欲望
気の向くまま赴くままに書きました。
ジャンルが若干怪しいけど、、、
本編どうぞ。
欲望
何をしても満たされない。
何をされても満たされない。
もっと見て、もっと知って、私を脳に焼き付けて。
誰かの何かでいることが全て。誰かに必要とされることが全て。
私を見て、見て、見て見て見てみてみてみてみてみてみてみてみてみみみみみみみ・・・
〜〜〜
少女は貧民街で生を受けた。
そこは世界の裏側。人の醜さと汚さと浅ましさと卑しさと見苦しさと品のなさと教養のなさが混ざり合わさったような、最悪の場所。
子供は歓迎されず、子を産むものは余裕のあるものとみなされ、他の住人に僅かな金も、家具も、尊厳すら奪われる。
そんな最低よりも最低な場所で、少女の人生は、幕を開けた。
「日陰者の俺らぁは、日陰で死ぬんだ。身の丈にあった幸せぇ噛み締めなきゃぁ、痛い目ぇ見る。幸せを幸せだと思えぇ、比べんなぁ、それが幸せの秘訣だぁ、欲張んな」
それは、少女が物心ついた時から聞かされた言葉だった。何度も何度も聞かされた、偉大な先人の言葉。
——この言葉の有り難さを、少女はまだ知らない。
少女は空のような青を瞳に宿し、ボロボロの長髪は腰まで伸び、鼠色の布切れ一枚で、ゴミ箱を漁り、何が腹に当たるか怯えながら、貧民街でその日暮らしをしていた。
普通の親ならば、我が子に死の魔の手が及ばぬよう、危険を教え、遠ざけてくれるだろう。
しかし、産みの母は既にこの世を去り、代わりに親と言えるのは、一緒に生まれ育った住民達。
親代わりと言ってもほぼ他人で、顔が可愛いからという理由でここまで育てられただけ。
「ほんと、さいあく」
恨みを込めて、言葉を吐く。
少女が今現在いるのは十字路。三方向には闇が広がり、残りの一方向からは光が差している。
ゴミ箱から顔を出し、少し向こうに目をやると、そこには煌びやかでおしゃれな服を着た、自分達より何倍も幸せそうな人たちがいる。
現状に酔い、幸せによって歪められた瞳には、日影者は映らない。
そのため、誰一人として、こちらに目を向けることはない。
少し視界を左にやると、自分から十メートルくらい離れた位置に、犬どもがいる。
人が怖くて怖くて仕方がない、自分と同じ捨てられた存在。しかし、決定的に違うのは、奴らは必要とされないゴミであり、自身は必要とされている、ということ。
その一点だけの違いが、決して覆しようのない部分であり、少女に少しばかりの希望を与えている。
「よしっ」
左目に映るのは犬ども、右目に映るのは陽の下を歩く人々。
光と闇が入り混じった瞳を少し震わせ、勇気と少しばかりの恐怖を乗せて、決意を紡ぐ。
「こんなとこ、すぐでてってやる」
少女は小さな声で決心する。
こんな最低最悪なゴミばかりな場所から、一分でも一秒でも早く逃げ出す。
そのために、少女は励む。
ゴミ箱を漁り、顔で日銭を稼ぎ、命を紡ぐ。
ーーいつか来るであろう、明るい未来の為に。
〜〜〜
貧民街の裏路地を歩いていると、影から人がこちらに向かってくることに、少女は気がつく。
そちらに顔を向けると、人影はニヤリと口角を上げて、ボサボサの短髪の隙間から、濁った瞳と、チグハグに生えた黄ばんだ歯を覗かせ、歪んで掠れ声をこちらに発する。
「今日もかわええなぁ」
そう言うのは貧民街の路地裏に住む『親父』。
何人も何にもいる親父達は、顔を合わせるといつも褒めてくれる。
悪い気はしないし、もっと褒めて欲しいとも思う。
隠し切れていない感情を孕んだ、その視線さえなんとかしてくれれば、もっといいのだが。
「うん———、
親父達は人に相手をされたことがないどころか、人間として話してもらえたことすらない。
子供であり、自分達に大恩があり、逆らえない存在にしか、親父達はその素直な気持ちを伝えられないのだ。
———ありがとう」
