56話
依頼を終え拠点に戻ると車椅子を押すナナと廊下で合った。車椅子にはぐったりとしたカグヤが座っている。二人ともほんのりと顔が赤くなっており髪の毛が湿っている。風呂上がりのようだ。
「皆おかえりー!」
カグヤとは真逆の溌剌とした笑顔のナナ。
「ただいま。二人とも風呂上がりか?」
「うん。至福のにゅーよくタイムだったよ。」
ナナはより一層顔を赤くして自分で自分を抱きながら体をくねくねさせた。
「そのわりにはカグヤのテンションが‥‥‥。」
「カグチーは喘ぎ過ぎで疲れちゃっただけだから。」
「あ、あ、あ喘いでなんかないから!!ナナさんの指使いがくすぐったくって声が出ちゃっただけなの!!」
「お前ら風呂で何やってんだよ‥‥‥」
「やましいことなんかしてないから!体と髪の毛を洗って貰っただけだから!!」
「ハァアアアン。カグチーの体気持ち良かったなぁ。透き通るような白い肌、滑らかな肌触り。指先が触れただけで感じちゃう鋭敏な感覚‥‥。」
「いやらしい言い方しないでっ!」
「どう?タク?羨ましいでしょ?」
「誰かっ!この変態を何とかしてくれ!!」
「そうだな。ナナン、明日からマコ姉とチェンジな!」
「明日からマコ姉の体も洗えるのね!」
「違うわ!バカ!!マコ姉がカグヤちゃんの看病してお前が依頼をこなせってことだ!!」
「ナオ、あなた鬼!?」
「ちげーよ!そーゆー訳でマコ姉、頼んでいい?」
「‥‥‥と、えっと看病はナナンがやりたそうだし依頼は私がやるよ。疲れたから先に寝るね。行こ、ウィル。」
自室へと戻っていくマコを見送るとタクト達は顔を見合わせた。
「マコ姉の様子、変じゃない?」
「そうだな。いつもならナナンを叱ってくれるし看病もOKしてくると思ったんだが‥‥‥‥」
「ふっふっふ‥‥‥。天は我に味方セリ!さあ、カグチー。今晩から一緒に寝るよ。グゥエヘヘへへへ。」
「ハイハイ、ナナンはここまでで良いから部屋に戻れ!!」
「そんな殺生な!!この欲情どこに持っていけばいいの!?」
「知るか!!」
「ねえ、タクト?」
「うん?何?」
カグヤを車椅子からベッドに寝かせ布団を掛けていく。
「タクトは針に刺されて暴れていた時のこと覚えている?」
「乱闘してる中に混ざってケンカしたけど、どうして?」
「ううん、何でもない。おやすみなさい。」
タクトは部屋の灯りを消して扉を開いた。
「待って、明日で良いからマコさんと話しがしたいんだけど‥‥‥?」
「分かった。マコ姉に伝えておくよ。」
タクトは扉を閉めるとそのままマコの部屋に向かった。




