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【40000PV感謝!】シンタイキヨウカってなに?  作者: taso
第二章 新たなる躰
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75話.探索者試験、ステータス鑑定と人の縁と


75話.探索者試験、ステータス鑑定と人の縁と



「そうかそうか!そりゃめでたい!そんじゃ早速地下迷宮に、いや、その前に筆記試験だったな!」

「先ずは申請書を提出して、その後にステータス鑑定、ですよ」

「おっとそうだったな!そんじゃあ鑑定の準備してくっからよ!菅田さんは受付で申請書を貰って書いててくれ」

「はい、よろしくお願いします」

「あいよ!」


 ケンゾウさんはニコニコと笑いながら離れていく。鑑定の準備と言っていたから、例の水晶を用意したりするんだろうな。


 受付の方を見ると、いつもの受付嬢さんが手を振っている。これは『こっちに来い』って事だろうか?


 長い物と綺麗なお姉さんには巻かれろって言うからな。俺は素直にそちらに向かう。


「探索者試験の申請書はこちらです。こちらの太い枠に囲まれている箇所をご記入の上、身分証と共にご提出ください」


 相変わらず話が早い。まるでこちらの話を聞いていたかのようだ!


「もう、分かってるくせに」


 ウインク……だと……?なんて破壊力だ!本当にただの公務員なのか?この受付嬢さんは!?


 そう言えばなんてお名前でしたっけ?今の今までずっと『受付嬢さん』ってお呼びしてたからな……。


「改めまして。『菅野直(かんのすなお)』と申します。胸元の名札を見て頂ければすぐに分かるのですが、頑なに見ようとなさいませんでしたよね?」


 え、そうだったの!?ほら、セクハラとか最近は厳しいから、無意識に胸元を見ないようにしてたんだろうな……。


「そう言った部分はとても好ましいと思いますよ。女性は視線に敏感ですからね」


 そうなんだよな。それだけ見た目を気にかけているって事だし。俺も含め、男も見習わないといけないよな。


「先ずは意識をする事。それが重要かと思います。意識の積み重ねが無意識を育てていくものですからね」


 ほんとそうだよな。俺のスキルにおいても“無意識を育てる”と言うのが一つのテーマでもある。これから探索者としてやっていく事になるなら、それはより重要性を増していく筈だ。頑張らないとな。


 受付嬢さん改め菅野さんに一礼をして、書類に記入する用の台に向かう。そう言えば菅野さんの名前。漢字は違うけど、スキルの直感と……。


 背中がゾクゾク!っとして振り返ると、菅野さんがこちらを見て笑っている。にこやかに微笑んでいる筈なのに、なんなんだこのプレッシャーは!?


「よ、余計な事は考えないで早く書いちゃおう!」


 人の名前をイジるのは良くないもんな。うんうん!思うだけもダメだなんて……。ガクブルでファンタジー!



「はい、不備はありませんのでこのまま受理致します。身分証はステータス鑑定が終わった後のご返却となりますので、こちらでお預かりしますね」

「分かりました。よろしくお願いします」

「そっちは済んだみてぇだな!こっちも準備出来たから着いてきてくれ!」


 受験申請書とマイナンチャラを菅野さんに手渡し、今度は戻ってきていたケンゾウさんと一緒に二階へと登っていく。

 二階は会議室や応接室などが複数並んでおり、一部は探索者へも貸し出されている。たまにチーム合同の依頼なんかもあるらしく、そう言った時に使われるそうだ。


 そんな二階の一室にケンゾウさんと入る。部屋の中にはテーブルとパイプ椅子、そしてテーブルの上には怪しい水晶玉みたいなのが置かれていた。


「これはその名もズバリ『鑑定玉』って名前だ。これに手を触れると光り、その光にこの紙を当てるとステータスを写し出せる……。準備はいいかい?」

「……はい、大丈夫です」


 俺はステータスを得た時には『身体強化』が初期スキルとして登録している。その頃は『シンタイキヨウカ』はただの表示バグだと思っていたからそう申告していた。


 現在はイヤーカフによって“一般的な”スキルになるように偽装している。本来偽装したりして探索者になるのは許されてはいない。しかし俺のスキルはユニークの中でもかなりのものだ。ケンゾウさんや菅野さんと言った職員は信用できる人たちだが、ギルド全体や"その上"ともなるとそうは言えない。