だからこそ、ニコッと笑い、親父の求めるものを与える。
これで気分が良くなってくれるなら幾分マシだ。たまに何をしても暴れる親父がいるにはいるが、そう言う時は、大抵他の親父が守ってくれる。
——守って貰えるのは、やはり無条件に嬉しい。
っと、親父の視線から逃れる様に歩いていると、視界に平民街が映る。
そこには、陽の下を歩く父親と母親、そして自分と同年代くらいに見える美少女がいる。
フリフリの可愛い白色の服と、ヒラヒラの青いスカート、長い髪を纏めたポニーテール、艶々の髪と肌、その全てに視線が何度も何度も向かう。
美少女に見惚れていると、先程自分を褒めてくれた親父が、隣に立ち、その美少女を見て、ボソッと呟いた。
「かわええなあ」
それを聞いた時、少女の中で何が切れた。
少女自身もどう説明すればいいのかわからない何かが、とめどなく溢れ出し、心を染め上げていく。
「——え?」
路地裏の闇の中、ボサボサに伸びた髪の隙間から目を覗かせ、殺意に似たものを孕ませ、親父に視線を飛ばす。
それに気づいた親父がこちらを見て、何を思ってか、ただでさえ濁った瞳の奥を更にドス黒くさせ、泥のような粘り気を宿して、ニコニコしながら話し出す。
「ええかぁ?欲しいもんがあったら奪え、子供が何したって、だぁれも気にはせん。泣いて謝れば許されるんだぁ」
親父は、美少女と少女を何度も交互に見てそう言った。
その言葉にどんな真意があるのかわからない。
しかし、それは少女に、ゴミ漁り以外の生き方を見つけさせた。
「よしっ」
誰にも聞こえないであろう小さな声を溢す。
少女の目に、新たな決意が宿った。
〜〜〜
その日の夜。闇が全てを呑み込み、一切の光と息を路地裏から奪い去った時のこと。
少女は、美少女を褒めた親父の元へ向かって歩いていた。
その両手にはガラス片を握りしめ、眼には妖しい光を宿していた。
「おーやーじー」
少女が、新聞紙とダンボールで作られた親父の寝床へと呼びかける。
返事は無い。
少女は寝床へ潜り込み、親父に馬乗りになると、「うぅっ」と唸る親父に思いっきり両手を振り上げ、その目に向かって振り下ろした。
「ゔぁぁぁぁぁぁ!!」
親父が叫び声を上げ、体を起こす。
その反動で少女は後ろに吹き飛ばされるが、ガラス片は手放さない。
親父が左腕を振り回し、右手で潰れた目の位置を恐る恐る確かめている。
その景色を数分眺めながら、少女は笑みを浮かべ、
「おーやーじ。私って可愛い?」
その問い掛けで、少女の存在に気づいたのだろう。
親父がこちらを向き、怒気を孕んだ声で聞き返してくる。
「誰がやりやがったんだ!見てたか!?」
それは少女の聞きたい答えでは無い。
「ふふっ」と笑うと少女はまた腕を振り上げ、今度は左手首にガラス片を刺す。
「ぁぁぁぁぁぁぁ「ねぇ、私って可愛い?」
無機質で、乾いていて、好奇心に満ちた冷酷な問いを聞き、親父は一つの結論へ辿り着く。
「お前がやったのか?お前が、か?」
どうでもいい答えに、少女は呆れ気味に「はぁ〜〜」と声を出し、今度は右アキレス腱を切る。
「ねぇ!可愛いの?可愛く無いの?」
「んんっ......!!かわええ!!かわええぇぇ!!」
暗闇と痛みの恐怖に屈した親父が、少女の望む答えを言う。
それは親父の確かな本心。そこに嘘偽りはない。はずである、
「あははっ!!」
その答えを聞き、少女は嬉しそうに声を上げる。
可愛い、自分は可愛い。それを聞けただけで十分だった。自分の存在が満たされていくのがわかる。
その優越感を噛み締めて、舐め取って、啜って、頬張って、飲み込んだ。
「ふぅっ......」
ーーもう、親父はいらなくなった。
「ありがとう、わたしにおしえてくれて」
「あ、あぁ」
優しい声で感謝の言葉を伝えると、親父は少し口角を上げて、声を漏らす。
