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第144話 食堂を掃除する男

 オレはよく入学試験や就職試験の面接官を頼まれる。


 別に落とすのが目的ではない。

 だから圧迫面接などをすることはない。

 とはいえ、暗記してきた答えだけを聞かされるのは退屈だ。


 たとえば看護学校の入学試験。


「将来、どのような看護師になりたいと思いますか?」

「技術や知識を持つだけでなく、患者様の生きざまに寄り添える看護師になりたいです」


 こんな定型的な答えは100回以上聞かされた。

 そもそも「生き様」と言ったらネガティブワードになってしまう。

 だから「生き方」と言って欲しかった。


 面接官としては準備してきた答えよりもの自分を見せてほしい、と思う。

 だから、ちょっと違う角度から質問したりする。


「高校生の時に頑張ったことは何でしょうか?」

「僕は食堂清掃委員会をやっていました」


 おっ、面白そうな話かも。


「ウチの高校の食堂は安くて美味しいのですけど」

「ふむふむ」

「いつも掃除をしていないのか、あまり綺麗きれいじゃないんですよ」


 確かに食べる場所は清潔であって欲しいと誰でも思う。


「それで食堂清掃委員会を作ろう、と学校に提案したんです」

「なーるほど」

「各クラスから有志をつのってですね、週2回、皆で掃除をしました」


 なかなかいいじゃないか。


「委員会の人数は集まりましたか?」

「1クラス2、3人ずつ来てくれました」

「食堂を綺麗にしたいと思っていた人が一定数いたということですか?」

「そうなんですよ」


 手上げ方式というのがいい。

 無理に当番表を作ったりしたら手抜きが横行するのは目に見えている。


「週2回だけですけど、掃除をすることで見違えるように食堂が綺麗になりました」


 思わず「合格!」とオレは言いそうになった。


 こういう話を面接で聞かせて欲しいんだよな。


 とはいえ、面接で高得点の人間が立派な看護師になれるかというと、それはまた別の話だ。


 人の命を扱うという責任感。

 知識をたくわえ技術をみがき続ける覚悟。

 そして先輩の厳しい指導や患者の暴言に折れないタフな心。


 はたしてこの青年が持っているのか?


 いや、今は持っていなくてもいい。

 勉強や仕事をしながら、少しずつ身につけていく事ができれば、それで十分だ。



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