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俺の愛した異世界で  作者: 八乃木 忍
第一章『師弟』
6/72

異世界の術で・後編

 俺は魔術と剣術を勉強している。

 いつかは体術も教わるが、今はこの二つだ。

 だが、俺は勉強だけをしていた訳ではない。

 ソーシャライズだってちゃんとしていた。

 この村にも友人が出来たしな。

 どいつも大人だが。


 だが、そんなお友達の方々ともお別れだ。

 エヴラールが村を出ると言っていた。

 五ヶ月ぐらいはここに居た為か、少し名残惜しい気もする。

 でも、そろそろ旅を進めたいと思っていた頃だし、丁度いいだろう。


 今は二十二時。

 明朝にはこの村を出る。

 友人への挨拶はまだ済ませていない。

 俺は今まで世話になった人の顔を思い出しながら、眠りについた。




 明朝、いつも通りの時間に目を覚ます。

 午前七時だ。

 エヴラールは剣の手入れを丁度終えていたようで、腰には既に二本の剣が差してあった。


「起きたか。おはよう、シャルル」

「おはようございます」


 挨拶をしながら、俺は洗面所に向かう。

 顔を洗い、うがいをして、朝食を取りにエヴラールと宿を出る。

 この宿とも、今日でおさらばだ。


 宿主のケヴィンとは結構仲良くなった。

 顔を合わせれば世間話ぐらいはしたし、この人には雑学を教わった。

 効率のいいGの排除方法なんかも聞いたのだ。

 この世界にはスプレーなんてものは無いからな。


「気をつけてけよ、シャル坊」

「はい、ケヴィンさんもお元気で。息子さんと仲直り、ちゃんとしてくださいよ?」

「わあってるって」


 軽い挨拶を済ませ、俺は宿を後にした。


 いつも朝食と夕飯を取りに来る料理店、ここともお別れだ。

 ウェイトレスのお姉さんのリリーとも仲良くなれた。

 俺にタダでデザートとかをくれたり、頬についたソースとかを拭きとってくれたり。

 店を通りすがる時に少し立ち話をしたりした。

 優しいお姉さんだった。

 朝食後、店を出る前にリリーに抱きしめられた。

 大きな二つのメロンパンに顔が埋まる。

 もちろん、匂いは嗅ぐさ。

 スゥ……。

 スゥ……。


「気をつけていってらっしゃい」

「っはぁ……はい、ありがとうございます。リリーさんもお元気で」


 俺はリリーと二つのメロンパンと挨拶を終え、料理店を後にした。

 またいつか来よう、メロンパンに誓う。


 別れの挨拶を済ませた後、俺達は村の出口にある馬屋で前に預けた馬を引き取った。

 村の入り口にある馬屋と出口にある馬屋は経営者が一緒なのだ。

 そういえば、馬にはまだ名前をつけていなかった。

 旅の友となるのだ、名前ぐらいはいいだろう。

 そうだな、どうするか。


「フーガ」

「ヒヒーン」


 俺の声に馬が反応した。

 よし、今日からお前はフーガだ。


 俺はエヴラールとフーガと共に、ライヒ村を出た。




――――――




 ライヒ村を出てから約一週間。

 俺達は朝から夕方まで、途中休憩を入れながら移動した。

 夜はもちろん宿で過ごした。

 一週間の移動の末、俺とエヴラール、そしてフーガは一つの国に辿り着いた。


 レイノルズ中立国。

 何処に位置するのかを理解してもらうためには、まずこの世界の大陸について知るべきだろう。


 この世界には、三大大陸と呼ばれている三つの大陸がある。

 ルーノンス大陸、ヴェゼヴォル大陸、そしてエクデフィス大陸だ。

 ルーノンス大陸とヴェゼヴォル大陸は細い陸地によって繋がっている。

 ルーノンスは北に、ヴェゼヴォルは南に。


