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【40000PV感謝!】シンタイキヨウカってなに?  作者: taso
第三章 嫋やかな體
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96話.みんなでバーベキュー、カピバラのお披露目

96話.みんなでバーベキュー、カピバラのお披露目



 竹炭作りも一段落つき、下準備をしていたバーベキューをすることになった。バーベキューなんて初めての経験で、少しワクワクしている自分がいた。


 バーベキューをするための道具、キャンプ用品だからギアって言うんだっけ?それらは一花が用意してくれていた。慣れているとは言え、一花一人に準備を任せてしまって申し訳ないな。『一花一人』って文字にしたらややこしそうだ。


「バーベキューの準備ありがとな」

「気にすんなよ。ソロキャンで何回も同じことしてっからさ。ギアの組み立てもキャンプの醍醐味っつーか、楽しみの一つなんだよ」

「地下迷宮でもお世話になってる。一花に感謝」


 探索者になると、泊りがけで潜るような事も多いって言うからな。そういう時にキャンプ用の道具は重宝するんだろう。俺もテントとか買っといた方が良いのかな?


 まあ転送陣さえあればいつでも地上に戻れるし、ギルド近くの宿泊施設に泊まる人も多い。戻るのが面倒だとか、宿泊費用を抑えたい人なんかが地下迷宮内で夜を過ごすと言うから、俺も無理して道具を用意する必要はないかも知れない。


「バーベキューのコンロってこうなってるんだな」

「これは簡易的なもんだな。一人用だしこれでも十分過ぎるけどよ」


 四角形の網が乗ってる台と、その周りを囲むようにテーブルがあるような感じか。複数人で囲んで調理をしながら食事が出来るんだな。それと網の下には恐らく、焚き火用の道具が置かれている。


「この下にあるのは、炭用の?」

「それは焚き火台だな。普段は焚き火をするのに使ってるけど、炭を入れて火を焚く事も出来るから便利だよな」


 焚き火台は熱で地面を傷めないようにする意図があるらしく、キャンプ場でも一部の場所でしか直火での焚き火は出来ない。焚き火台はキャンパーには必須のものなんだそうだ。


 俺の家で竹炭を焼く時も地面に配慮して、焼けたり灰が混ざった土は取り除き、新しい土と入れ替えるようにしている。ダメージが大きい箇所はゴミとして捨てているが、細かい竹炭が混ざった土は農業にも使えるから残して活用している。


「野菜はご近所さんに貰ってるのが沢山あるから、ありがたくいただこう」

「肉は白百合が買ってくれたのをアタシんちで下処理して持ってきたぜ!」

「知春は野菜と場所、一花は道具を用意してくれたから、お肉は任せて。美味しいのを取り寄せて貰った」

「それは楽しみだな。早速始めよう」


 これも一花が持ってきてくれた金属製の串に、みんなで食材を刺していく。牛、豚、鶏とお肉があるみたいだ。食べ比べとは贅沢だな。身体が健康になってなんでも食えるようになったから、気兼ねなく楽しめるはず。腹が……減った……。


 野菜はトウモロコシにピーマンやパプリカ、あとは長ねぎに玉ねぎに椎茸とある。肉と野菜を交互に、彩りも考えながら串に刺していく。


 黙々と用意していくと、思っていたよりも結構な量になってしまった。こんなに食べきれるかな……?


「なぁ、炭ってこれ使って良いのか?」

「うん?ああそれ使ってくれ」

「オッケー!」


 炭は林田さんからいただいた黒炭と、家で焼いた竹炭の在庫を出してきた。今日は炭の二刀流で攻めようと思ってね。


 黒炭は着火が割としやすく、燃焼温度も高い。備長炭、白炭と比べると燃焼時間が短めだが、三人でのバーベキューなら十分だと思う。


 竹炭は意外にも燃焼温度が高く、肉を美味しく焼けるらしい。やっぱり燃焼時間に難があるけど、メインは黒炭で竹炭は補助的に考えておけばいい。ぶっちゃけると、竹炭にも活躍の機会が欲しいなって用意しただけなんだけどね。


「火の付け方は大丈夫だよな?」

「アタシを誰だと思ってるんだよ。焚き火も炭も沢山燃やしてきた女だぞ?」

「その言い回しは少し物騒」

「そうか?」


 なんだよ『たくさん燃やしてきた』って。こえーってばよ!