少女の声色から、自分が助かるかもしれないと言う少しの希望を見出したから。
しかし、そんな希望を持っているのは、持てるのは、未だに暗闇にいる親父だけ。
「ばいばい」
少女は両手のガラス片を振り上げ、親父を滅多刺しにする。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
親父の喉を引き裂き、必死に生にしがみつく絶叫が、誰もいない裏路地に響く。
響いて、反響して、響いて響いて反響して——、
どれほど経ったのか。親父が冷たくなったことに気づき、少女は後ろを振り返る。
そこには、骸となった無数の親父達が、無惨にもズタズタに刺されて息を引き取っていた。
「あはははははははは!!!!!」
それをしたのは、たった一人の少女だったナニカ。
夜の闇か、それとも人間特有の闇か、はたまた少女のみに宿る一際大きな闇か。
昼とはまた違った異様さを孕んだ貧民街の路地裏は、少女を一匹の化け物へと変貌させてしまったのだ。
〜〜〜
陽の下、平民街のベンチに座る至って普通の少女は、一人優越感に浸っていた。
【少女失踪事件】
『一年前から突如として、三から五歳の少年少女の失踪相次ぐ。』
『遂に解決への糸口見つかる。』
『複数人の組織犯罪の疑い有り。』
『未だボスの足取りは掴めず。』
『全力を上げて捜索中。』
『被疑者は三名。』
『動機は不明。』
その新聞を読み、少女は笑みを溢す。
何を隠そう、この事件の犯人こそが少女であり、ここで被疑者として出ている人物は、全くの無関係だからだ。
知らない誰かの人生が、自分によって壊される。その事実が、少女の心の闇を更に深め、濃くしていく。
新聞を捨て、フリフリのスカートについた埃を払い、襟を正し、少女は歩み始める。
ここ一年で、少女は見違えるほどの可愛さを手に入れた。
元々の容姿は更に磨きがかかり、すれ違う全ての男が振り返るほどにまで成長し、服は襟のある黒服、スカートはフリフリのいつぞやの親父が可愛いと言ったもの。さらに、長髪はそのままに、輝く美しさを放っていた。
しかし、それでも少女は満足しない。
商店街に入ると、老若男女のいろいろな視線が、四方八方から突き刺さってくる。
その視線の送り主を一人一人横目で確かめ、少女は悦に浸る。
男達の視線が心地いい、女達の妬む目が気持ちいい、子供達の純粋な憧れの眼差しが快感となり、心を満たしていく。
が、まだ足りない。
何かが足りない。
「ん?」
ガラス越しに出されたテレビに目をやると、『今注目の子役』と言う番組がやっていた。
一位、二位、三位、と次々に発表される。
その度にテレビの向こう側で起きる拍手と歓声を聞き、少女の心が騒めく。
自分と言う存在がいるのに、それ以外がテレビで取り上げられている。
少女は、それがどうしようもなく許せなかった。
「よしっ」
次の自分生きる意味を見つけ、少女は決心する。
「わたしが、テレビにでる」
〜〜〜
そこからすぐだった。
テレビで一位二位三位・・・と発表された順に殺していった。
無論、最期には自身の『可愛さ』を問い掛けた後に、だ。
家を出たタイミングを狙ったり、待ち合わせをしている瞬間を狙ったり、店のトイレに入ろうとした瞬間に後ろから滅多刺しにしたり、罠を張り、それに引っ掛かったとこを襲ったり、自作自演で相手の同情を誘って殺し、時には「テレビで見た」と言って関係を築いた。
様々場所で、様々な手段で、少女はやり遂げた。
それと同時に、少女はテレビデビューも果たした。
『突如現れた期待の新星』。みんながそう言って、少女を好奇の目で見た。
普通ならばそのプレッシャーは子供には重すぎて、心が押し潰されてしまうだろう。
実際、消した子供達も、悩みを聞いたら簡単に心を開いた子が多かった。
しかし、少女は違う。皆に求められ、認知されればされるほど、少女は更に満たされていくのだから。
