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兄と妹と、最悪の晩酌

作者: 蒼山ホタル
掲載日:2026/04/28

外では雨。

中では焦げた肉と安い酒。


でも、その夜は——


やけに、悪くなかった。


「ちょっとォ!!それ焦げてるってば!!」


キッチンに妹の叫びが響く。


「焦げてねぇ!“香ばしい”んだよ!!」

兄はドヤ顔でフライパンを振る。


じゅわああああ——

完全に黒い。


「いやそれ“炭”!!もう肉じゃない!!」


「うるせぇな、食える食える。」


兄はそのまま皿にドン。

見た目は完全に敗北。


妹はため息をつきながら、テーブルの瓶を見る。


「で、何この酒。ラベル剥がれてるんだけど。」


「安かった。」


「理由になってない。」


兄はドバドバと濁り酒をコップに注ぐ。

ほぼ溢れている。


「はい、飲め。」


「雑すぎるでしょ!?愛がない!!」


「家族に愛とかいらんだろ。」


「いるわ!!最低!!」


妹はぶつぶつ言いながら一口。


「……うわ、なにこれ、クセ強ッ!!」


「だろ?通はこれなんだよ。」


「通って何!?人生失敗してる人のこと!?」


「お前ケンカ売ってんのか?」


二人、無言でにらみ合う。⚡


そして——


同時に肉を食う。


「……」


「……」


「……あれ?」


妹がぽつり。


「普通にうまくない?」


兄も一口。


「……あれ?」


ちょっと沈黙。


「焦げてるのに、なんで?」

「わかんねぇ。」


もう一口。


「うま。」

「うまいな。」


さっきまでのケンカ、完全に消滅。


妹は笑いながら言う。


「なんかさ、最悪なのに、ちょっと楽しいね。」


兄は濁り酒を飲みながら鼻で笑う。


「お前と食う飯は、だいたいそんなもんだろ。」


「なにそれ、ちょっといいこと言ってる風やめて。」


「うるせぇ。」


二人は同時に笑った。


外では雨。

中では焦げた肉と安い酒。


でも、その夜は——


やけに、悪くなかった。



---



「お前と食う飯は、だいたいそんなもんだろ。」


「なにそれ、ちょっといいこと言ってる風やめて。」


「うるせぇ。」


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