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10話

タクトは岩陰に潜み様子を窺っている。その視線の先にはカグヤがケンタウロスと対峙していた。


湖を出発してから2日間過ぎたどり着いた丘からは周囲を俯瞰することが出来た。その景色の中に一つの集落があった。先端の尖った丸太柵を作り100軒位の家を守っていた。1軒に親子3人として300人位だろうか。集落まで数百メートルというところでケンタウロスが猛然と襲って来て現在に至る。


ケンタウロスの体には剣や矢、槍が数本刺さっている。傷痕も目立つが最近出来たようなものではなかった。手負いではあるがバイクのエンジン音を思わせる荒い呼吸からは弱っているとは思えなかった。


ケンタウロスが振るう斧を最小限の動きで躱し少しずつ反撃している。ケンタウロスの手が赤く染まっていくものの傷口は浅く重症とは言えないものだった。攻撃の当たらないカグヤに苛ついたのか反撃を受ける事に焦りを覚えたのか斧で横薙ぎにする。それを後に跳んで躱したカグヤに向かい突進する。それを横に跳んで躱すとそこにまた斧が振られる。突進の攻撃が加わり反撃出来なくなっていた。それを見ていたタクトは岩陰から飛び出した。ケンカすらした事のないタクトだがこのまま黙って見ている事も出来なかった。しかし、タクトの目に映ったのは絶体絶命の姿でなく、「大丈夫!!」と笑顔で言っている姿だった。タクトの足が止まった事を確認したカグヤは一定距離を保っていたのをやめ数歩分さらに距離を取り左手の剣を鞘に戻しケンタウロスに向かい駆けた。カウンターを狙い相手に合わせていた速さとは違うカグヤ自身の速さ。それは一瞬で吹き抜けた風の様で斧が降り下ろされるより速く懐に潜り込んでいた。その勢いのままジャンプし体に刺さっている剣を足場にもう一段ジャンプした。


ケンタウロスは目で追うことしか出来なかった…。自分に向かってくる少女に武器で攻撃した。攻撃は当たらなかった。少女が自分と同じ目線までジャンプしてきた。カウンターを………いや、両手で剣を振ってきた。今までより強い斬撃だ!!回避しなくては…!!何故だ!?何故、体が動かない!?!?……………首の無い体と少女!?あぁ!!斬られ…たのだ…な……。


ケンタウロスが完全に動かなくなるのを確認すると剣を鞘に戻しタクトに無垢な笑顔と右手で作ったVサインを向けた。


カグヤの笑顔に見惚れていたタクトだが「村に行こう」と急かされ我に還り村を目指して並んで歩きだした。


程なくして前方から10名程の集団が走ってくるのが見えた。


「ケンタウロスを倒して下さりありがとうございました!!」


タクト達の前に整列した集団からリーダーらしき人物が一歩前に出て深々と礼をした。他の人達も彼に習い礼をしていた。


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