第268話 バフェットを熱く語る男
オレは妻の作った里芋の煮っ転がしをつつきながらウォーレン・バフェットについて熱く語っていた。
バフェットは言わずと知れた世界三大投資家の1人だ。
あとの2人はジョージ・ソロスとジム・ロジャーズだったかな。
「あのバフェットも90歳をこえたらしい。それでもニュースになっていたぞ」
「そうなの?」
「なんでも日本の5大商社の株を買ったのだそうだ。円安だからなあ」
バフェットはオマハの賢人と称される。
株式の売買で過去数十年間ほとんど負けなしだ。
「バフェットのポリシーは3つある。順張り、長期投資、知らない物には手を出さない。この3つだ」
「順張りって何?」
「皆が争って買う株を自分も買うことだね。他人と反対の行動を取るのを逆張りというわけ」
オレは偉そうに言ったが行動の方は全くともなっていない。
だからバフェットを語っているくせに持ち株はゼロだ。
「バフェットはIT企業とか暗号通貨とか、自分が理解できないものには手を出さないそうだ」
「なるほどねえ」
タコのカルパッチョと唐揚げも食べる。
「なかなかうまくできているよ」
「本当? 良かった!」
レシピ通りに作ったらニンニクが焦げてしまった、と妻は心配していた。
「ちなみにチェリーコークとマクドナルドがバフェットの主食らしい」
「贅沢しないのね」
チキンナゲットとかオレオとかも好物なのだそうだ。
「現在、世界で5番目の大金持ちなんだそうだ」
「何それ、すごーい!」
妻は目を輝かせた。
「でも、オレの方が旨いものを食っているんだけどな」
そう宣言すると、妻は「あんた、ちゃんと分かってんじゃん!」という表情になった。
実際、大抵の日本人はバフェットより美味しいものを食べているんじゃないかと思う。




