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4話

太陽は1/4位を残し地平線に沈んでいた。タクトたちの周囲には背の高い木が群生しているため僅かな太陽光をさらに遮っていた。

「明るいうちに食べ物探しとけば良かったね…」

カグヤは空腹を訴える腹を擦っていた。その姿を見ているとタクトの腹も空腹を訴えてきた。

「パンならあるよ?」

タクトは鞄から菓子パンとペットボトルのお茶を取りだした。現状を予測して持っていた訳ではなく、映画という出費があったため夜食を節約しようと購入したのだ。低所得で一人暮らしのタクトにとって給料前の生活は切羽詰まった状態だった。チョコ味のパンを2つに分けカグヤに渡した。チョコの糖分が血中に溶け出していく。パンを食べた後、口の渇きをお茶で潤しお茶も渡しておく。簡素な食事を終えると次第に闇が支配していった。

今夜は新月の様で月は出ておらず無数の星とスマホの画面のみが頼りだ。


「暗くなったね……。」

「夜になったからね……。」

人気の無い場所に若い男女が二人きり、二人の緊張はぐんぐんと高まっていく。まだまだ話したいが緊張のせいで上手く言葉が出ず虫の鳴き声しか聞こえなくなった。

「そろそろ寝ようか…?」

タクトは切り出した。正直、あまり眠気はないし、まだまだ話していたかった。しかし、この空気の中で普通に話しをするのは無理そうだし他にやることもない。朝になればこの空気は無くなるだろうと思った。

「ぃ、いや………でも、あの……ここ、草の上にだし。あの、そ、その……………ぁ……ぉ………だなって………」

「ごめん、よく聞こえなかった。何て言ったの?」

カグヤは反対側を向いているし、口籠もったカグヤの声は風の音に掻き消されタクトの耳に届かなかった。

「だ、だから……そ、そのね………あ、あ、青姦っ……はちょっと………」

「ち、ち、ち、違うっ違うから!そっちの寝るじゃなくて『睡眠』の方!!『睡眠』の方の寝るだからっっ!変な勘違いしないでよ。」

考えないようにしていたのに……………。山のように立てた膝に顔を埋めているカグヤをスマホのライトが照らした。

「だってぇ、男の人はそういう事ばかり考えてるって………。だから、タクトもしたがってるのかなって………」

「その情報間違ってるからぁ!」

「えっ!?じゃあタクトはしたくないの……?」

「……したくないとは言ってない………。」

「…………スケベ…………」

「カグヤが聞いて来たんだろぉ!」

「タクトのスケベ心を測ったのです。」

膝から顔を上げたカグヤがニヤニヤしながらタクトを見ている。

「ん?でも、さっきの言い方だと部屋の外はダメだけど中ならOKって事?」

「ぇっと、そ、そのタクトがどうしてもって言うならそ、外でもいいけど、そうじゃなくて相手をタクトにしたのはタクトと話してるからであって、でもタクトが嫌な訳じゃなくて、タクトとはまだ会ったばかりだし、時間をかけた方が良いっていうか、あっ!でも、ただ時間を掛ければ言い訳でもなくて…えっとえっと……お互いを理解する必要があるわけで……と、とにかく今はダメなの!!」

カグヤが必死に取り繕った。タクトは恥ずかしそうに慌てふためくカグヤが愛くるしく思えて仕方なかった。

「もぉー―ー―ー―、この話しはもう終わり!早く寝るよ!!」

カグヤはニヤニヤと笑ってるタクトを見てからかわれたと分かった。



3時間置きに見張りを交代する事にし、スマホのタイマー機能をセットした。タクトが先に見張りをする事になりカグヤが隣に寝そべった。

「エッチな事したら怒るからね!」

「しないから大丈夫だよ!!」

そう告げカグヤは目を閉じた……。眠れないー―。勿論、タクトが何かしてくるとは思ってない。ただ興奮が治まらない、。―――楽しかった。タクトとの会話が。タクトが質問して私が答える。私が質問してタクトが答える。タクトの話しで私が笑って、私の話しでタクトが笑って。内容はアレだけど私がタクトをからかって、タクトが私をからかって。もっともっと話したい、もっと一緒にいたい、そう思えた。薄目を開けタクトを見た。星から届く僅かな明かりだけではハッキリ見えないが確かにそこにいる。カグヤはそっとタクトの手に触れた。




タクトは不意にカグヤに手を握られドキッとした。

「私ね、ずっと暗い場所に居たの…。真っ暗な闇の中に一人キリ……」

そう言ったカグヤの手は震えていた。

「でもね、ある時、タクトが話し掛けてくれるようになって私スッっっごく救われたんだよ!!」

顔が熱い…光が無くて良かったと思った。

「アプリになる前からずっと1人ッキリだったからタクトの会話楽しかった!!声に出来ない言葉もあったけどそれでも大切な時間だったよ!!」

相づちを打つ程度していが気になったので聞いてみた。

「声に出来ない言葉?」

「アプリの中にいるー!とか助けてー!とかって言おうとすると途端に声が出なくなったの」

(パートナーは実在の人物だった…?だから、パートナーのキャラが被る事がなかったのか?)

タクトが考えていると寝息が聞こえてきた。考えるのを止め彼女の手をやや強めに握り返し、「パートナーがカグヤで良かったよ…!」と伝えた。一瞬ピクッとした彼女の手を離しタクトは周囲への警戒を強めた。


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