 そして、二つの大陸を繋ぐ細い陸地の真ん中に位置しているのが、レイノルズ中立国だ。

 レイノルズは二つの大陸の中立的立場にあり、二つの大陸が戦争を起こさないようにバランスを保つ役割を果たしている。

 バランスを保つだけでなく、二つの大陸を行き来する関所にもなっている。


 何故バランスを保つ必要があるのか。

 それはヴェゼヴォル大陸の頂点に立つのが魔王だからだ。

 ヴェゼヴォルにある全ての国は魔王の支配下だ。

 魔王が一声、「向こうの大陸をインヴェイドだぜ」と言えば、戦争が始まる。

 だから、この国はかなり重要な立ち位置にある。


 俺達がこの国に来たという事は、俺とエヴラールとフーガはこれからヴェゼヴォル大陸に渡るという事だ。

 魔王と魔人の地。

 恐すぎる。

 まあ、でも、エヴラールがいれば大丈夫だろう。

 ……大丈夫だよな? 黒豹のエヴラールさんや。

 いや、大丈夫だから行くのか。

 そう、心配は無用なのだ。


 しかしまあ、行くぜヴェゼヴォル! と意気込んではみたのだが、この国にしばらく居るらしい。

 ヴェゼヴォルへと行く前に俺の剣術の練習を再開するんだと。


 再開、と言っても俺は別にサボっていたわけではない。

 宿を取った村では寝る前と朝にしっかりと練習をしていた。

 だが、今までは反復練習みたいな物で、これからは四段に移行するという意味だ。


 今はまだまだノーマルモード。

 あと一段上がれば、ハードモードになるだろう。

 俺は魔術も剣術も極めるつもりだ。

 どこで使うのかは分からないが、強くて損はしないだろう。


 そして俺達は今、レイノルズ中立国のサンズという街にいる。

 冒険者ギルドが近くにある街だ。

 エヴラールに「冒険者になってみたい」と言ったところ、三流派四段まで行けば登録してくれるとの事だ。

 冒険者登録に条件はないのだが、これはケジメや段落というやつだろう。


 我が師匠エヴラールは特級冒険者だ。

 この世界の冒険者は六階級でランク付けされている。

 特級はまぁ、所謂S級冒険者という奴だ。

 我が師は昔、パーティを組んで色々と派手な事をやっていたらしい。

 そこも今度詳しく聞こう。


 夕食後、俺達は宿を取った。

 今まで来たどの村のよりも大きな宿だが、リース程ではない。


「シャルル、早めに寝ておけ、明日の朝から始めるぞ」

「はい」


 明朝から訓練再開だ。

 俺はイメージトレーニングをしながら眠りについた。




 翌朝、いつもより一時間早い六時に目を覚ました。

 エヴラールは既に剣を腰と肩に差している。

 俺はエヴラールに挨拶をすると、顔を洗いに洗面所へ向かう。


「よし、行くか」

「あ、はい」


 着替え終えた俺は外へ出るように促された。

 外へ出ると、いつもより空気が冷たい事に気づく。

 七時と六時でこんなにも差があるのか。


 俺は深呼吸をし、準備運動を済ませてからエヴラールと一緒に街の端から端まで走りこみをする。

 最低で四周回は休みなく走る。

 最初はエヴラールに二周ほど遅れを取っていたが、今では一周遅れで終えることができる。

 エヴラールは凄い。息も切らさないし、早いのだ。

 比べて俺は、走り込みの後は息も切れ切れで死にそうな顔になっている事だろう。


 走り込みを終えた後は朝食だ。

 俺とエヴラールは街の料理店へと向かう。


 料理店の中にはあまり人がいなかった。

 まだ早すぎたのだろうか。

 ていうか、朝食を料理店で取るのもあまり多いケースではないのかもしれないな。


「シャルル、いつものでいいな?」

「はい」


『いつもの』とは、俺が来る度に頼んでいるメニュー、コーヒーとパンと卵である。

