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春花さんシリーズ。

基本省エネモードの春花さん。

作者: 陽向楽

春花さんは僕の顔を見ずにパラリとページをめくる。

授業の合間の時間を読書にあてる春花さんはどこか僕らと違う雰囲気を纏っている。

具体的にどう違うかは上手くいえないけど、大人しいとか大人っぽいとかやや地味な印象なのに目を引くというところだろう。


毎日の授業の間で1冊の本が読めるらしく、春花さんが2日続けて同じ本を読んでいることはない。


まあ、そんなことが分かるのも席が前後で休み時間は春花さんの方を見るように僕が後ろ向きに椅子に座っているからだけど。


「あなた、よく飽きないわね」


視線は本に向けたまま僕に言葉を投げかける春花さん。

最初は僕から話しかけていたけど、読書の邪魔かな?と考えて最近は本を読む春花さんをそっと眺めるだけだった。


あれ、そうすると春花さんから話しかけられたの初めてかな?


「んー?春花さんが何を読んでどんな風に考えてるか凄く興味があるし、飽きないね!」



春花さんを眺める事がライフワークになる前は席の近い友達としゃべったりしてた。でも、春花さんを眺めるようになってから春花さんを見てる僕に声をかけてくる人はいなくなった。

あ、別に虐められてるわけじゃないよ?流石に昼食時は春花さんを眺めてはいられないし。その時は友達としゃべったり学食に移動したりするし。


なんだろうね、幼い子を眺めてるような生暖かい視線を時々感じるけど。

ま!春花さんを静かに眺められるのは幸せだからいいんだ!


「そう…」


パタンと本を閉じた春花さんに首を傾げる。

まだ授業始まらないよ?


顔に疑問が出ていたようで、視線のあった春花さんが笑った。


え?笑った!?


「あなたのその子犬のようなところ、けっこう好きよ」




春花さんを眺める僕をクラスどころか学校中が片思いと認識していたとか。

読書を邪魔しない僕を春花さんが好ましく思ってくれてたとか。

実は春花さんが凄く怖くて強いとか。



自覚のなかった恋をやっと分かったばかりの僕はまだ知らなかった。

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