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炎の重力魔導師  作者: kenchanun
2/5

炎の剣

 校舎を出ると、いつもの風景とは違う別世界アナザーワールドが、広がっていた。

 本当にブレイズの言う通りだった。風車や噴水、レンガを積まれで作られた建物など炎人が居た世界とは全く違った。

 違っていたものは建築物だけではなかった。行き違う人々も、見慣れぬ服装だった。容貌ようぼうもまた、金髪、青い目、背の高い人ばかりだ。

 しかし、変わらぬものも一つあった。それは、言葉だ。外見はいかにも外国人だが、聞こえてくる会話は日本語だった。


 少し歩くと看板があった。「ようこそ“ウォーターシティへ」と書かれている。何となく振り返れると、校舎だった建物は赤レンガが積まれた工場のような建造物に変わっていた。


「それにしても、賑やかだな。」


 今まで炎人が居た世界とは違い、活気があった。公園には噴水があり、大勢の子供が遊んでいる。その公園を囲むように店が建ち並び、利用客で溢れていた。

 中でも人気だったのが武器屋だった。炎人もそこに向かうことにした。


「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい! ソードが安いよぉ!」


 店に入ると同時に、威勢のいい声。

 炎人には安い武器も目に入ったが、野太い声を出すおっさんの隣に居る女の子に視線は引き寄せられる。


「あの看板娘可愛くない?」

「最近入ったのだとよ!」

 

 炎人は周りの客の気になるワードを聞き逃したりなどしない。「看板娘」というほど興奮させるワードは無い。しかもその娘同い年っぽいし、巨乳でミニスカ、その上可愛い。武器どうのこうのより、「その娘を視姦しかんしたい!」という純粋な理由から剣を買うことに決めた。


「お姉さん、この店のオススメを教えてくれないかな?」

「あ、あたしですか? えっと、この店のお勧めは……あ、これですね♪」


 巨乳少女が前かがみの姿勢になる。濃紺のシャツを内側から押し上げるバストが、すぐ目の前にあった。

 炎人はゴクリと喉を鳴らして、魅惑的な膨らみを凝視する。


「触っても……いいですか?」


「え、ああ、危ないので気を付けてくださいね♪」


 ムニュ


「え? ええ? あ、あの……。」


 モミモミと弾むような年頃の感触に、ムニュという指が沈むような柔らかさ。


(たまらねぇ……)


 圧倒的な量感と存在感に魅せられ、炎人は自らの刀身を抜いてしまいたい気分だった。


「す、すみません。大きかったから、間違えちゃいましたぁ。」


「で、ですよねぇ~。」

 

 アハハと巨乳少女は照れ笑い。炎人もまた誤魔化し笑いをしていると……。


「ですよね、じゃねぇ!」と隣にいたおっさん。


「俺の娘に手ぇ出しやがって、ぶっ殺す!」


 おっさんは、どこからか取り出した包丁を手に取ると、炎人の頭目掛けて振り下ろした。


「ひっ、えぇぇえぇぇ~。」

 

 店から飛び出す炎人。ちゃっかり、巨乳美少女オススメの剣を手にして。


 この剣があれば、あの感触を思い出しては、思いっきり白い火山弾を吹き荒らすことができるだろう。


 しばらく青き山に向けて歩いていると、「キャー、助けて!」と女性の悲鳴が背後から聞こえた。


 すぐに炎人は都に引き返した。

 スライムが都を襲っていたのだ。

  

「大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」


 炎人は倒れていた武器屋のおっさんに近寄って声をかけた。


「ちっ、お前か。俺は大丈夫だが、それより娘がっ!」


 炎人がおっさんの指した方向を見ると、さっきの看板娘がスライムによって壁に拘束されたいた。Tシャツにミニスカート姿の看板娘の元へ、炎人は走る。


「その娘を離せっ!」


 スライムに何を言っても通じない。この都には、武器屋のおっさんと看板娘だけが取り残されていた。他の住民たちは、既に都の外れに避難しているようだ。周りに人が居ないかを確認して、炎人は攻撃態勢を取った。


「助けてっ、勇者様っ!」


「任せろっ!」


 両手両足首をスライムによって固められ、大の字のまま身動き一つできない看板娘は、あの時の凛と被って見えた。

 スライムは震える太腿を這い上がり、ミニスカートを捲るようにして内側へと進行している。

 だが、下手に攻撃すれば、今回は助けるべき人まで危害を加えてしまうかもしれない。


「あっ、ダメ、そこは、んんっ!」


 露出した純白の股布に、粘体生物が貼りついた。もう迷っている暇はない。


「“火炎拳フレイムフィスト”っ!」

 

 しかし加減した技は、スライムの一部が蒸発しただけに過ぎなかった。それどころか今の攻撃で、スライムを怒らせたようだ。


ウゴゴゴゴゴッ!


「ウホッ!」


 スライムの鞭のような攻撃が男の急所を襲う。まるで扱き立てるような、蠕動運動に炎人は悶えた。

 それだけならまだいい。だが、武器屋の看板娘の方も女の急所を刺激され、細腰を悩ましげにくねらせている。

 両手に貼りついたスライムは、少女の指の一本一本までチューチューと吸い立て、さらには、過激に自己主張する胸の膨らみにまで粘体生物は迫っていた。


「はぁ、あっ、胸は、胸までされたら私……た…す…け…てぇ、勇者様……。」


 物欲しそうな潤んだ瞳が、炎人を見る。


「絶対助けるからな凛っ! だからそれまで死ぬなよっ!」


 また炎人の中では凛に連想され、ついにはその言葉を発してしまった。

 炎人はさっき盗んだ剣を鞘から抜いた。同時に炎が刃に纏った。


「後悔するなよ。なぜこの都を襲ったのかは知らない。だけどな、お前はこの俺を怒らせた。覚悟しろよ!」


 狙うはスライムの急所というべき、群れを束ねる核。

 それは、豊満巨乳を下から持ち上げるように絡みついている粘体にあった。


「“火炎斬フレイムソード”っ!」


 ズバババババッ! 


 その斬撃は、スライムの群れを一瞬にして蒸発させた。その炎を纏った刃を鞘に封じ込め、決まったと思った瞬間……。


「いやぁぁあぁぁっ!」


 巨乳少女のTシャツはビリビリに破け、少女の両手に覆い隠された白い乳肉が晒された。


「大丈夫か?」


「あのぉ、勇者様? お陰で大丈夫ですから、後ろを向いててくださいませんか?」


 赤面する少女が、身体を反転させながら言った。


「あぁ、ゴメン。気が利かなくて……。」


 炎人は今後の展開を想像してニヤリと笑うと、ひとまず後ろを向いた。

 そこに立っていたのは、さっきまで倒れていたはずのおっさんだった。

 指をポキポキと鳴らして、睨みつけてくる。


「えっと、これには深い訳がありましてね……。」


「泥棒さんよ、言い訳はそれでおしまいか? あん?」


 この後、炎人が締められたのは言うまでもない。

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