71話.やっとみんなでダーツ、なんだかんだで盛り上がった
71話.やっとみんなでダーツ、なんだかんだで盛り上がった
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「よし!ダルい話も終わったし!やろうぜダーツ対決!!」
「うわ急に元気に……」
「頑張って空気を変えようとしてる一花。可愛い」
「健気ですねー」
「皆さん、いじり過ぎですよ?」
「ダァ〜!いいからやるんだよ!ダーツをよぉ!!」
一花のノリに合わせるように、俺たちも軽い口調で一花をいじる。こうやって周りを引き込み引っ張っていけるのは、一花の才能の一つだろう。このメンツだと他に居ないし。
「それでどうやってやるんだ?ダーツのルールもあんまり知らないし、どうやって戦うんだ?」
「そうだな、ゼロワンで良いだろ?」
「うん。やるならチーム戦にする?」
チーム戦は良いとして、ゼロワンってなーに?
「ゼロワンとは301や501など、始めに点数を設定して、どちらが先に0に出来るかを競うものです。数字の二桁がどれも01なのでゼロワンと呼ばれているそうですね」
「へー、なるほどね」
「むー。ちはるんへの解説キャラをアイモさんに奪われそう……」
アイモがルールを教えてくれる。何故かフェイは自分の立ち位置に危険を感じている。大丈夫だよ、フェイは俺のオンリーワンだからな。
「ちはるーん!」
なんか飛びついて来たのでサッと躱す。躰道の動きが多少染み込んでくれているからこそ出来た事だろう。ソファもクッション性があるし、怪我の懸念も必要無いし。
「そんでチーム分けはどうする?」
「アタシは当然、知春を倒す!勝負だ知春!!」
「じゃあ私は知春のチームに」
「えー?なんでだよ?」
「私たちは慣れてるから戦力的に優位になってしまう。一花はフェイと」
「ちぇー。まぁいっか!潤目さん『投擲』のスキルあるし強そうだ」
え?スキルアリなの?それなら俺もやっちゃって良いっすか?GTSしちゃいますよ?
※GTS=ガンガン、使っちゃうよ?スキル
「それだとアイモは?」
「私は結構です。勝ってしまいますので」
「強気のコメントだ!?」
「実際アイモは強い。勝てない」
「なんたってアタシのダーツの師匠だからな!最強だぜ!」
と言うことで、
【俺と白百合 】vs 【一花とフェイ】
の熱いタッグバトルが今、始まる!!いやー、平和で良いね。
◆
「んじゃまずはアタシからな」
「イッチーがんばれー!」
部屋にある二台を贅沢に使い、左の台で一花とフェイが、右の台で俺と白百合が交互に投げていく流れになった。
設定値は301にして貰った。俺初心者だからね!ちなみに“イッチー”とは一花の事らしいぞ。ネーミングセンスよ……。
「ダーツって真ん中狙えば良いんだよな?」
「基本はそう。中心のブルに当たると50点貰える」
「ただ周りの数字にはそれぞれダブル、トリプルのエリアがあります。そこに刺さると二倍、三倍の得点に」
「20のトリプルだと60点。でも難しい」
「ほーん?まあなるようになるさ」
初心者だし勝ちは半ば諦めてはいる。頑張るけどね!今回は真似ぶ、つまり学ぶ事に集中したい。
俺は『身体器用』と『気』を併用させ、一花が投げる様子をジッと見る。身体と付くスキルだ。つまり身体を動かす事なら、他人の動きを見る事にも応用が効くんじゃないかと考えた。『気』はアシスト目的だな。
「よし、一投目だ」
「うわー!早速のブル!イッチー凄い!」
マジでいきなり決めやがった!上手いってのは本当なんだな。
それから二投を投げて計130点。残り171点か、早いな。
「次、知春」
「俺が先?」
「チームのリーダーだし?」
いつからだよ?と思いながらも立ち位置に着く。右足を前に、左足を90度に曲げ後ろに下げて……ってこれ躰道の構えじゃん!一花の真似したらこうなるのか。
とは言え全く同じと言うわけでもなく、重心は前足の方に、身体をやや前方に倒すようにしていたな。
そんで肘は固定するイメージだっけ?見様見真似で……。投っ!