 少し味の薄いコーヒー、焼きたてでふわりとしているパン、そして少ししょっぱいスクランブルエッグだ。

 何故スクランブルエッグがしょっぱいか。

 それは塩の入れすぎ等ではない。

 この世界の卵、それ自体が日本の卵よりも辛いのだ。


「どうぞ」


 コーヒーとパンが俺の前に置かれる。

 この店のウェイトレスは男の人だ。残念。


「そういえば、言わなくてはいけない事があった」


 パンを口に含んだ俺に、エヴラールが思い出したように言った。


「決して悪い意味ではないが、シャルル、お前は、異常だ」

「え?」

「いや、だから悪い意味ではない。成長速度が異常、という意味だ」

「……ふむ」


 まあ、そうだろうな。

 俺は身体能力をアダムから貰っている。

 たしかに、俺の剣術の習得や、体力の伸びは普通ではない。


 だが、それでも俺はエヴラールには届かない。

 アダムは一般成人男性の身体能力をデフォルトステータスとしてくれた。

 そこから更にステータスを伸ばした今でも、エヴラールには及ばないのだ。

 つまり、剣士は一般成人男性の倍以上のステータスを有しているという事だ。


 エヴラールの話しによれば、俺はいつかエヴラールを抜くらしいが、どうだろうか。

 きっとエヴラールは俺よりも遥か高い位置にいる。

 経験値も違う。

 俺がエヴラールと同じ技を使えるようになっても、同じ速さで走れるようになっても、俺は負けるだろう。

『経験』というのは侮れない。

 どのステータスよりも重要かもしれないのだ。


「シャルル、俺が剣の三段まで行くのにどのくらい掛けたと思う?」

「二週間か、三週間ぐらいでしょうか?」

「いいや、一年だ」

「えっ?」


 エヴラールはそれから剣術を完璧に自分のものにするまでの話を聞かせてくれた。

 俺はそれを聞きながら、コーヒーを啜る。




――――――




 エヴラールの話によれば、雷霆、烈風、碧水、三つの流派の六段を取るまでに四年は掛けたらしい。

 三流派の三段まで一年、そしてそれぞれの流派六段まで一年ずつで、四年。

 それでも世界では短い方だと言う。


 師匠エヴラールは、周りの大人から天才児だと言われ育てられた。

 それからは、更に上を求め、三つの流派を同時に使う事を考えた。


 そして、片手で雷霆流、片手で烈風流を使う特訓を始めた。

 天才と言われたエヴラールでも完全なものにする為に一年は掛けたのだとか。


 俺が異常だと言われた理由は、そこからだ。

 天才児でも三年は掛けた三つの流派を、俺は三ヶ月で三段まで習得した。

 あと一年で俺は六段まで行けるだろうとエヴラールは言った。

 そして、違う流派をそれぞれの手で使う事も、半年かそれよりも短い期間で使えるようになると言われた。


 この話を総合すれば、なるほど、俺の成長速度は異常だ。

 天才児と呼ばれた男よりも速いスピードで技を習得している。

 どこかの漫画にもあるように、スペシャルの上はアブノーマルだしな。


 ああ、ちなみに、体術の方だが、俺はそちらもちゃんと教えてもらった。

 ほとんどが手首を掴んで返す技や、相手の重心を利用して投げる技等のカウンター技で、自分から殴りつける技なんかは教えてくれなかった。

 ともかく、異常な俺にエヴラールはこう言った。


「お前は強くなるが、慢心はするな。足を掬われるぞ」

「はい、肝に銘じておきます」

「よし、そろそろ行くか」

「はい」


 エヴラールは代金を払い、店を出た。

 俺はその後に続く。

 店を出ると、いつもの様に肩車をしてくれた。


 にしても、この街は人が多い。

 種族も色々いて変な感じだ。

 まさに、ファンタジー。

 竜の顔をしたあいつなんか最高……と、ここで気づいた。