 一抹の不安を抱きながら様子を眺めていたが、本人が言うように手早く作業をしていた。言うだけの事はあるな。


 俺も竹筒で風を起こしたりと火起こしを手伝い。炭が赤々となり焼く準備が整ったところで、網の上に串を並べていく。隅のほうにはキャベツのざく切りやソーセージなんかも。キャベツは箸休め的なポジションだな。


 ソーセージも二人が持ってきてくれたもので、オーソドックスなものからハーブの効いたもの、あとは骨付きソーセージなんかもある。骨付きだと骨の旨味が肉に移るのと、なによりワイルドに食べられるって楽しみがあって良いよな。


「そんじゃあ手を合わせて!いただきます!」

「いただきます!アタシは牛から食うぞ!」

「いただきます。私は……ソーセージにしようかな?」


 焼けたものを網の脇の方に寄せて、適度に新しい串を追加しながらもそれぞれで食べていく。俺は鶏肉のから!肉の中でも鶏肉が一番好きなんだよね。


 一口頬張ると、塩胡椒で下味のついた鶏肉がジューシーでたまらなく美味いっ!鶏肉の旨味が凄いなこれ、絶対高いやつだよ。歯ごたえがありつつも歯切れが良くて、大ぶりに切られていたはずなのにすぐになくなってしまった。


 長ねぎ、鶏肉、ピーマン、鶏肉と野菜と交互に頬張り。炭火の香りも食欲を刺激して、あっという間に一串平らげてしまった……。なんだこの美味さは!


「知春!この牛肉めちゃくちゃ美味いぞ!バーベキューのタレも程よく漬かっててうめぇ!!」

「このソーセージも美味しい。化学調味料とか無添加だから、変なクセがなくてグッド」


 二人も口々に感想を述べる。どっちも美味しそうだけど……ここはあえて豚肉を攻めよう!赤身と白身のコントラストが見た目にも素晴らしかったからな。準備してる時から気になってたんだよ!!



 そのあとも黙々とモグモグと食べ進めていき、食べきれないんじゃないかと思っていた食材があっという間に無くなっていく。二人とも探索者だからか、結構食べるんだよなー。一花はワイルドにかぶりつくし、白百合は楚々としながらも一定のペースで食べ進めていく。


 そうそう、ソーセージがあるからと台所からコッペパンを持ってきて、ザワークラウトとマスタードをかけてホットドッグにしたのが俺的には大当たりだった。白百合にソーセージの店を聞いておこう。値段は張りそうだが、この美味しさを味わえるなら喜んで金を出す!


 三人で食べたり飲んだりだべったり、楽しい時間を過ごした。一時間ちょっとは食べてたかな?時間を忘れるほど美味しかった。


「煙、まだ青くならない」

「ん?ああ、竹炭のか。もうちょっとかかるかな?」

「炭作りは時間がかかるんだな」

「まあな。穴を塞いだらあとは放置するだけなんだけど……」


 それまでにはまだ時間があるし、満を持して二人にもお披露目しようかな!


「コホン。実は二人に紹介したいやつがいるんだよ」

「なんだよ改まって」

「まさか……女?」

「うーん?女なのかは分からないんだよな。まあ見てのお楽しみ」


 俺は縁側から見て庭の右側に移動すると『待機妖化』を発動する。しばらくして魔素が周囲に充満し、身体に力が漲る感覚を覚えたら、次に『大気妖化』を使用する。


 うーん、二人のことだから、俺が何かしてるのは勘づいてるかもな。そろそろ『妖化シリーズ』を二人に話しても良いかも?今日は説明も面倒だから省くけどね。メインはこの次のスキルだし。


「『鏡花』!」


 下準備(魔素の発生)を終えたところで『鏡花』を発動すると、庭に大きな光る円が発生し、それはやがて池へと姿を変えた。うん、どうやら再現性もあるみたいだな!


「何……これ……」

「おいおい、どうなってんだコレ?」

「ふふん、驚くのはこれからだぞ?」


 二人の驚く様に、俺はドヤ顔で応えながらも池の真ん中に視線を注ぐ。池の中に現れた薄桃色の蕾がゆっくりと、大きな花びらをくつろげていく。


 そうして池に咲いた蓮の花には、期待通りの丸いシルエットが鎮座していたのだった。その佇まいも可愛いよー!


「二人に紹介しよう!俺の新しい仲間、カピバラ様だ!!」

「カピ……?」

「バラ……?」


 菅田家の庭には、満足そうな顔をした俺と、呆気に取られた二人の美女。そして『キュルルルル』と高らかに鳴くカピバラの声が秋の空にこだましていた。




✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅田(スダ) 知春(チハル)


◆シンタイキヨウカ

・新躰強化 Lv.10

 ・深體強化 Lv.2

・身体器用 Lv.8

・進退強化 Lv.8

・待機妖化 Lv.6

・大気妖化 Lv.6

・鏡花 Lv.3

・気妖 Lv.2

・息 Lv.7

・気 Lv.6


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

津賀(ツガ) 一花(イチカ)


◆ラビットラピッド Lv.24


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

陽乃下(ヒノモト) 白百合(サユリ)


◆ディープフォレスト Lv.28

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