 ギルドを利用して探索者となる身としては不義理になるとは思うが、個人を信用は出来ても団体や組織全体への信用は出来るはずもない。俺はフェイとも相談をして、スキルを偽装して登録することを選んだ。


 ゆっくりと鑑定玉に手を触れる。触れてしばらくすると淡く光り出し、その光はやがて眩いほどに煌々と周囲を照らした。


「……そのままでいてくれ。今から写し取る」


 ケンゾウさんは放たれている光に当てるようにして紙を片手で持つ。おそらくアレが凝素紙(ぎょうそし)だろう。そこにはゆっくりと文字が浮かび上がっていく。レシートなどに使われている感熱紙みたいな仕組みなんだろうか?


「出たな……。ふむ。菅田さん、スキルはこれで間違いないか確認してくれ」


 ケンゾウさんはしばらく紙を見て唸ってから、今度はそれを俺に見せて確認を求めてきた。


 えーと……。


┏                 ┓

 菅田(スダ) 知春(チハル)


 身体強化 Lv.12 器用 Lv.8 探査Lv.3

┗                 ┛


うん、“設定通り”だな。新時代の神のような顔になりそうなのを堪えて、“偽装したステータス”通りに転写されている事を確認した。

 イヤーカフはフェイのお手製、心配は無いと分かっていても、確認してみるまではやっぱり不安だった。これも『信じると疑うはセット』ってヤツだ。確認作業も大切なのである。


「はい、問題ありません」

「そうか……。これはあえて聞くんだが、特に答える義務は無い。その上で聞かせてくれ」

「……はい」

「スキルに関して、一人で抱えちまっていないか?もし話せる人が居ないなら、俺個人としては話を聞いてやれるぞ?」


 ……やっぱり、ケンゾウさんには敵わないなぁ。俺のスキルが特殊だったり、もっと総合レベルが高い事なんかも察しているんだろうな。


 そう思っていながら、ケンゾウさんは“個人として”話を聞いてやれると言ってくれた。他人に話すのは憚られるユニークスキルだとしたら、それを一人だけで抱えて過ごすのは辛いだろうと。


 カッコいいな。こんな男に、こんな大人になりたいよな。もちろん父さんや爺ちゃんも俺の憧れの人だし、俺の周りには素敵な人が多過ぎる。人の縁にはずっと恵まれているんだよな。


「お気遣いありがとうございます。……でも大丈夫です。探索者の先輩が居ますし、地下迷宮に詳しい人にも相談出来ているので」

「そう、か……なら良いんだ。変な事言ってすまなかったな。忘れてくれ」

「そんな!もし相談したくなった時は、ぜひ頼らせてください!ケンゾウさんは俺の憧れなので!」

「ははっ、そんな真っ直ぐ言われちまうと照れるじゃねぇか!……試験、頑張れよ!」

「はい!頑張ります!!」


 頑張らないとな。頑張りたいな。後悔のないように、全力で!頑張ると言うのは、自分がしたいからする事で。それはきっと、今だと思うから。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅田(スダ) 知春(チハル)


◆シンタイキヨウカ

・新躰強化 Lv.9

・身体器用 Lv.8

・進退強化 Lv.7

・待機妖化 Lv.5

・大気妖化 Lv.4

・気妖 Lv.1

・息 Lv.6

・気 Lv.5


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

幡羅(ハタラ) 謙三(ケンゾウ)


◆身体強化 Lv.12 体力 Lv.10 投擲 Lv.8

 体術 Lv.9


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

菅野(カンノ) (スナオ)


◆直感 Lv.20 投擲 Lv.18

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