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愚かなる賢者の手記  作者: 狛井菜緒
序章編
2/11

2月15日菩提樹王

・世界観・


・マダーズ帝国


開闢してから345年しか経っていない、新興国。


旧王国の時代が長く、色々な国を吸収合併してたら王国から帝国になっていた。

部族間での争いが絶えない多民族国家


首都はマルクトコルグ



・精霊・


基本使役不能。かつては使役できたが今は不可能とされている。


自然の意思


基本性格は皆温厚。田舎や首都の近隣の森に多くいる



・半精霊・


精霊になりかけている存在


・魔法形態・



・属性魔法


火水地風光闇雷などの基礎魔法


・白魔法


いわゆる回復魔法 光属性の人間しかできない


・薬魔法


いわゆる魔法薬をつくる魔法



・召喚魔法


精霊魔法の変わりになった上級魔法。


魔界から召喚が可能


・精霊魔法


今はもう誰も使えない古代魔法



【戻ってきてくれたのかい、サリックスの子】


「 ああ、戻ってきたよ菩提樹王。」


「…?」



中庭に戻ると話し掛けてきた菩提樹リンデン王に返事を返すと、隣にいたアルトロは怪訝そうな顔をした。


【…おや、ユースティティアの生徒だね。実にせっかちで、実直で…正義感が滲み出ている。かれは将来、良い検察官になるだろう。】



ユースティティアは古代語で正義・裁判と言う意味で、サンマルクトコルグ大学院を創設者した7賢者の一人で、法学科の創設者の名前だ。


…なぜアルトロが法学科に受かったのを見てわかったのかはあえて突っ込まないでおく。面倒臭いから



「…良かったなアルトロ。お前は良い検察官になるらしいぞ。」


「は?ちょっとまて。さっきから誰と喋ってるんだ?」


「誰とって…」



友人の反応に風がとおり、葉がざわめき、菩提樹王に眼を向けると菩提樹王は苦笑するように葉を揺らす。



【サリックスの子。私は心を開いた人間にしか語りかけない。彼には私の声は聞こえていない。】


「そうなのか。」


【…君はパンタシアの生徒になるのだろう?サリックスの子

学院でまた会えるなら、また後日話そう。彼がいたら落ち着いて話せなさそうだから】




「わかったよ…でも入学式まで寂しくないか?」


【寂しいさ。でも、1ヶ月なんて私からすれば一瞬だ。我慢はできる】


「そうか…。ではご機嫌よう。菩提樹王 」


【ご機嫌よう、サリックスの子】



一礼すると、菩提樹王の根から、葉っぱの先まで、嬉しいそうにキラキラと彼の静魔力マナが感情を表すように金色に輝いた。


その幻想的な光景にアルトロは、口をこれでもかと開けて呆けて見ている。


周りを通る教師達や在校生達が、こちらをみて「今日は聖樹様はご機嫌がいいみたいだ」と言って慣れた様子で通り過ぎていく。


最初に見たときは、木の半精霊はああやって感情あらわすのかと驚いたものだ。精霊がよりつかない、工業特区や下町じゃなかなか御目にかかる事はできない光景だ。


会場へ戻るため、歩き始めると、呆けていたアルトロが、追いついてきて俺の隣に無理矢理並ぶと興奮覚めやらぬといった感じで、鼻を鳴らし眼をキラキラさせていた。


「お前!樹と話せたのか!?しかもあれ、マルクトコルグの聖樹だろ?」


「話せないよ。寧ろアレが聖樹だったから喋れたんだ。」


「聖樹だったから?」


「あの樹…精霊化し始めてるんだよ。…既に半分は第一特殊系の樹精霊アルボルだ。」



精霊王レークス級だと!?」



精霊王と言うのは人間が勝手に付けた階級で、自然界の精霊達にはそんな階級がない。


精霊達からすれば強いか弱いかの認識しかない。「俺は右隣にいる精霊よりは強い」「俺は水の精霊だけど、あまり強くない」とかいった感じだ。人間の様に何でも区別することはしない元初の意思達だ。


第一特殊は精霊の構成する静魔力マナの力が飛び抜けて高く、意思をもつ。わかりやすく言うと、喋れて非常に知恵がある自然エネルギーと言うべきか


普通、火や雷や、草や花や水や大地や光や闇は喋らない。自然界に在り、その役割をそれぞれ負っている。


そこに意思が宿り精魔力マナを核に魂の形を成した存在が精霊だ。


その核の強さから下から第三級、第二級、第一級。因みに数が少ない方が力が強い。


第一級特殊というのはその第一級を凌ぐ意思と能力を持った精霊達で、滅多に会えない。


人生で一度遭遇したら良いほうだ。


「…あと800年で完全に精霊化するな。」


「でも、何でお前と聖樹は喋れたんだ?半精霊なら俺も喋れたんじゃないか?」


「菩提樹王はそこまで器用じゃない。波長が合う人間としか会話ができない。俺は偶々波長が合ってただけだ。」



実は波長云々なしに話せるだろうが、菩提樹王がアルトロに心を開いていないからと言ったら多分アルトロが傷つくのでそういう事にしておく。


俺たちは会場に戻ると既にそこはごったがえしており、それぞれの科の先輩在校生達が合格した同じ科に入る新入生を胴上げして喜んでいたり、学生サロンの勧誘をしていた。


掲示板の人だかりから少し離れた場所で、立っている人物を見て俺は眉間に皺を寄せた。



「ゲッ」


「…どうした?」


そいつは、俺達の視線に気がついたのかこちらに視線を向けて、不機嫌そうに眉をしかめ、これ以上視界に入れたくないと校門の方へ歩いていった。


…入学受け付けに立ち寄らない所を見ると落ちたようだ。成る程、通りで不機嫌なわけだ。



「知り合い?」


「…まあ、家族と言うべき人間かな一応。げー…マジで入学するの考えようかな。」


後で絶対に面倒臭い事になる…アイツが落ちて、俺が魔導科合格ってある意味最悪だろ。


「何言ってんだ今更!行くぞトリス!」


俺はアルトロに引きずられるように受け付けまで行かされ、結局、入学手続きをするはめになったのだった。

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