77話.麻婆豆腐と言えば陳、フェイと一緒にランチタイム
77話.麻婆豆腐と言えば陳、フェイと一緒にランチタイム
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家庭菜園用の畑にニンニクを植え終わり、お腹が空いたなと思っていたら、ピンときた！今日のお昼は麻婆豆腐にしよう！！
俺は胃腸が弱く、辛い物や脂っこい物はあまり食べられなかった。それでも麻婆豆腐の味は好きだったから、量に気をつけながら食べるようにしていた。それでも痛みは訪れるんだけどさ。
牛乳飲むと腹を下すのを分かっていても飲みたいって人も居るよね。俺もそうだったけど。覚悟してでも食べたい、飲みたいってのがあるんだよな。
「父さんの麻婆豆腐は絶品だったな。父さんもそこまで胃腸が強くは無かったから、二人で少しずつ食べてたっけ」
麻婆豆腐は四川風と広東風とあるらしいが、父さんが作っていたのは四川風。陳さんのレシピを参考にしたソースが売ってるんだよね。それを使って、あとは豆板醤とか辣油とか花椒なんかで調整して作ってた。
内臓が健康になった今なら、アレを思いっきり食えるはず！と言う事で今日は麻婆豆腐にします！！
「うわビビった、スマホが振動したのか。通話か？フェイからだな。……しもしもー？」
『もしもしもー、ちはるん今良きー？』
「おけおけー、どったの？」
フェイさん曰く、お昼休みを長めに取れそうだから、前に言ってたジャミングマシーンの『ジャーミン』を設置しつつ、お昼でも一緒にどうかな？と言うお誘いだった。何か買ってくよー？って言うので、
「実はさ、これから父さん直伝の麻婆豆腐を作ろうかと思ってたんだけど。ニンニク臭いのさえ気にならないなら、どう？」
『食べる！！』
そう言うことになった。
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麻婆豆腐のコツは下準備と挽き肉の炒め方、そして豆腐にいかに味を染み込ませられるか……だと父さんからは聞いている。豆腐に関しては好みが分かれるそうだが。
材料は絹ごし豆腐、挽き肉、ニンニク、ショウガ、長ネギに葉ニンニクと干し椎茸。調味料に陳さんの麻婆豆腐ソースと豆板醤、辣油、そして花椒。あとは塩胡椒や醤油なんかで整えていく。
豆腐は塩を入れたぬるめのお湯で湯通しをしておく。しない作り方もあるが、俺は表面のフワトロッとした食感が好きだから湯通しをする派だ。あと味を染み込ませたいので、豆腐の余分な水分を出す意味合いもある。
干し椎茸は出汁と食感を目的に入れる。細かくしてから軽く水に浸しておく。あとあと煮込むので気持ち程度戻すと言うか、椎茸から出汁が取れればいいやの精神。
下準備が終わったので本格的に調理に入る。挽き肉はジックリこんがりと焼いてカリカリになるぐらいにしておく。
本場は牛肉みたいだけど、俺は豚の脂も欲しいから豚挽き肉も入れる。合い挽きでは無くてそれぞれお肉屋さんで買ってきたやつだよ。
パチパチとお肉が跳ねるぐらい炒めて挽き肉をカリカリにしたら、そこにニンニクやショウガのみじん切り、それと豆板醤を入れて炒める。美味しくなーれ♪と萌え萌えキュンを心の中で唱えながら炒める。特に意味は無い。
香りが出てきたらお酒を入れてアルコールを飛ばし、さらに鶏がらスープを溶かしたお湯、出汁の出た干し椎茸を水と一緒に加え。そして満を持して！
「陳さんの麻婆豆腐〜♪」
有名なジングルが鳴りそうな感じで取りいだしたるは、四川の本場の味が楽しめる便利ソースである！これは豆豉の風味が効いてて良いんだよね。
豆豉と言うのは、豆を発酵させて作られた物だ。味噌というか納豆と言うか、そんな感じの見た目だね。
豆豉だけ買って使うことも出来るんだろうけど、自分で上手く扱える自信が無いから、未だにこのソースを使わせて貰っている。
全体を混ぜて馴染ませたら、いよいよ湯通ししておいた豆腐を入れる。料理の主役の登場だ。
「俺はジックリと煮込む派閥〜」
豆腐に味をある程度染み込ませたいので、弱火でフツフツと煮込む。とは言え硬くなっても食感が悪くなるし、加減が難しい。しばらく煮込んだら火を消してさらに豆腐に味を入れる。