新しく奪い取った家の中に、少女の声が響く、
「あはぁぁぁぁ〜」
口角から涎を垂らし、目を見開き、優越感に浸る。
誰も自分を越えられない。誰も誰も誰一人として、自分を無視できない。
そう思うと、少女はどうしようもないほど満たされた。
〜〜〜
【特集】
『あの子が、今晩、生放送に出演。』
『目が離せない、世界的ビックスター。』
『何よりも輝く一等星。』
『見逃すなんて勿体無い。』
新聞を読みながら、変装した少女は笑みを溢す。
少女的には今すぐにでも変装を解き、周りの視線を独占したいが、それはできない。
今晩の為に、最大限溜めておかなければ。
その方が絶対に気持ちいいのだから。
黒い帽子に黒いサングラス、黒い服、黒い手袋、黒いスカート、黒いバック、黒いストッキング、黒い靴。
全身を黒に包んだ少女は、自身の異様さに気づくことはない。
己を隠せていると思っているから。
「ワンワン!!」 「ワンワン!!」
ふと、犬の鳴き声が聞こえた。
鳴き声の方に視線を送ると、そこにはボロボロに薄汚れた犬が尻尾を振り、夫婦に撫でられている景色が映った。
「ワンワン!!」 「ワンワン!!」
貧民街と平民街をつなぐ数少ない抜け穴である裏路地。
そこからからドンドン犬が出てくる。
夫婦が両手で撫で、四本の腕では足りないくらい出てくる。
何故?
自分が路地裏にいた時、陽の下に行くことさえ憚られた。
なのに、何故犬畜生如きが陽の下を歩けるのか。
憎い、憎い、憎い憎い憎い憎いにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい、、、恨めしい。
「あっ」
夫婦の何気ない所作。そこに何かしらの違和感が引っかかる。
この人達にも、何かがある。少女の直感が訴えかけてくる。
「よしっ」
夫婦の許へ歩み寄り、変装を解き、会釈する。
「こんにちは」
その姿を見て、夫婦が面白いくらい目を見開く。あぁ、やはりいい。
「急にすみません、この犬達の姿を見ていたら、心が苦しくて。保護してもいいでしょか」
それを聞くと夫婦は目を輝かせ、夫婦同士で目せこちらに向き直ると、「ぜひ」と言って話し出す。
「私達も迷惑被っていて。嬉しいです」
そういうと、ペコペコと頭を下げて夫婦は去っていった。
それに対して会釈を返して、手を振る。
犬に向き直ると、先程までとは打って変わり、「グルグル」と喉を鳴らしている。
尻尾を振り愛嬌を振り撒いていた姿はどこへやら、自分達に向けられた殺意に警戒している様だ。
「そうなんだぁ、わかったんだぁ、なら、しんで」
普段持ち歩いているナイフをバックから出し、左手に握ると犬に振り落とす。
しかし、それを犬は華麗に避けると、少女を一瞥し、路地裏の闇へと消えていく。
「まってよ!」
ナイフを持ち、少女自身も路地裏の闇へと身を投じる。
貧民街へ、一歩踏み込み、忌まわしき地に帰ってきた。
暗闇の中、前方を凝視すると、あの犬がいる。
「あはっ......!」
その犬へと向かって思いっきりナイフを振り上げ、、、倒れる。
「えぁ?」
右アキレス腱、その位置に別の犬が噛み付いていた。
即座にその犬の脳天にナイフを刺し、次の獲物を捉えるために前を向いて、気がつく。
広がる闇の中、無数の目がこちらを睨んでいることに。
「ぁぁぁっ」
これから起こることを無意識に想像してしまい、声が裏返り、涙が溢れる。
ジリジリと迫り来る犬。無数の犬。
その目には、確かな殺意を宿している。
「いぁ、こないで!」
震える声で必死にナイフを振るが、側面から左手首を噛まれ、ナイフが落ちる。
左手首を中心に激痛が広がり、脳が絶望に侵される。
「ぇ?」
それを皮切りに、周りの犬達が飛び付いてくる。
肉を噛みちぎることに特化した牙が、少女を襲う。