「外れた」
「外れましたね」
「ぷぷぷー!」
「ちはるんどんまいまーい!」
矢は明後日の方向へ。ガッデム!特に一花は許さんぞ!!
「指を離すのが早かった。姿勢は問題無い」
「ええ、刺したい所を見ながらやると良いですよ」
「おお、助かる」
今も使ってる『身体器用』は直ぐに上手くいくスキルじゃない。初めてに近い動きだとより時間がかかるが、『気』のスキルを鍛える意味でも、併用してやっていきたい。
「あー、当たったけど端っこだ」
「17のダブルだと!?」
「やりますね」
なんてミラクルもあって、計39点。サンキュー!ってか?残り263点かー。最初外したのが痛かったな。先は長い。
◆
相手チームの二人目はフェイ。運動をやるイメージは無いが、ダーツはそこまでハードなものじゃ無いし、何より『投擲』のスキル持ちだ。これは侮れない。
「放物線運動だから投射角は……強さは問題無し、とすると後はタイミング……」
なんかぶつぶつ言ってから投げた矢は……うわ20にいきなり!?
「トリプル狙いだったのにー。指との摩擦係数を下方修正して……」
結果20のダブルにも当たって計80点。残りは91点と早くも二桁にって……。
フェイさん全部20のラインに当ててるよ。すげーな投擲スキルと物理学!
「トリプルが安定してしまったら厄介ですね」
「うん、次に周る前に決めたい」
「頼んだぞ白百合!」
「任しとき!」
何故か西の口調で応えて立ち上がる白百合。白百合の腕はどんなもんなんだ?
「白百合様はスキルの効果で遠距離攻撃にも適性があります。ダーツも上手ですよ」
白百合の『ディープフォレスト』はダークエルフの恩恵を受ける。エルフと言えば弓だよな。白百合の場合は剣も得意らしいけど。これは期待出来るな!
「いきなりブルだ!」
「え、次も!?」
「白百合のやつ、まさか……」
「決まりましたね、三連続ブル」
「すごー!弓だったら継矢もいけそう!?」
なんと白百合さん、三投ともブルに!しかも位置や角度を微妙に変えて、しっかりと三本とも刺さるようにして投げてる!!
「安定を狙うならブル一択。これで残り113点。勝負はこれから」
「ナイスハットです白百合様」
「助かったよ白百合」
ナイスハットとはサッカーで言うハットトリック、つまりブルに三投当てる事を言うようだ。用語としてある事からもかなり難しいし、上級者は頻繁に狙いにいくんだろうな。
なんて俺たちが追い上げムードに浸っていると……。
「ふっふっふっ……。残念だが次で終わりだ、勇者どもよ」
「なん……だと……」
「何故魔王と勇者のノリなんでしょうか?」
「知春も乗ってるから見守ってあげて」
「そうなると私はー、勇者チームを支える錬金術師?あるいは魔王側のマッドサイエンティスト……?」
アイモはノリが悪いな。こう言う時はノータイムで付き合うのがマナーだぞ!あとフェイは白魔道士だろ!いつも白ローブ着てるんだから!!
「次のターンで、この戦いを終わらせる!」
一花はドヤ顔でそう言った。
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◆菅田 知春
◆シンタイキヨウカ
・新躰強化 Lv.9
・身体器用 Lv.7
・進退強化 Lv.7
・待機妖化 Lv.5
・大気妖化 Lv.4
・気妖 Lv.1
・息 Lv.6
・気 Lv.5
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◆津賀 一花
◆ラビットラピッド Lv.22
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◆陽乃下 白百合
◆ディープフォレスト Lv.27
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◆潤目 フェイ
◆知性 Lv.12 投擲 Lv.4 観察 Lv.10
鑑定 Lv.2
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◆シモナ・アンダーソン
◆魔操 Lv.11 体術 Lv.9 回復 Lv.7