豆腐を休ませている間、研いでおいたお米をセットして土鍋でご飯を炊く。蒸らし作業に入ってから麻婆豆腐の仕上げをすると、ちょうど良い流れで作れる。
「仕上げは葉ニンニク〜♪」
適度な長さに切った葉ニンニクと長ネギを入れてから、水溶き片栗粉を混ぜ入れる。満遍なく混ぜないとダマになるが、豆腐を崩してもいけない。オタマの丸いところで丁寧に混ぜてから再び火を点ける。
片栗粉は火をキチンと入れることでシッカリと定着され、冷めても緩くならない。ちゃんと混ぜながら火入れをする。片栗粉を使う時のポイントだね。
「最後に花椒と辣油をかけて〜！出来上がり〜！！」
おそらく五人分ぐらいはありそうな大量の麻婆豆腐が出来ました！昔はこれを耐熱容器に小分けして、冷凍保存してゆっくりと楽しんでいた。お腹の痛みを我慢してでも食べたい美味しさ。それが今では思う存分食べられる幸福！！
そんな感慨に浸っていると、ピンポーンとチャイムが鳴る。某グレーテルさん並みにタイミングの良い到着じゃないですか！姉ちゃんお帰り！！(フェイは歳下です)
ご飯の蒸らしも終えてるし、いよいよ実食でございます！
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「おー！これがちはるんの麻婆豆腐！辛そうだけど美味しそうー！良い香りー！！」
「熱いから気を付けて食ってな。お好みで花椒と辣油を足すと良いよ」
「あーい！それじゃあ一緒に」
「「いただきまーす！！」」
どんぶりにご飯を盛り、そこにたっぷりと掛けた麻婆豆腐！レンゲでそれを掬って、フーフー言いながら一口……！
「うめぇ！辛いけど美味い！！」
「辛味以上に旨味と香りがガツンときてすっごい！！食感も楽しくてクセになるー！でも熱くて掻き込めなーい！」
フェイと二人でハフハフ言いながら麻婆豆腐丼を食べる。花椒と辣油の胡麻の香りがまず美味しい。花椒はミルで挽いてるから香り高いが、それに負けないぐらい香る胡麻の香り。
中華では大豆油の辣油の方が多いみたいだけど、俺は断然胡麻辣油が好きだ。中華と言えば胡麻油！と感じるのは俺だけだろうか？
さらに豆豉や豆板醤の旨味と辛味、豆腐や肉に椎茸の食感と、怒涛のような情報量が舌と鼻腔を刺激する。もう何が何だか分からないけどとにかく美味い！麻婆豆腐を食べていると結局はそんな感想に至る。
だがこんな複雑な味や香りや食感も、一つ一つの食材や料理の行程を経て作り出されている。一つ抜けても物足りない、バランスの悪いものになってしまうだろう。料理は本当に奥深い。だけど努力が結果になって応えてくれるから嬉しいし楽しい。
「ちはるんの麻婆豆腐美味しい〜！毎日食べたい！」
「毎日は健康に悪いな。でも気持ちは分かるぞ」
フェイも喜んでくれて良かった。インドカレーが好きだから、スパイシーなのは好きだとは踏んでいたけど、ニンニク臭くなるのが大丈夫かなと心配していた。女の子だからね。
でもこの感じだとそんなことは頭に無いぐらい味を楽しんでくれているようだ。作った料理を誰かに食べて貰う。それってこんなに嬉しい事なんだな。父さんや婆ちゃんの気持ちが少し分かった気がする。
(少しでもフェイに普段のお礼が出来たかな？)
忙しい身でありながら、俺のスキルや一花達の装備など、色々とお世話になっているから、何かお返しがしたかったんだよな。身体も疲れていると思うし。
麻婆豆腐は食べたら元気になること間違いないだろうし、少しでもフェイの力になっていると良いなと思う。
美味しそうにハフハフと食べてくれるフェイの顔を見ながら、俺はそんな事を考えていたんだ。もちろん俺もハフハフしてたけどな！
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.9
・身体器用 Lv.8
・進退強化 Lv.7
・待機妖化 Lv.5
・大気妖化 Lv.4
・気妖 Lv.1
・息 Lv.6
・気 Lv.5
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◆潤目 フェイ
◆知性 Lv.12 投擲 Lv.4 観察 Lv.10
鑑定 Lv.2
