84話."妖化"の可能性、ボス戦の決着
ボス戦長くなりましたが、今回で解決です!主人公らしい戦い方には出来たかな?と思います……。
残り1話と閑話で二章も完結となります!
84話."妖化"の可能性、ボス戦の決着
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心は決まった。やる事も単純だ。あとは試行回数を増やして精度を上げるだけ。
『待機妖化』はその名前の通り、待機状態でないと効果は薄くなってしまう。イメージするのは初めて"気妖"の現象が起きた時のこと。
移動は極力せず、身体の動きも最小限に。その状態で身体の表面、掌に妖化をイメージさせる。
俺が思うに、アンラッビーの身体を覆っている黒い光、あれは魔素が属性化した物だと思う。黒い属性というと闇だとか中二チックなイメージがあるが、実際はどんな属性なのかは分からない。
ただ、その属性化された魔素が魔物のラビットを侵蝕しようとしているがために、アンラッビーはあんなにも苦しんでいるんじゃないか?そんな感じがしている。
(来た!)
アンラッビーがこちらに向かって突進をしてくる挙動を見せる。そのベクトルを予想して、ギリギリ俺に当たらない位置に動いてから『待機妖化』を発動させる。
アンラッビーがすれ違う瞬間、表面を"妖化"させていた掌をそっとアンラッビーに触れさせる。なんとなくすれ違いざまに痴漢をしているイメージをしてしまい嫌な気持ちになるが、この動きで間違いは無いはずだ……。
「痛っ!」
位置どりが悪かったのか、それとも思っていたよりもアンラッビーの当たり判定が広いのか。腿を軽く切ってしまった。当たり判定って言っちゃったよ。
ゲームみたいな状況だが、これはゲームでは無い。それを身体の痛みが教えてくれていた。油断はしないようにと心の中で呟く。
傷自体は大したものじゃ無い。今度は当たらないようにとベクトルの角度からの推測を修正して……。
(やっぱり身体が白くなってる。妖化の効果は確かにある!)
俺の掌が触れた箇所が白く変わっていた。先ほどと同じ反応が見れた事に安心する。
だが先ほどとは違い、アンラッビーは立ち止まる事なく突進を繰り返している。それだけ黒い魔素のようなものに苦しめられているんだろうか?
しかも俺の動きでヘイトが向いてしまったのか、こちらに突進してくる頻度が上がってしまった。呼吸を整える時間があまり無い。決着を急ぐ必要があるな。
幸いにと言うか、こちらに突進してくれるという事は、こちらからの攻撃チャンスも増えると言うことだ。一長一短、気を引き締めて戦おう……。
それからも慎重に立ち回り、アンラッビーの黒い部分を狙って『待機妖化』を繰り返す。10回前後か、スキルによる妖化が成功して、順調かと思っていたのだが……。
(厄介だな。尻尾が白くならない!)
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顔、身体、脚と何回か妖化させ、アンラッビーの身体を徐々に白くさせる事が出来ていた。しかし尻尾とその周囲だけは何故だかなかなか白くなってくれない。
予想される理由としては、その部分が魔素の濃い根っこのような状態だからか。
それに身体の後ろにある部分だから、どうしても妖化させにくいんだよな。触れる時に身体の動きが大きくなってしまう。そのため"待機"が上手くいかず、妖化の効果が足りていない可能性もあった。
(一か八か、これに賭けるしか無いか)
俺はバックステップを何度か行い、地面に描かれた円周に近い位置へと移動する。そして円に背中を向け、ほぼ白くなったアンラッビーに身体を向ける。
ほぼ白くなったとは言えアンラッビーの挙動は変わっていない。なんなら尻に火がついたように突進の勢いは増していた。タイミングを誤ると大怪我をしてしまいそうで緊張感がさらに増してくる。
なぜ円の近くに来たのか?それはアンラッビーの挙動に法則性があるからだ。アンラッビーは突進を不規則に繰り返してはいたが、円の外には"一度も出ていない"んだ。つまり突進したあとに円の内側ギリギリで急ブレーキをし、そこから方向転換をしてまた突進を繰り返す。
突進してきたアンラッビーは今も俺の横を通り過ぎたあと、円から出ないようにブレーキをかけている。この瞬間アンラッビーは減速して、向きを変える時に一瞬の隙が生まれる。
モンスターをハントするゲームでも、やたらと突進を繰り返すやつがいたよな。ティガなんちゃらとか、ディアなんたらとか。
攻撃するためにはそのたびに敵に近付いて行かなければならず厄介だったが、壁などを背にして突進距離を短くしてしまえば接敵も容易になる。まあリスクも当然あるんだけどね。
(そしてここで『気妖』だ!)
アンラッビーが後ろを見せて減速した瞬間を狙いスキルを発動する。
『気妖』は二種類の魔素を混ぜ合わせて爆発させる攻撃スキルだが、その爆発力で黒い魔素を吹き飛ばせるんじゃ?と思ったんだよな。
本来なら円の真ん中に居た方が避けやすいが、背後を強い力で狙うならこの方法しか思いつかなかった。
空気の入った紙袋を思い切り叩いた時のような音がして、アンラッビーの黒い尻尾を爆発させる。
そのままアンラッビーは円の外に叩き出されるかと思いきや、一瞬だけ現れた白い光の壁に阻まれ、それに跳ね返されてこちらに飛んでくる。
「うわっ!」
「知春!」
巻き込まれて一緒に飛ばされた俺を心配してくれる一花の声が聞こえる。したたかに背中を打って息を吐き出しむせてしまうが、どうにか腕を上げて大丈夫だとアピールした。
腕の中には白いウサギが。こう見ると身体が大きいだけで、地上のウサギとあんまり変わらない。質感がややゴワゴワとしているが、大型犬を抱いているような気分になる。
攻撃をしたくないからとコイツの身体を白くする事しか頭に無かったが、このは後どうしたらいいんだろう?思わず撫でてしまっているコイツを、これから討伐しないといけないのか?そんなの無理!そんなの拷問だ!!
なんて考えていると、撫でていたアンラッビー……今ではもうただのグラスラビットが白く輝き、やがて無数の光の粒となって消えてしまう。
「あっ……」
光の粒を目で追うと、それらは祭壇の上に飛んでいき、ひとかたまりになったかと思うと赤色の宝箱に姿を変えてしまった。ああ、俺のアンラッビーが宝箱になってしまった……。いや俺のじゃ無いけども。
アンラッビーを討伐はせずに済んだのだが、初めてのボス戦は切ないラストでその幕をおろした。
俺はこちらに駆け寄ってくる一花と白百合を見ながら、なんとも言えない気持ちで地面に倒れていた。
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.10
・身体器用 Lv.8
・進退強化 Lv.7
・待機妖化 Lv.6
・大気妖化 Lv.4
・気妖 Lv.2
・息 Lv.6
・気 Lv.6
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◆津賀 一花
◆ラビットラピッド Lv.22
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◆陽乃下 白百合
◆ディープフォレスト Lv.27
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◆幡羅 謙三
◆身体強化 Lv.12 体力 Lv.10 投擲 Lv.8
体術 Lv.9




