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通報者  作者: 末広新通
25/25

切り出す者

 鴨川沿いの遊歩道を、僕は敦子と一緒に歩いていた。

対岸に並んだ古風で味わい深い建物達が、僕たちの目を愉しませた。間近に迫った春を感じさせる暖かい風が心地良かった‥。

「やっぱり、京都は風情があっていいな‥‥。」

「ほんとね。」


 僕達は京都に来ていた。

[会社の寮の管理人が警察官を殺害した。しかもその管理人は元々警察からの天下りにより就職を斡旋された人物だった。]

この事件発覚により、マスコミからの追求を受けた会社は、暫く通常営業が困難な状態になっていた。

僕を含む社員の多くには、この機会に有給休暇の消化をするように、という指示が会社から出ていた。

ちょうどいい気分転換にもなる。そう思って、僕は敦子に今回の京都旅行を提案したのだった。

 新聞記事によると、今回の殺人事件は『借金返済を迫った犯人とこれに逆上した被害者との間の金銭トラブルが原因で、揉み合いの末に誤って絞殺に及んでしまった。』との事だった。

もっとも、警察によって危うく犯人に仕立て上げられる寸前だった僕が、そんな警察の発表など信じる筈もないのだが‥。

少なくとも、自分の汚名は晴らされた。その事実だけが重要だった。


 そう言えば、不思議な事があった。

あれだけ探しても見つからなかった‥あの預かり書が入っていた白い封筒が見つかったのだ。しかも、何度も探した筈の机の引き出しの中からだ。

その封筒の中に、預かり書は入っていなかった。しかし、その代わりに現金110万円が入っていたのだ。

僕は、そのお金を交番に届け‥‥‥なかった。

100万円は元々敦子のものであり、増えている10万円については誰かの配慮だと勝手に決めつけ受け取る事にした。

その増えた10万円が‥‥実はこの旅行の軍資金になっていた。(100万円の預かり書が110万円に‥‥ハハハッ、儲けたなぁ。)

 ふいに、勲さんとあの日居酒屋で話したことを思い出した。僕が自らの潔白を勝ち取った‥あの日である。

『そう言えば、預かり書はどこにいったんですかね?』

『あー、犯人が直樹の部屋から持ち去ったんだよ。』

結果として、その通りだったのだと思う。

しかし、それにしても‥‥あの時の勲さんは、確信的な言い方をしていた。

‥もしかしたら。

僕の脳裏に、突然1つの疑惑が生まれた。

ひょっとしたら‥勲さんは、犯人だった石橋さんが僕の部屋に忍び込み、封筒を持ち去るという一連の行動を‥‥音声で聞いていたのではないだろうか?

僕の部屋の隣には、元々勲さんが住んでいた。

もしかしたら、その頃に壁の内部のどこかに盗聴器を設置してあったのではないだろうか?

‥‥一瞬、寒気がした。

(まさか‥‥な。)


「ちょと、直君、歩くの遅いよ!」

考え事をしながら歩いていた僕は、いつの間にか敦子から3m程後れていた。

「ごめん、ごめん。」

 僕はこれまで、自分が会社である程度の立場になってから彼女との家庭を築いて行こうという考えを持っていた。

しかし、今回の件で分かった。自分が彼女を守って行く上で必要なものは‥‥そんなものではないのだと。

 再び僕達は並んで歩き出した。

僕は、今この瞬間に集中する事にした。

ポケットの中には小箱が用意してある。

後は、このシチュエーションの中‥‥どのタイミングで彼女にプロポーズを切り出すかだ‥‥。



               ーおわりー



取り敢えず、書ききりました‥‥が、正直サスペンスと呼べる代物ではなく、自分の力不足を痛感しました。もう少し、企画、構成等をしっかり最初に考えるべきだと反省しました。

また、もっとクオリティの高い作品に向けてチャレンジしてみたいと思います。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございした。

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