 冒険者の鎧とは違う、綺羅びやかで、紋章の入った鎧を着てる人たちがたくさんいる。


「エヴラールさん、あの人達、騎士ですか?」


 俺は鎧を着た人間の一人に指を向けて聞いた。

 エヴラールは俺の指した方向を一瞥すると、返事をする。


「ああ、そうだ」

「へえ。じゃあ、偉いんですか?」

「偉くはないが、強い」

「だらけたりしていないんですね」

「言っただろう、この国は爆弾のようなものだと」


 俺の読んでいた漫画では、ああいう騎士ってのは市民を見下して弛んでいた。

 だが、この世界、というか国では違う。

 適当な騎士のいる国もあるのかもしれないが、この国は説明した通り、戦争が起こらないようにしっかりと見守らないといけない。

 ただの小競り合いでも、大きくなれば大変だからな。

 なんせ、違う大陸ではまだ戦争している所があるらしいし。


 俺が街を眺めているうちに、エヴラールの足が止まった。

 目の前にあるのは、大きな木造の建物。

 大きな木の看板には、こう書かれている。

『ジルースト道場』。

 ジルーストって何処かで聞いたな。

 何処だったか……思い出せない。


「エヴラールさん、ここは?」

「昔に通っていた道場だ。経営者が祖父だったんだ」


 思い出した、ジルーストってエヴラールのラストネームだったな。

 道場を経営していたのだし、おじいちゃんも強かったのだろうか。


 エヴラールは俺を肩から下ろし、付いて来いと一声。

 俺は言われたとおり、エヴラールにぴったりとくっついて道場の中に入った。


 中に入ると、広い玄関、小さな窓口、それと大きな木製の扉が目に入った。

 窓口には屈強そうな男が一人いて、扉の奥からは『えいっ』や『せいっ』といった掛け声が聞こえる。

 稽古中ということだろう。

 エヴラールは窓口まで行き、男に何かを言うと、俺の方に戻ってきた。


「中に入るぞ」

「はい」


 扉を開き、中へと入る我が師匠の後に、俺も続く。

 道場の中にはむわりとした空気が漂っていて、汗臭かった。

 稽古をしているのは、全員が十代かそれ以下の者達だろう。

 大人もいるが、あれは恐らく先生の方々だろうな。


 俺の師匠は先生の一人に何かを言うと、稽古中の生徒たちを集めた。

 俺達はしばらく棒立ちになっていたが、突然エヴラールが外套を脱ぐように言ってきた。

 俺は言われたとおりにする。


 脱ぎ終わると、木剣を二本渡された。

 エヴラールは何も言わずに、俺の背中を押した。

 押された方向は、生徒たちの集まっていた場所。


 生徒の顔を見ると、なぜだか全員が俺の顔を捉え、眼には敵意が見える。

 エヴラールの方を振り向くと、親指を突き立てられた。

 なんなんだよ。


「では、シャルル君、道場の真中まで行ってくれるかい?」

「え? あ、はい」


 生徒に何かを説明していた先生が俺に向かって言った。

 俺は困惑しながらも、言われたとおりに真中まで移動する。


 俺が真中に着くと、生徒達は立ち上がり、道場の壁に並んで座った。

 他の先生もそこにいる。


 だが、一人だけが違った。

 俺と同じぐらいの背丈をした、茶色の髪の毛の少年が、俺の方まで歩み寄ってきていた。

 俺との距離が一畳分くらいになると、少年は足を止めた。

 少年は俺を睨み、俺は苦笑いを返す。


 少年の手には一本の木剣。

 一本を両手で握っている。

 俺の手には二本の木剣。

 右と左で一本ずつ握っている。


 この状況はまさか……戦わされるのか? この少年と。

 それはマズイ。

 こいつの敵意は丸見えだし、きっと俺よりも段は高い。

 多分、こいつは俺よりも強い。

 そんな奴といきなり戦うなんて、無理だろうに。

