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M&A.  作者: 笹倉
/一年
14/16

    /南瓜と猥談

「あら、起きたの」



 薬品臭がする、と七臣は即座に思った。辺りを見回す。ここはどこだ? 掛け時計、点滴、カボチャの被り物を被った白衣の女、ベッド、ソファ、湿布。



「――カボチャ?」

「凄い汗ね、悪い夢でも見てた?」


 カボチャを被った白衣の女が、七臣のベッドの側で立っている。七臣は理解できない。林檎は、林檎はどうした? ここはどこだ? このカボチャは誰だ?



「理解に苦しむ……!」

「何がかしら?」

「何がと言われれば何もかも」

「そういうもんよね、人生」

「勝手にまとめないでくれませんか」

「煙草吸っていい?」

「吸えるんですか、カボチャ被ってるのに」

「吸えないわね」

「……」

「パンプキンギャグよ」

「……いや、そういうことじゃなくて」

「はいパンプキンパンプキンパンプパンプキ~ン」

「……」

「続きましてパンプキンショートコント」

「続けないで下さい」

「『密着! 淫乱警察24時!』」

「続けて下さい」



 ◇◇◇



「七臣君、君は『林檎狩り』を二時間三分の時点でリタイアしたわ」


 パンプキンショートコントを一通りやり終えた彼女は、七臣にそう説明した。



「リタイア、と言うのは」

「君は二時間三分の時点で気絶した」



 ベッドの上、毛布を膝まで掛けて、覚えてないな、と七臣は言った。


「結構怪我してたよ。右足甲は貫かれてたし、他にも火傷とか、治すの疲れちゃった」


 治す?

 七臣はその言葉を聞いて、すぐに自分の右足を見る。――傷跡がない。


 カボチャの女は腕を組んで、七臣を見下ろす。七臣は下から睨み付けるように見て、それから、あなたは誰ですか、ここはどこてすか、と問うた。

 カボチャ女は腕を解いて、言う。



「ここは『学園』の保健室。私はこの保健室の長、Dr.パンプキン!」

「……本名を教えていただいても?」

「それじゃあもう一発、パンプキンショートコント!」

「もう結構です」

「『人妻不倫旅行』」

「このティッシュ使います」




◇◇◇



 七臣はティッシュをゴミ箱に捨てた。Dr. パンプキンは息切れしている。ここまでの猛者はこの学園で初めてだよ、とDr. パンプキンは息も絶え絶えに言った。七臣は余裕の表情を浮かべ、新しいティッシュの箱を取り出し、開けた。


 時刻は夜八時になろうとしている。夜はこれからですね、と七臣は口角を上げる。


「夜はこれからなんだけど、今日はここまでにしよう」


 呼吸を整えて、Dr. パンプキンは言う。七臣は残念そうな顔をする。


「いやあ、林檎にやられて丸一日寝込んでたのに、すぐ復活したわね! 若い性って怖いわ」

「先生も中々でしたよ」



 七臣はベッドから立ち上がる。体は痛まず、むしろ軽いくらいだ。二、三回跳ねてみる。右足の痛みはない。

 ありがとうございました、と一礼して、保健室から出ようとする七臣を、Dr.パンプキンは呼び止めた。紙を渡す。


「山本先生から。明日、1-Aで紅白戦が行われるらしいわ。君は、白組。対戦相手とか、確認しなさい」

「紅白戦、ですか」

「ほら、教育実習の子が山本先生にのされたでしょう。ほんとはあの日に紅白戦やるよていだったのに、ごちゃごちゃしてできなかったから」

「ああ……あの男性器の……」

「え? 何? 男性器? 何が?」

「何でもないです。ありがとうございました」

「七臣君、待ちなさい、何が男性器なの?」

「教育実習の人は男性器を召喚したんです」

「……おっきい?」

「はい。しかも、六本」

「六本!? ホントに!?」

「それじゃあ帰ります」

「待って、詳しく話を聞かせて!」





ひでーなこれ




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