プロローグ 勇者の一目惚れ
僕は、身体の全てが特殊な身体でできている。
特殊……人形のような身体だ。
嗅覚も分からない。
触感も分からない。
聴覚も分からない。
味覚も無い。
視覚も………目も見えないんだ。
僕が起こせた神々に奪われてしまったから。
ただ、唯一聴こえるの声がある。
僕の心の中で聴こえてくる魔法の声。大魔女様の……モルガン様の心の声が。
かつては宿敵だったモルガン様の声。今は彼女の声なしでは生きていけないんだ。
「マルス。もう少しで貴方の目を持つ者の元へと辿り着けますよ。心の準備はよろしいですか?」
(……僕は全てを失っています。かつての力を……勝てるか正直不安です)
「私がいるから安心して下さい。だって、貴方は私の最愛の人なのですから」
(……またまた冗談を)
僕は全てを失う前は勇者だった。
厄災魔女モルガン討伐の任務だったんだ。
▽
「…………皆さん。お強いのですね」
「…………綺麗な人だ」
初めて彼女と遭遇し、対面した時。この世の者とは思えないほど、これまでの出会った女の子で一番綺麗な人だと思ったんだ。
僕は、この人に見惚れていた。
「これが、世界を滅ぼす者の力か」
「勇者様。油断なさらぬないで下さい!」
「邪悪な厄災魔女め。覚悟しなさい」
仲間達は、この女の子を恐ろしい目で見ているけれど…………
僕は、この人と眼が合った時、厄災魔女モルガンに恋したんだ。




