの手を乱暴に掴むと先程立っていた場所に戻ろうと足を踏み出した。


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