ハイライト中毒
貴方はハイライトを吸う
貴方の持つハイライトの黄色い煙が
空気に溶けて青くなっていくのを見ているのが好き
あの特有の苦い貴方のキスが好き
あの匂いを忘れないように
あたしはたまにハイライトを吸う
目が覚めて貴方がいない朝にようやくなれて
貴方の体温がないシングルベッドでようやく一人で寝られるようになった
時折訪れる寂しさに
ついキスをねだりたがる唇にハイライトをくわえる
貴方を恋しがる心をハイライトの煙で満たす
「…会いたい」
呟いた言葉は煙よりはやく部屋に溶けていく。
煙が目に染みて痛い。目の奥が痛い
ずっと奥が痛い
携帯を取りかけた手は中途半端に空に浮く
電話なんかしたらまた会いたくなる
メールをしても寂しさがつのる
会いたい
寂しい
切ない
苦しいよ
ねぇ、思った以上に貴方が好きみたい
忘れそう、貴方の声を
あたしに応える貴方の声を
中性的な貴方の手で
あたしはどんな風に触られてた?
ねぇ、キスがしたい
貴方に触れたい
抱き締めたい
貴方を思い出す度に
喉の奥に砂糖菓子を詰らせたみたいな痛みを感じる
詰まる気持にまた
目の奥が痛い
ねぇハイライト慰めて
唇を塞いで
優しく抱き締めて
匂いで一杯にして
寂しくさせないで
所詮はあなたの代用品
でもあたしは中毒で唇から離せない
黄色の煙が空気に溶ける
そしてあたしは言葉を詰らせる
ハイライトの煙が
あたしを泣かせて
貴方が濃くなっていく