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プロローグ 勇者の一目惚れ

 僕は、身体の全てが特殊な身体でできている。


 特殊……人形のような身体だ。


 嗅覚も分からない。

 触感も分からない。

 聴覚も分からない。

 味覚も無い。

 視覚も………目も見えないんだ。


 僕が起こせた神々に奪われてしまったから。


 ただ、唯一聴こえるの声がある。


 僕の心の中で聴こえてくる魔法の声。大魔女様の……モルガン様の心の声が。


 かつては宿敵だったモルガン様の声。今は彼女の声なしでは生きていけないんだ。


「マルス。もう少しで貴方の目を持つ者の元へと辿り着けますよ。心の準備はよろしいですか?」


(……僕は全てを失っています。かつての力を……勝てるか正直不安です)


「私がいるから安心して下さい。だって、貴方は私の最愛の人なのですから」


(……またまた冗談を)


 僕は全てを失う前は勇者だった。


 厄災魔女モルガン討伐の任務だったんだ。



「…………皆さん。お強いのですね」


「…………綺麗な人だ」


 初めて彼女と遭遇し、対面した時。この世の者とは思えないほど、これまでの出会った女の子で一番綺麗な人だと思ったんだ。


 僕は、この人に見惚れていた。


「これが、世界を滅ぼす者の力か」

「勇者様。油断なさらぬないで下さい!」

「邪悪な厄災魔女め。覚悟しなさい」


 仲間達は、この女の子を恐ろしい目で見ているけれど…………


 僕は、この人と眼が合った時、厄災魔女モルガンに恋したんだ。 

 

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