抵抗する力を奪う爪が、少女の手足に無数の傷を刻んでいく。
獲物の命を最も素早く、確実に奪う本能が、少女相手に容赦なく機能する。
「いだぃぃだぃいだぃ!!!」
髪がブチブチと音を立て抜かれ、皮が引き裂かれ、手脚から大事な熱が逃げていき、腹から大事なものが溢れていく。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
恐怖で顔を歪め、瞳を震わせ、涙を流し、震える声で、決して許されることがないのに、愚かにも謝罪を続ける。
痛みからも、絶望からも、死からも逃れられないのに。
絶望の中、少女の半分以上失われた脳内に、いつぞやの言葉が浮かぶ。
『日陰者の俺らぁは、日陰で死ぬんだ。身の丈に〜〜〜』
目を見開く。瞳が震え、瞳孔が更にドス黒くなる。
何故今思い出した?
その疑問に対する答えを導き出せるだけの頭が、今の少女には、余りにも足りなさすぎた。足りな過ぎたのだ。
日陰で死ぬ?日陰で死ぬだと?ふざけるな。そんなこと、あっていいはずがない。私は何よりも満たされるべき存在なんだ。全ては私を引き立てるためにある。それなのに、私が何故こんな目に遭わなきゃいけないんだ?許せない許せない許せない、私だけが陽の下を歩けず、こんな犬どもが歩けるだと?あっていいはずがないんだ。殺す殺す殺す殺す殺すっ!こんなゴミどものおやつにされるなんて、何の役にも立たないくせに!許しておけない、許しちゃいられない!殺してやる、殺してやる、腹を喰い破ってやる、喰ってみろ、喰い返してやる、喰らいついてやる。こんなことあっていいはずがないんだ、あってはダメなんだ、世界が私を求めているのに、私が世界の中心なのに、こんな、こんな最期があるだと?ゆるせない、絶対に、許せな——、
本能のままに、純粋な何かが脳を——否、魂を呑み込んでいく。
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
左目で平民街を歩く誰かに助けを求める。が、無意味。誰一人として、こちらに目を向けることはない。
それを嘲笑うかの様に、犬が「フン」と鳴き、無情にも爪が振り下ろされ、左目が潰れる。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
残った右目で犬達を睨みつける。
既に右目は血に潰され殆ど役目を果たせていたい。
それでも抵抗する。
「ぁっ」
一匹の犬と目があった気がした。それを脳が完全に処理し切る前に、闇に喰い千切られた。
〜〜〜
消え入る意識が、最期に無念の想いを紡ぐ。
何かが溢れて、消えていく音が聞こえる。
聞きたくなんてないのに聞こえてくる——、
——あぁ、溢れていく溢れていく。
私の全てが溢れていく、全く足りない、足りない足りない。
あぁ、誰か私の心の渇きを満たして。
何をしても満たされない。
何をされても満たされない。
もっと見て、もっと知って、私を脳に焼き付けて。
誰かの何かでいることが全て、誰かに必要とされることが全て。
私を見て、見て、見て見て見てみてみてみてみてみてみてみてみてみみみみ・・・、
誰の声なのだろうか。そもそも声なのだろうか。私とは似ても似つかない欲深い声が、どこからともなく聞こえてくる。
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欲望のままに動き、成りたいものに成り、それでも満たされなかった少女。
そんな少女の最期は、少女が最も嫌った貧民街での死。
誰にも気づかれることなく、骨の髄まで貪られ、一人の少女の人生は、幕を閉じた。
人々に害を振り撒くゴミが死んでよかったね。
めでたしめでたし。
女の子が裏路地で犬に喰い殺されたら最高だな!と思って作りました。




