第一話 入学
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春、4月。
ドキドキ・ワクワクで迎えた、高校の入学式。
学校に行くために、初めて袖を通す制服。
中学時代のセーラー服は卒業。
白いワイシャツに紺のブレザー。
学年で色が違うネクタイ(一年生は赤)に、膝丈の赤いチェックのスカート。
紺色のハイソックスに、ローファーを履いて行く。
地元出身の現役デザイナーがデザインしたというこの制服も、『かわいい』と巷で評判だった。
全身を鏡に映してみると、
『ちょっと大人っぽい?』
あたしがいる。
制服だけで、ここ数日間だけで、随分大人になった気がする。
高校生。
その響きに『憧れ』ていた。
早く高校生になりたかった。
早く先輩に逢いたかった…。
先輩が通っていると思うだけで、校門をくぐることさえも緊張する。
先輩。
あたし。
先輩を追いかけて、この学校を受験しました。
あたし。
神崎 すみれ。
大好きな先輩と同じ高校に通いたい!
たったそれだけの理由で受験した高校で、本日初めての学校生活スタート♪
ガラガラ。
緊張気味に教室に入る。
先に席についている他の生徒たちのの視線が、一気にあたしに集中した。
「すみれっ!」
「弥生!」
気まずい空気を消し去ったのは、親友の弥生の明るい声。
弥生と同じクラスで、良かったあ。
思わず弥生に抱きついて、再会を喜んだ。
「席について!」
突然現れたクラスの担任は、若いんだか、そうでないのか、ちょっと微妙な女の先生。
先生は、軽く自己紹介した。
担任教科は英語らしい。
「入学式始まるから、出席番号順に廊下に並ぶ!!」
…って、言い方はわりと男らしい?
前後に座っているクラスメイトの顔を確認して、廊下に並ぶ。
改めて見渡してみると周りはやっぱり、知らない顔ばかり。
弥生は中学時代陸上部だったからか、当時のライバルなのか、なんだかもう、仲よさそうに話しをしているコがいる。
それを『うらやましいな』と思いながら、横目で見つつ、列に並んでいると、前のクラスが動き出した。
そうして、入学式は始まった。
先輩が見ている。
そう思うと、変に緊張してしまう。
吹奏楽部の演奏で体育館に入場して、来賓祝辞だとか校長先生や在校生のお祝いの言葉を聞いて、式は無事に終了した。
明日からは、この高校で新しい日常が始まる。
友達はできるかな?
勉強はついていけるかな?
不安はいくつもあるけれど。
一番気になること。
それはやっぱり、先輩との関係。
高校では少しは先輩と、仲良くなりたいな。
話しもしてみたいし…。
夢は膨らむばかり。