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明るさ

作者: 朽無鶸

 夜というのは明るいものだ。部屋の電気を消してただ呆然としていると見えてくるものもある。カーテンを閉めるのも憂鬱でアパートの外が視界に入る。月明かりなのか街の灯りなのかそういうことは分からないが、夜というのは明るいものだ。その微かな明るさに少しの喜びを感じる。最近心から笑うことも泣くことも出来なくなってしまった。正確にはそれほど濃い感覚を持てなくなってしまった。世界は美しく、醜く、温かく、冷たいものであるが、今の僕には虚無そのものである。しかしこうして虚無でない明るさに時々想いを馳せるのだ。

 こんなことばかり部屋の隅に座って考えているといろんなことが疑問に思えてくる。そしてその疑問の答えを探し求める。その結果悟るのである、全ての疑問に答えは出ないと。その時自分の無力さというか、小ささに涙したくなる。泣くことで自らを慰めたいのだが、慰めには程遠い虚しさばかりが残る。誰か慰めてほしい。同情じゃない、一緒にいてほしい。そんな子どもみたいな結論に達するのだ。全く笑えない笑い話だ。

 気づいたら夜は更けていく。無駄な時間を過ごしては朝が来て、外は明るくなる。いや、明るくなどない。

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