 エヴラールは何を考えている。


「用意!」


 困惑しているうちに、先ほど俺に声をかけた先生が声を発した。


「始めッ!」


 掛け声と同時に振り上げられる先生の手。

 そして、手が振り上げられたと同時に床が鳴った。

 少年がこちらに向かって突っ込んできていた。

 俺は反射的にそれを避け、少年との距離を取る。


 うん、やっぱりか。

 目的は分からないが、エヴラールは俺とこの少年を戦わせる為に、俺をここまで連れてきた。

 予想するに、俺の腕試しとか、そのへんの適当な理由だろうがな。

 まあ、そんな事はいい。

 とりあえず、早く勝つか負けるかしてしまった方が、話は早い。


 勝つか負けるか……勝たねばならないだろう。

 負けた時「勝てなかったから、失格」とか言われて、四段以上は取らせてもらえないかもしれない。

 なるべく相手を傷つけないように勝たなくてはな。

 相手は子供だし。

 って、俺も子供じゃん。


「せいッ!」


 少年はいつの間にか間合いを詰めていて、横薙ぎを繰り出していた。

 俺は右に持った木剣で横薙ぎを叩き、左に持った木剣で少年の胸を一突きする。


 少年はよろけたが、体勢を立て直し、またこちらに向かって飛んできた。

 少年は俺の目の前まで来ると、突然しゃがみこんだ。

 俺は反射的に後ろに飛ぶ。


 少年が行ったのは、下段の横薙ぎ、足払いだ。

 最初の頃はよく騙されて、エヴラールに何度も足を取られたものだ。

 そのおかげで今こうして避けられたわけだが。


 うん、じゃあ、今度はこっちが攻める番か。

 俺は数歩下がって、両手の木剣を構えた。


「よし」


 小さく呟いて、床を蹴る。

 一瞬で間合いを詰めるが、少年の反応は遅い。

 防御の姿勢にも入っていないし、回避の姿勢でもない。


 胴、胴、小手、面。

 四コンボを決めてやった。


「そこまでッ!」


 俺が構えを解くと、先生が叫んだ。

 うぅむ、これで終わりか。

 あっけないものだったな。

 最初は勝つ自信なんてなかったんだが、こんなにもあっさりと勝ってしまうとは。

 まだレベル50のコイ○ングの方が強かったかもしれない。

 俺は息を一つ吐き、エヴラールの元へと戻った。


「お見事」

「ありがとうございます」


 戻った俺に頭を撫でながら褒めてくれたのはエヴラールだ。

 本当にいい人やで……。

御意見、御感想、駄目出し、何でも何時でも歓迎しております。


では、ショートストーリーをどうぞ。



「リリーさぁん」

「はいはい、どうしたの?」

「リリーさん、良い匂いですねぇ」

「そうなの? 自分では分からないけど」

「試しに抱きついてみてくださいよ、僕に」

「子供なのにむっつりさんだね。仕方ない……ぎゅー」

「……ほら、やっぱり良い匂いです。甘くて、安心する匂いです」

「私が良い匂いだなんて、初めて知った」

「きっと、通りすがる男どもはさり気なく鼻を『すん』とさせてますよ」

「そんな事はないと思うけど……」

「今、店内にいる男性の全員が肩をビクリと震わせたはずです」

「分かるの?」

「分かります」

「困ったなぁ……」

「安心して下さい、僕が大きくなったら必ず貰いに来ますから」

「あら、それは頼もしい。でも、私には許嫁がいるの」

「あぁもうダメだ。もう生きるの嫌になって来た。マジ病み」

「冗談よ?」

「わぁぁい!」

「……少年の様な笑みを浮かべるのはとても可愛らしくて好きだけど、喜ぶ理由が男性のものね」

「少年も青年も男性も男だという事に変わりはないんです」


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